押見修造のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレわあ、ええ、そんな…と一人で声をあげながら読んだ。本はいつも無言で読むので、自分にとってかなり珍しいことで、それだけ心が動かされたのだと思う。
ママの短い前髪や幼い口調が年齢に似合わず子どもじみていて、本当に生まれ直したみたいに可愛くキラキラ目を輝かせて、グロテスクだった。
母の一挙一動が全部ものすごい殺傷力。刃物でザクザク切り刻み続けているようで、静一の気持ちに寄り添って読んでいたから痛くて痛くて仕方なかった。
・私は子供を作るべきじゃなかった。産まないほうがよかった=あなたは存在しないほうがよかった。
・産んだ後もずっと産まない方がよかったんかなって思ってた=実際に産まれて一緒に十余年過ごした上でも、やっぱりあなたは存在しない方がよかった。
・産んだのは自分を救うため。=あなたのためのことはひとつもなかった。
・ひとごろしになってくれてありがとう=幸せは願っていないどころか、地獄のような思いをしているあなたを見て嬉しく思う。
・もう捨てます。捨てていいですよね?=あなたは不要。そもそもひとりの人間とすら思っていない。
・首を絞められても無表情で「あっそう」=あなたが何をしても、私には何の影響も及ぼすことはできない。何も変えられない。あなたのすることは無意味。
・私の人生がはじまる。もう帰っていいですかぁ。最後まで静一をちらりとも見ない=あなたのことなど本当に心の底からどうでもいい。文字通り、眼中にない。
今までの苦しみも努力も我慢も全部母の愛をもらうためだったのに、全部全部ムダになった感覚だろう。あなたが産まれたことも生きてきたことさえも全部間違いでした、と言われて、これってつまり、「自分の存在すべてがムダになった」とほぼ同一だ。しかも他の人をどうでもいいと捨てさせられてしまった上で、唯一影響力がある人から言われるのだ。こんなのってない。むごい。
「しげちゃんが死んだのは、ムダでした。意味なく死にました。」も ものすごくひどい言葉だけど、彼にとっては完全にそうで、唸った。自分を殺そうと思ったけど殺せなかったわけだし、しげちゃんの死によって何の変化ももたらされていないんだから。
その後にこういう流れがきて、「静一の心が死んだのは、ムダでした。意味なく死にました。」と誰かに言われているような感じだった。
最後の、周りの人がだんだん歪んで消えていって、最後に自分も消えてしまう場面は、すごく恐ろしくて秀逸だった。無だ。残された「救護院に送致します。」という言葉は、ああこれが唯一残っている未来なんだ、という感じがした。
どうなるんだろう。こういうところから立ち直るのって、すごくすごく難しいことだ。ここまで辿り着くまでの流れは、足掻いても抵抗しようがないくらいの激流で、流されざるをえなかったんですって言っても過言じゃないくらいなのに。 -
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二人
静一の視点でもありのままの静子が映るようになった。
あの猫は静一の記憶かと思っていたが、二人の精神の象徴だったのか?
見捨てることもできたのに、最期まで介護することを選んだ静一。
怒りも憎しみも消滅したのだろうか?
今の静子から何かが得られる気はしないのだが・・・。
蛇足にならないことを祈りつつ・・・。 -
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吹石さんも巻き込んで……
危うい関係性は終始一貫していますね。
学校では吹石さんときちんと話し合う機会もあり、交際を開始するんですが、母親が案の定、そこも干渉してきますね。
吹石さんの両親も離婚しているようなので、もしかしたら彼女もそれなりに家庭の問題を抱えているのかも知れません。
放課後デートをしていたら主人公の母親は2人を執拗に探しまわって追いかけてきて、吹石さんは気丈に立ち向かっていてそこは良いんですが、母親、いわゆる独親というか、何らかの問題点を抱えていて、闇に押しつぶされてしまっているようにも感じますね。 -
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精神に変調をきたいしている?
あまりそういうふうには見えていませんでしたが、主人公が両親の夫婦喧嘩を覗いて見てしまった感じだと、母親は以前からだいぶ精神を病んでいたのを必死に隠していたのかも、と感じますね。
父親と一緒にお見舞いに行ったしげる君は、記憶障害が残ってしまっているようです。
主人公もショックがあってでしょう、吃音がひどくなっていますね。
吹石さんは主人公をかなり好いていますが、ママがいるから、と断られるのも辛いでしょうね。彼女もどうなってしまうのか?
母子だけになってなぜ?と問い詰めようとしても、もう既に一線を越えて、2人ともおかしくなってしまっているような……ふきだしが少なくてすぐ読めますが、丁寧に絵が書き込まれていて、影とかの使い方も上手いですね。 -
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危うい共犯関係と……
母親の過干渉と、近親姦的な愛情もあるのでしょうかね。非常に危ういものを感じる作品で、母親の精神状態も極めて危ういです。
いわゆる代理ミュンヒハウゼン症候群的なものを感じますね、実際は主人公の母親がしげる君を崖から突き落としたわけですが……。
主人公はそんな母親と口裏を合わせてしまいますので、既にもう共犯関係が成立していますよね。
突き落とされた少年、手術して一命は取り留めましたが、予断を許さない状態ですしね。
主人公を好いている吹石さんも危ういのでは?としか思えませんよね。実際、精魂込めて書いた恋文、親子で破っているんですからね。 -
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母の過去
ようやく語られる静子の過去。
あまりにも非現実的な壮絶さ、ではなく、リアリティのある精神的な虐待と疎外感。
離人感、といっていいのだろうか。あの義姉がいなければあそこまでの事態には
至らなかったのか、それともやはり時間の問題であったのか。
静一から見る静子はやはり美しいまま。いつ現実とすり合わせられるのか。
静一に救いが訪れるのか。
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