司馬遼太郎のレビュー一覧

  • 新装版 俄 浪華遊侠伝(下)

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    実在の人物とは知らず読み始めたので、予想とは違い読み応えがありました。子供の頃から、どんな責めにも耐えてきて、単純明快な義侠心で行動する主人公でした。
    「もともとこの稼業は死ぬことが資本の看板や」と無茶ばかりしながらも、実際87歳まで生きたというのは丈夫な身体だったんだと驚きだった。
    会話文が勢いがあってユーモアもあり楽しく読めた。
    幕末から明治にかけて小林佐兵衛として政治と絡んで、鳥羽・伏見の戦いで旧幕府軍として戦ってる。
    天下のために走する者と見れば逃がしてやったりもしていて、桂小五郎もその一人で明治維新後に佐兵衛自身の命を救うことになったよう。
    何度も入牢経験もあったようで、入牢した者の飯に塩を抜いて心身ともに気力を失せさせて、尋問して自供させるくだりが妙に記憶に残る、佐兵衛も塩を抜かれ沢庵を要求していた、塩は大事だ。

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    2025年10月02日
  • 最後の将軍 徳川慶喜

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    慶喜は生まれながらにして、水戸斉昭に高く評価され、将軍になる才覚を持っていると言われながら育った。幕末の四賢候にも同じく扱われていた。しかし、家茂との将軍選抜には、井伊直弼大老の安政の大獄により破れる。外圧が高まる中、家茂死去後、将軍職が回ってくるが、拒絶。それは、そうだよなとも思います。大奥では嫌われ、譜代大名からも嫌われ、周りの重臣は暗殺されてはやりたくもないだろう。仕方なく継ぐことにはなるが、あとは大政奉還や謹慎などを行う。
    有能ではあるが、生まれる時代を間違えてしまった感じです。現代に生まれていれば、写真家や美容師、三ツ星レストランのシェフとかやっていたかなと思いながら読んでいました。

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    2025年09月30日
  • 功名が辻(四)

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    ネタバレ

    胸が締め付けられる結末

    種崎事件のあとの千代と一豊の話は、仲直りの様子が見えず、そこであとがきに入る。
    千代の気持ちを考えると切なさや悲しさが襲ってくる。

    途中までの功名を立ててるときは明るく楽しい話だったが、巧妙を立てて、一国一城の主となった四巻は千代と一豊の心が離れていく、いや、根底では繋がってるが、意見が分かれていく、そういう話になって、心苦しかった。

    それでも、千代は一豊を、一豊は千代を、愛し続けていた、それは変わらなかったと思う。

    長編と言いつつも、新聞の連載だったからこその、尻切れトンボのような語り口が、かえって、余韻を残す作品。

    時代が経っても風化しない、いつでも読みたい本の一つであることに間違いはない。

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    2025年09月26日
  • 峠(下)

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    想いの強さは大切であるが自分の考えを周りの人に伝える力もリーダーとしては必要なことである。その点ではやはり足りなかったのではないか。

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    2025年09月21日
  • 城塞(下)

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    小幡勘兵衛というスパイを通じた目線で
    冬の陣、夏の陣を見ることに
    今更ながら新鮮さを感じた。
    争いの勝敗は人間の心にあるのかな。

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    2025年09月18日
  • 坂の上の雲(六)

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    巻の巻の山場は「大諜報」の章だ。物語としては、大佐明石元二郎がヨーロッパで行った潔い工作活動でテンポを上げつつ、旅順攻略後やバルチック艦隊の遅速でスローダウンする。この壮大な物語全体に、緩急がうまく張り巡らされている。

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    2025年09月18日
  • 翔ぶが如く(一)

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    維新の巨魁、西郷隆盛をどの様に描いて良いのか司馬遼太郎も模索しているのを感じられる。
    圧倒的な存在感を有しつつ、大きな赤ん坊のごとく描くのが面白い。
    ・滅私の精神
    ・自己犠牲
    ・滅びの美
    ・豊富な感情量 等
    日本人が好きな要素が詰め込まれた人と言えるのか。
    以下に、私が好きな文中抜粋を記載します。
    ・西郷はまるで柿泥棒でもして近所の老人から説教される子供のようにうなだれ、終始木戸の話を聞き、「いちいち、ごもっともなことごわす。」と、一言の弁解もしなかった。
    ・禅はこの世は仮宅であるとし、生命を含めて全てはまぼろしにすぎない。かといってニヒリズムは野狐禅であり、物事の本来のあり方(真如)を求めることにより真の人間となる。
    ・西郷の巨大な矛盾
    ・たかだか才子にすぎない大隈は、西郷ほどに巨大な感情量をもたなかった。
    ・大久保からすると、西郷は巨大な落魄者であった。
    ・才略や機鋒の鋭さだけでは仲間は動かせず、世の中も動かせない。人を動かすは人格。
    ・ぼっけもん
    ・沼間守一「自分は実はフランス語ができない。我らは活眼さえあればこの文明を見ることができ、その文明を作っている法を察することができる。武士たるか武士たらざるかがあるのみである。」
    ・変節家ジョセフ・フーシェ

