司馬遼太郎のレビュー一覧

  • 翔ぶが如く(四)

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    【感想】
    「竜馬がゆく」とは大きく異なり、現世に近いドロドロとした人間関係がエグイ・・・
    大久保と西郷、2人とも日本の将来を展望していると言う意味では同じ立場かつ同じ目線なのだろうが、
    それぞれの立場やわだかまりがズレを生じさせつつ、それが日本全体に波及していっている。
    いくら影響力がある者同士とはいえ、国家を揺るがすくらいの問題になるのが今では考えられないなぁ。

    とは言え、今は爆発寸前で一点の揺らぎもない状態で物語は進んでいる。
    たまに突き合いがある程度でハラハラする事もなく、少々読んでて退屈になってきた。


    【あらすじ】
    西郷に続いて官を辞した、もとの司法卿・江藤新平が、明治七年、突如

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    2018年06月11日
  • 翔ぶが如く(八)

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    変わらずエッセイ風に進む。
    彼の主観を通してだが、ずいぶん篠原国幹という男は無能で、こんなやつがいたら本当にたちがわるい。
    無口が威厳を醸す無能。

    そして勝海舟の肥大化する自己顕示欲も、かわいいが、小物である。
    私心の彼と無私の象徴のような西郷が、歴史的事業をおこなったということが面白い。

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    2018年06月02日
  • 翔ぶが如く(七)

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    いよいよ西南戦争へ。
    実にくだらない下っ端の暴発や勘違いから、内戦がはじまる。空気というのは怖いものだ

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    2018年05月18日
  • 空海の風景 下巻 (改版)

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    下巻は空海と最澄の確執?に終始した印象で、自分が興味のあった空海が為した様々な事業や功績に関する記述が殆ど無かったことが残念です。
    空海の密教思想が途轍もなく素晴らしいものであろうことは何となく感じましたが、その凄さを理解するには自分はあまりに知識が足りなく、不完全燃焼で終わってしまいました。
    一度高野山に行かなければと思わせるだけの魅力は感じましたけどね。

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    2018年05月07日
  • 花神(上)

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    P470
    しかし日本中が福沢のように訳知りで物分かりが良すぎてしまってはどうなるか。かえって夷人どものあなどりをまねくにちがいなく、国家にはかならずほどほどに排他偏狭の士魂というものが必要なのだ、ともおもった。

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    2018年04月28日
  • 翔ぶが如く(六)

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    本筋を見失うほどの、余談のオンパレード(しかも重複多い)。
    もちろんスピード感などまったくなく、唯一神風連の乱の描写だけは多少なりともスリリングだった。
    変わらない構造に辟易。

    しかし、これは、それぞれが独立したコラムなのだ、と思うようになってから、遅滞がなくなった。

    また、もともと西郷の人格に興味があり手に取ったが、読み進むに連れて、本当にえらいのは大久保だったのではないか、と思うようになってきた。
    彼の沈黙と実行、忍耐はなみではない。

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    2018年04月25日
  • 翔ぶが如く(五)

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    台湾出兵の後始末から撤兵、民権運動の興り。

    余談の多さ、重複のしつこさ、変わらず。
    ただ、やっぱり微妙な文章表現は刮目すべき所多々あり。
    また中江兆民が非常に魅力的だ。聖俗合わせもち、かつ無垢であるところが。

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    2018年04月08日
  • 空海の風景 下巻 (改版)

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    小説というよりも、空海の足跡を追ってその行動と思想をたどるエッセイという色合いの強い作品。
    もちろんフィクションや作者の空想の部分も多いのだろうが、出展先を明示したり他の作品とは一線を画している。
    時期的には「街道を行く」に取りかかるころなので、その先駆けとなったのかもしれない作品。

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    2018年03月27日
  • 人斬り以蔵

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    司馬遼太郎の、坂の上雲などに興味があるがなかなか長編は大変ということでまずは短編を読んでみた。

    上士、郷士、足軽の歴然とした身分制度(文化とは恐ろしい)にビックリした。

    また、以蔵の武市に対する愛憎が印象に残った。
    良いとか悪いとかではなく何かモヤモヤしたものが残っている。

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    2018年03月27日
  • 殉死

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    事実誤認の多さが、今では批判されているらしい
    ウィキペディアなどで調べてみてください
    しかしまあ娯楽小説ですから

    日露戦争の旅順攻略戦において、六万もの犠牲を出した乃木希典は
    今なお愚将との謗りを受けることが多い
    ただ実際の問題は
    当時すでに、半ばお飾りの大将だった乃木自身のことよりも
    参謀の伊地知幸介らが、己の固定観念とプライドにとらわれすぎて
    外野の意見を聞かなくなっていた点にあった
    損害が大きくなって、やむを得ず大本営の進言を受け入れたが
    それを上手く生かすこともできないまま
    結局、児玉源太郎においしいところをさらわれる格好となった
    マクロな観点で戦場を眺めわたす目を、伊地知が持ち得な

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    2018年03月15日
  • 酔って候

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    ネタバレ

    幕末の動乱の中で偶然にも出現した賢候たち。実際賢かったとは思うが、それ以上に各国の頭という立場故に誇張された噂が時代を変転させた原因となる、言い換えれば実力以上の影響力を残した賢候達の物語といえます。

