司馬遼太郎のレビュー一覧

  • 夏草の賦(上)

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    龍馬もだけど、この人、こういう人なのー!って驚きが面白い。
    元親の小心なのか大物なのか微妙な描き方。
    美濃から嫁いだ菜々の大らかというか豪胆というか。
    「いくさに勝つということは、さほどむずかしいことではない。勝つ準備が敵よりもまさっていればもうそれで勝てるのだ。」とあっさりいう元親。それを理解し実行できるのはまさに天賦の才。
    「武士の腹は真っ白でなければならぬが、しかし、大将はちがう。墨のような腹黒さこそ統一への最高の道徳だ」
    臆病だからこそ誰よりも準備を重ねる。
    土佐から阿波を切り取り、時には大きな犠牲を払い力で押し、いよいよ四国全てが目前となった時、信長が四国まで手を伸ばしてきた。
    「天

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    2015年09月16日
  • 故郷忘じがたく候

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    2年ぶりに読んだ司馬遼太郎は、以下、中篇3篇を収録。

    豊臣秀吉による朝鮮出兵の際に祖国から連れてこられた朝鮮の民。彼らが抱く故郷への思いを哀切に描く「故郷忘れじがたく候」。
    明治初年、会津討伐のため奥州に派遣された長州藩士/世良修蔵の悲劇を描く「斬殺」。
    戦国時代、明智光秀の三女にして、細川忠興に嫁いだ明智たま(後の細川ガラシャ)の奇矯な生涯を描く「胡桃に酒」。

    収録の基準はよく分かりません(落穂拾い的?)が、3篇のなかでとりわけ印象に深い作品は「胡桃に酒」。
    なんといっても夫・忠興の嫉妬深いエピソードが過激。たまたまガラシャ夫人と目が合った植木職人の首を“目が合った”というだけで刎ねてし

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    2015年08月31日
  • 世に棲む日日(三)

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    藩主への忠誠と自分が行おうとしていることの矛盾。そこが特に表現されていたと思う。矛盾した感情の中で、他人に苛立ったりはするが、自分の考えに迷いはないという高杉晋作の人物像を見事に確立させたかと思う。

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    2015年08月29日
  • 新装版 箱根の坂(中)

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    20150827 展開がゆっくりなので少し読み疲れてしまった。この先が本来知りたかったところなので少し疲れをとってから読む事にする。

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    2015年08月27日
  • 新装版 最後の伊賀者

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    書名となっている「最後の伊賀者」の他に六篇の短編がおさめられている。
    始めからの三編は「伊賀者」がテーマであるが、むしろ「伊賀者」がテーマではない最後の三編「天明の絵師」、「盧雪を殺す」、「けろりの道頓」が私的には楽しめた。
    難しい表現も少なくて読みやすい短編集だ。

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    2015年08月26日
  • この国のかたち(二)

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    紋;たしかに 墓には 紋が彫ってある。
    『さがり藤』

    調べてみたら。
    本で多く使用されている家紋のひとつに、藤紋がある。藤は長寿で、繁殖力の強いめでたい植物。この藤をデザイン化したものが「藤紋」。藤紋は日本でもっとも栄えた藤原氏がもちいた紋。藤原氏はもと中臣氏で、中臣(藤原)鎌足が大和に藤原の里を下賜されてからおこり、のとのちまで栄えた氏だ。人々はこの藤原氏にあやかって藤紋を使用するようになったようだ。(丸に下り藤)

    へぇ。驚いた。

    天領と藩領
    税金が違う。四公六民が 天領。紀州藩は 八公二民。
    それは、すごいなぁ。

    金と銀。
    日本が ジパングと言われるには
    金の精製技術にあった。

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    2015年08月23日
  • 新装版 箱根の坂(上)

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    20150815 興味はあったがなかなか知る機会が無かった。大道の司馬遼太郎で書かれてない訳はなかったのだが。今の所、平坦なストーリー。この後、どう転換するのか?楽しみだ。

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    2015年08月16日
  • 翔ぶが如く(九)

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    ネタバレ

    西南戦争も佳境に入った。会津の山川浩や佐川官兵衛がでてきてテンションUP↑UP↑↑ 西南戦争は戊辰の復讐戦だぁ!