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    2025年09月15日
  • 新装版 俄 浪華遊侠伝(上)

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    破天荒な主人公が面白い。史実もあるなと読み進んでると、新選組と面会あたりで実在の人物と気が付き、波乱に満ちた生き方に驚きです。幕末明治の大阪を舞台に活動した侠客、明石屋万吉、上巻後半では侍として御番所勤めをし、小林佐兵衛と名乗ります。とにかく破天荒で場当たりな行動の主人公、世の為人の為なので名が広く知れ、子分が大勢で不思議な人物です。後半も何が起きるのか、どんな妙案が浮かんで実行するのか読んでみます。

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    2025年09月13日
  • 豊臣家の人々 新装版

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    人々を振り回す秀吉の魅力!身分の軽重と人間の出来不出来は関係がないし、豊臣の時代は秀吉の力だけで成り立っていたのがよく分かった。

    豊臣家の最後の二人、淀殿と秀頼の話も初めて知ったけど、哀れでありながら、世間を知らずに育つ/育てるというのは身を滅ぼしてしまうなぁ。所謂毒親やね。
    天運が強すぎた秀吉は、悪運の淀殿を引いてしまったんやねぇ。

    令和になってから、うちの近所の神社で豊臣秀吉の木像が見つかったそうで。江戸時代にこっそり作られたくらい、大阪の人たちは秀吉さんが好きやってんな〜しみじみ。

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    2025年09月13日
  • 国盗り物語(三)

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    ネタバレ

    そうかぁ、義竜は出生の事実を知らなかったんだもんなぁ...深芳野が不憫で仕方ないし、やり返されて当然ではある...。それでもここまで追い続けてきた主人公。切なさが増す。

    そういえば道三がここまで信長に目をかけてたとは知らなかった。道三の最期の戦いに際し信長が駆けていくシーンは泣けた。そして信長は自分を理解してくれる人が立て続けにいなくなったショックでより卑劣な性格になったのかなとも思う。意外と情に厚い信長の姿を見れたのはかなり新鮮。

    道三亡き後はほぼ明智光秀がメインで、織田信長・明智光秀編と書いてあげて欲しかったなという気持ち。光秀は光秀でなかなか悲惨な人生を歩んでて...司馬遼太郎の気持ちが入るのも分かる。

    木下藤吉郎秀吉・柴田勝家・竹中半兵衛など私でも名前を聞いたことがある人が続々と。次は本能的・信長と理性的・光秀の物語。なんかドキドキする、結果知ってるのに。

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    2025年09月12日
  • 項羽と劉邦(上)

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    中国最初の同一王朝である秦の崩壊後、天下を争った2人の英雄である項羽と劉邦の戦いを描いた物語である。
    やはり日本国外を舞台にした作品であるだけに、司馬遼太郎作品にしては人物などの解像度が若干低いように感ぜられる部分はあるものの、十分面白く、またあとがきでも書かれている通り、史記等中国古典で描かれた歴史は近代までの日本人にとっては国内の歴史であるかのように思われるほど浸透していたものであり、日本の歴史を理解する上でも役立つ本であると言えるだろう。

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    2025年09月12日
  • 項羽と劉邦(下)

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    コテンラジオでも取り上げられた事もあり、キングダムの後の世界、司馬遼太郎。これは読むしかないと思い手に取る。

    正統な猛将項羽と頼りないが周りの人物に助けられ大きくなっていく劉邦の対象できな動きが面白い。私の中国歴史感を強化してくれたなぁと思う。

    中国では「楚漢戦争」と呼ばれている

    四面楚歌
    虞美人
    背水の陣
    国士無双
    捲土重来
    先ず隗より始めよ
    等故事も多く生まれた話。

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    2025年09月12日
  • 国盗り物語(二)

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    おもしろすぎてあっという間に読み切ってしまった。司馬さんの余談がまたいい感じで。

    手を替え品を替え繰り広げられる戦術がまぁ巧みで天晴れってこういう時に使うんだろうなと思った。斎藤道三の名の由来も分かって感嘆。
    頼芸の追放にかかる姿はまさに鬼。だけど元々これが目的だもんなぁ...頼芸もいいキャラだったなぁ...と複雑な気持ちになった。道三が歳を重ねて達観し始める姿とお万阿のシーンに胸が苦しくなった。栄枯盛衰は見届ける側も大変だ。

    明智光秀への溺愛ぶりが垣間見えたかと思えば、織田家のメンツが続々と登場して次巻は信長編。楽しみすぎる〜!