    土佐の山内容堂は豪傑で酒飲みという印象だが、歴史の大きな立役者たる坂本龍馬の存在を知らず、志士である武市半平太を死に追いやるなどで佐幕に固執したために視野が狭くなり残念な末路に。
    島津久光についても同じようなものを感じるが自己に驕りすぎる気質があり、大成を成したとは言えない存在に。
    伊達宗城、鍋島閑叟についてはあまり知らなかったが今回の短編で興味がもてた。
    司馬作品は長編こそやはり楽しく、短編

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    2018年03月14日
  • 翔ぶが如く(四)

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    感想は変わらず。
    ただ、江藤の死と征台という二大事件が多少読む速度を上げる。
    後者のお粗末ぶりは、同じ日本人として悲しくなるばかりである。大事なのは文明である。

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    2018年03月11日
  • 翔ぶが如く(三)

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    この小説は、西郷のほんとうのところを、事件を通して何度も何度も語り続けるものだとわかった。
    だから、この巻は征韓論をめぐるやりとりになるが、全体の色調はほかと変わらないのだ。
    つまり、この作品はよっぽど西郷に関心を抱くような人間でないと面白くはない。反面、司馬遼太郎の真摯さ・愚直さが伝わる作品なので、司馬遼太郎の研究にはかっこうだろう。

    お話としては、征韓論をめぐる、非常にぬめっとした決着である。まだ「仕組み」が可視化されていない時代、ほとんどが「流れ」で決まっている。流れゆえ、歴史は物語になりやすいのだろう。

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    2018年03月10日
  • 胡蝶の夢(四)

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    「御為」
     という至上の(もしくは無意味な)目的もしくは正義の名のもとに、人殺しであろうが物盗りであろうが、すべてゆるされるというふしぎな時代がはじまっているのである。
     正義の時代というべきであった。
     日本人に「正義」を教えたのは、強烈な観念論である水戸学であったろう。
     幕末、革命の必要が成熟しつつも、普遍的な革命思想や哲学が入らず、結局、世界史の流れとは無縁の、手持ちの水戸学的尊王攘夷でもって革命思想の代用とせざるをえなかった。
     その「正義」のもとに文久年間には天誅が流行して佐幕派ーー開国主義者ーーが暗殺され、のちには攘夷御用という御用盗まで流行して江戸、大坂の富家をおびやかした。と

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    2018年02月25日
  • 胡蝶の夢(二)

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    「イノサンよ、新薬についてちゃんとした本がないと、蘭方の医者が迷うのではないか」
     と、関寛斎が伊之助に話したことから、この両人の関係が密接になった。寛斎は伊之助の実力に敬服していたが、ひとつにはこういうかたちで伊之助を解放しようと思ったのにちがいない。
     関寛斎からこの著作についてすすめられたとき、伊之助はしばらく否とも応ともいわず、斜視の視線を宙に遊ばせていた。
     寛斎からみれば、無感動な横っ面がとげをふくんでそこに存在している感じで、なにか不調和なのである。
    (考えているのだろう)
     寛斎は推量したが、
    (これが、ひとに嫌われるもとでもあるのか)
     とも思い、さらに考えてみた。寛斎の思案

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    2018年02月25日
  • 胡蝶の夢(一)

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    「人間は、本来、猛獣かひどく気味のわるい動物だったかもしれん」
     と、いった。そのくせ人間は虎のように一頭で生きるのではなく、群居しなければいきてゆけない動物なのである。群居するには互いに食いあっては種が絶滅するから食いあわないための道徳というものができた。道徳には権威が要るから、道徳の言い出し兵衛に権威を付け、いやがうえにもその賢者を持ちあげてひろめた。しかし道徳だけでは、事足りない。人間の精神は、傷つけられやすく出来ている。相手を無用に傷つけないために、礼儀正しい言葉使いやしぐさが発達した。人間にとって日常とはなにか。仕事でも学問でもお役目でもなく、それぞれの条件のもとで快適に生きたい、と

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    2018年02月25日
  • 翔ぶが如く(二)

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    相変わらず、余談のオンパレード。
    重複もはなはだしい。
    人格に触れることばかりで、まるで虚構船団のようだ。

    ここまでが序章、と思いたい。

    しかも、千絵という章は蛇足もいいところではないか。
    急にメロドラマ風の安い設定。謎であった。

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    2018年02月20日
  • 翔ぶが如く(三)

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    【感想】
    大久保利通の若干の狡猾さはあるものの、彼とて親友の西郷を出し抜く事に心を痛めているような描写もあり可哀相だなと思った。
    しかし、後年にも語り継がれる西郷の偉大さからは想像できないほど、晩年(というか明治時代)の西郷は愚鈍な人間っぷりだった。
    それもそのはず、西郷には桐野利秋というフィルターがかかっていたからねぇ。
    優秀な人材はもちろん、些細な情報からでさえ彼は蚊帳の外になってしまった。

    YESマンで周りを固めた「お山の大将」になってしまえば、こうも愚かになってしまうのだろう。
    そう思えば、自民党圧勝のこれからの日本がどうなるのか、先行きが怪しく感じてしまう・・・

    あと個人的に、今

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    2018年01月28日
  • 翔ぶが如く(二)

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    征韓論を巡る駆け引き、公家は恐ろしい 公家は強い方に着くという事がよくわかる。三条実美は西郷の渡韓を一度は認めておきながら、伊藤 大久保に言いくるめられて、撤回する。怒る西郷。

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    2019年05月03日
  • ビジネスエリートの新論語

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    司馬遼太郎によるビジネスマン向けの指南書。

    といっても実際に書いたのが50年前なので、さすがに古臭い感じ。

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    2018年01月15日