司馬遼太郎のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
司馬遼太郎による坂本竜馬を主人公とした小説。
文庫版で八巻にもおよぶ超大作。
司馬遼太郎の小説は初めて手に取ったが、引き込まれる内容だった。彼の膨大な取材量に裏付けられた緻密な描写もさることながら、ここまで長い小説であるにも関わらずほとんど中弛みがなかった。
本作は竜馬が故郷の土佐(高知)から武者修行のために江戸に発った1853年から、大政奉還直後に近江屋で暗殺される1867年までの期間を描いている。
個人的には、大学受験で日本史を得意としていただけに本作における時代背景や大まかな出来事、流れは頭に入っていた。
しかし、たった十数年の間にこれほど濃密で熱い男たちの闘いがあったことは全く知 -
Posted by ブクログ
人の人生とは不思議なものだなぁという印象が大きく受けた。
一豊は一貫して真面目でコツコツと積み上げていく、千代は独自の感性と時代の流れを汲み取る力でお互いに支えて登ってきた。そこには運も絡んだであろうことは明白であるが。
最後はどちらの考え方にも正解はなかったというと語弊があるが、どちらのやり方も間違ってはいなかったのではないか。しかし最善手ではなかったように思える。一豊も千代も年齢を重ねており、様々な思考の散りつもり、若々しく話を重ねていくというのが難しかったのではないか。
あそこでお互いの折衷案のような形を出せれば良かったのかなぁ。流れは変わったのか、変わらなかったのかは知らないが。
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Posted by ブクログ
空海の生涯を数多くの文献と司馬遼太郎の考察により紐解いていきます。小説と考察文の中間のような書物です。そして上下巻読んで思うのは空海ほど天才という言葉が似合う人はいないのではないかということです。10代で儒教、道教、仏教を比較して仏教の優位性を説いたり(しかも戯曲という形で)、遣唐使として唐に渡れば、現地の中国人よりも漢詩が上手く中国人の尊敬を集めたり、唐に渡って半年で梵語をマスターしたり、帰国後は氾濫を防ぐための大きな溜池の土木工事をしたり(現在も香川県で使われている)と1つ成し遂げただけでも凄いのに、そういうエピソードが多岐に渡ります。そして1番凄いのは、勿論真言宗という密教の宗派を開いた