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    2025年09月10日
  • 世に棲む日日(一)

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    先日、旅行で萩に行き、明倫学舎や松下村塾跡を訪れた。自分は、もともと歴史に関心が強い方ではなく、歴史小説や司馬遼太郎はほとんど読んだことが無かった。しかし、現地で、多くの幕末や明治の偉人を輩出することになった松下村塾がたった1年余りしか開かれていなかったこと、また、その当時の吉田松陰はまだ20代だったこと(死亡したのも29歳)を知り、この若者がいかにして人々に影響を与えたのか興味が湧いた。そして、旅行から戻ってすぐ買って読み始めた。

    第1巻には吉田松陰が黒船に忍び込む直前期までが描かれている。
    自分は、吉田松陰を、激情家で強引に物事を進めようとする人物だと想像していたが、ここで描かれる松陰は、どこまでも理想主義者でありながらも、その理想を実現するために、自分に常に厳しく学問を追い求める、現実家たろうとする側面があった。また、自信に溢れるのではなく、自分は凡庸な人間だからこそ、英雄になるためには人一倍研鑽を積まなければならないという、極めて謙虚な面も見られた。
    司馬遼太郎の、綿密な取材に基づくリアリティある描写は、空想の中の松陰像をどんどんと活気あるものとし、この後に待ち受ける悲劇がどう表現されるのか、怖くて知りたくないが、でも早く続きを読みたい、という相反する気持ちを強く抱かせてくれた。

    最後に、今の政治社会情勢もあいまって、記憶に残った部分を抜き出してみたい。
    「かれの攘夷は、奇妙なほどに男性的であった。大型の攘夷は、日本人の対外感情の通性がそうであるように、女性的であった。松陰は、ちがっている。海をこえてやってきた『豪傑』どもと、日本武士が武士の誇りのもとに立ちあがり、刃をかざして大決闘を演ずるというふうの攘夷であった。」

    今の時代、日本人ファーストという言葉が耳目を集め、外国人への差別的な発言が広まっている。もちろん、雇用や治安等の具体的な懸念によるものもないとは言わないが、やはり漠とした不安に基づくものが多いように思える。
    不安定な時にはそのような声に流さてしまいそうになるが、そうではなく、見識を深め、自らの中に判断基準を持つことで、自信を持って世の中を見つめていける人物であれたらと思う。

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    2025年09月07日
  • 峠(上)

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    自分の考え方と照らし合わせながら読む。共感できる部分とできない部分もあるが、やはりこの時代の小説は面白い。たまたま言志四録を併読しているので佐久間象山、山田方谷などとの関係や、朱子学、陽明学の理解が深まった。中巻も楽しみ。

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    2025年09月06日
  • 世に棲む日日(四)

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    下関 白石正一郎

    辞世の国
    おもしろき こともなき世を おもしろく
    (すみなすものは 心なりけり)

    27年と8ヶ月で亡くなる

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    2025年09月05日
  • 世に棲む日日(一)

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    松陰が狂おしいほどに真っ直ぐな男だった

    作中の転換点として彼が行った脱藩は、彼の気質を考えるとものすごく彼らしい理由だと納得してしまう。それと同時にこの男に待ち受けるその後の運命をも示唆しているようで切なかった

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    2025年09月05日
  • 街道をゆく 10

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    佐渡を旅する前に読んだ。佐渡という土地の歴史を知ることで、昔の人に思いを馳せながら旅ができた。

    単なる紀行文ではなく、著者の歴史考察が面白く、別の旅行先でも、読んでから行きたいと思った。

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    2025年08月31日
  • 坂の上の雲(二)

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    真之と子規の友情、絆にグッとくるものがあった。命短い子規の覚悟を見ると医療の力で生き延びる現代との違いを考えさせられる。舞台がどんどん海外へと広がっていくのも面白い!

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    2025年08月28日
  • 覇王の家(下)

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    下巻の主要場面は、小牧・長久手の戦い。(家康VS秀吉)戦局の様子を、家康と秀吉の立場からだけでなく、家康の家臣、安藤直次、本多忠勝、石川数正の動きも取り入れて描写されており、真に迫るものがありました。まるで、現場に行って取材してきたかのよう。秀吉が頭を使って、相手方に取り入ろうとするところも印象的でした。(石川数正との関わり)

    関ヶ原の戦いや大坂の陣については記されていないため、終盤は“あれ、もう家康の晩年なんだ”という感覚でした。

    『関ヶ原』『城塞』の作品をご参照ください!という感じに、時間をとびこえていきます。家康が死に直面する場面での家臣とのやりとりで、最後まで緻密で入念な家康の気質が読み取れました。

    私の今までの家康像の中に「独創性がなく、マネが多い」「言葉に出してはっきり言わない」といったことはありませんでした。

    本書であらゆる角度からの家康の性格、生き方(体調管理は天下一品、医者に勝る。)を感じとることができました。

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    2025年08月24日