司馬遼太郎のレビュー一覧
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朝日文芸文庫
司馬遼太郎
街道をゆく 「沖縄 先島への道」
重厚な紀行文。面白い。琉球文化の深さなのか、著者のような識者が掘れば掘るほど 面白さが出てくる感じ
著者の目線は 近代の超克
沖縄史を研究し、足を運び 現地の人と話しながら、国家を超えるものを探しているように思う
明快な結論はないが「倭人」という言葉を近代超克のヒントにしている
*倭人=日本という国家の規制を受けず、村落共同体に生きる人
*国家ではなく、村落共同体で人を捉えるという意味だと思う
沖縄に行くなら
沖縄戦、琉球処分、人頭税、柳田国男ら沖縄文化論、池間栄三 「 与那国の歴史 」を 理解してから行きたい。
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Posted by ブクログ
ネタバレ唯一人の長州人、という異常な緊張感と寂寥感が、どう屈折してそうなるか、晋助に自由を与えた。
自由とは、こうである。
晋助の隣りに、他家の娘が臥ている。その娘の脛を晋助は白々とめくった。
(おれは何をしようとしているのだ)
と、驚いて自問したときには、自分の中に皮膜を破りちらして別の自分が誕生していることを知った。
(かまわぬ)
傲然と答える自分が、である。浮世の道徳法律(とりきめ)などはなんであろう。法律的には自分は朝敵であり、道徳的にはすでに殺人者であり、しかもなおその殺人は主義で正当化され、道徳的な罪悪感はない。さらに、
(この焼け跡の都で、おれ一人が人間の外だ。おれはただひとりで -
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ネタバレ「わからないけど」
と、つぶやいた。おのうが言うところでは生きる甲斐もなくきていて、たまたま晋助という男を知り、ごく自然に身をまかせた。いずれは離れてゆく男だということはわかっているが、こうして一緒にいるあいだだけでも亭主だと思いたい。幻覚かもしれないが、この幻覚を自分は楽しんでいる。亭主が長州の間者ならばそれはそれでおもしろく、自分も間者の女房としてあぶない瀬を踏んでみた。やってみると結構たのしくもある。この幻覚のなかでたとえそのために死んでも自分に悔いはない。というのである。
(そういうことかな)
と、晋助は自分の身に引きかえておのうという女と、その言葉を想った。この女は幻覚こそ生き甲 -
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幕末に起こった暗殺事件を題材にした短編小説集。
ワザワザ小説集と言うような書き方をするのは、事件自体は本当に起こった出来事であり、歴史的検証や登場人物の後日談等も丹念に綴られている為うっかりすると史実かと思ってしまう程臨場感タップリのお話ばかりである。
もっとも幕末の諸藩の立場や個々の事件に関しての予備知識が無いと読んでいてもつらいかもしれないマニアックな事件が多い。
筆者自らあとがきで「歴史書ではないから、数説ある事柄は、筆者が、この方が真実を語りやすいと思う説をとり、それによって書いた。だから、小説である。」とあるので史実とは多少違うところも有るだろうし、登場人物の人間関係や心の動きなど