     ちょいちょい日露戦争に繋がる情報が出てくるところが司馬遼太郎。歴史の繋がりを感じる。だから明治維新は面白い。


     さらに、この頃の間違いが繰り返されているなぁと良く感じる。
     太平洋戦争はまさに同じ様相である。兵士の勇猛さに頼っただけの戦略。戦略じゃねぇ。でもこういうセンセーショナルなことの方が人々のハートをキャッチしちゃうんだなぁ。

     次巻、最終巻。長かった…。たのしみ、たのしみ。
     

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    2015年08月13日
  • ペルシャの幻術師

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    『兜率天の巡礼』ではキリスト教の異端として、5世紀東ローマ帝国の首都コンスタンチノーブルを東に逃れる一派についての記載がある。彼らは、ペルシャを経てインドへ入り、インド東岸から陸路で中国沿岸をつたいつつ東海の比奈ノ浦へ流れ着いた。兵庫県赤穂郡比奈ノ浦には大避(ダビデ)神社現存する。仏教よりはやく古代キリスト教が日本に伝わっていた可能性がある。同時期に読んでいた『風の武士』の安羅井国の住人とは日本に住み着いたイスラエル人であった。同時期に読んだ本がリンクしているのが面白い。

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    2015年08月12日
  • 城塞(下)

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    豊臣家の滅亡と戦国時代の終焉を描いた本。家康の嘆きや心配事が会社の会長に思える。いつの時代も老人の悩みは同じなのだろう。淀君さえいなければ豊臣家は復興できたのかもしれなれないと読むほどに思う。そして、自分の子どもは選択できる大人に育てたいと強く思った。真田幸村、後藤又兵衛、かっこよすぎる。これで司馬遼太郎の国とり物語から始まる戦国物は読破できたのではないか。なんか達成感があるな。

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    2015年08月12日
  • 新装版 風の武士(下)

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    物語の終盤になって、やっと面白くなってきた。
    最後の種明かしは楽しめたが、司馬さんの小説にしては、登場人物の人間的魅力がちょっと少なかったように感じる。

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    2015年08月01日
  • 新装版 風の武士(上)

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    伊賀忍者の末裔である貧乏御家人の柘植信吾が、巨万の財宝が秘蔵されている人知れぬ「安羅井国」の謎を解き明かすという内容。
    上巻では、なかなか物語の真意がわからず進行していく。誰が敵で、誰が味方なのか。
    話が大きく動くであろう下巻に期待。

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    2015年08月01日
  • 北斗の人 新装版

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    千葉周作を 骨太に 描く。

    馬面の馬医者を父親 幸右衛門とし、
    千葉周作との 不思議な親子関係が、
    なんとも言えない 味わいがある。
    父親の挫折、そして 母親への愛情があふれ、
    千葉周作への 想いも いいねぇ。

    千葉周作が あまり話さないひとだったという
    状況もありながらも、合理主義的な剣道の指導方法を
    編み出したことに、司馬遼太郎は 高く評価する。

    意味不明の言葉を駆逐して、『瞬息』という
    先んずれば制するという 合理にたどり着いている。
    なぜ、それにたどり着いたのかが、
    良くわからないのが 司馬遼太郎らしい物語の作り方。

    『心気力の一致』

    千葉周作は かなり筆まめだったようだ。

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    2015年07月14日
  • 項羽と劉邦(中)

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    ネタバレ

    あらためて劉邦が大きな空虚であることを思った。張良が将権を代行すると、まずいことが多かった。かれが一個の実質であるため、かれに協力する劉邦の幕下の多彩な才能群ともいうべき諸将は張良の意中をいろいろ忖度することに疲れ、結局はその命を持って動くのみで、みずからの能力と判断でうごかなくなってしまう。とくに後方補給と軍政の名人という点で張良以上である蕭何の場合、この幣がいちじるしかった。張良の作戦が正と奇を織り交ぜて複雑になるため、蕭何にすれば補給をどこに送っていいかわからず、結局は悪意でなく怠業状態におちいり、張良が後方の蕭何へ連絡者を走らせて命令と指示を伝えねばならなくなった。このため、張良も疲れ

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    2015年06月30日
  • 項羽と劉邦(上)

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    ネタバレ

    ――智は大切なものだ。
    項羽は、范増をからかうようにいったことがある。
    ――ただし智というのは事後処理に役立つだけで、勝敗そのものに役立つわけではない。と頭から信じているようであった。
    項羽のこの気力に対する信仰は、彼を教えた項梁からひきついだものでないことは、項梁がむしろ智者の煩わしさを持っていたことでも察せられる。項羽はどうしようもなく項羽そのものであった。項羽の武人としてのすべては天性というほかない。しかもかれのおもしろさは自分の天性に対し、他とくらべてのひるみもうしろめたさも持たず、むしろ楚人一般が鬼神を信ずること甚だしいように、かれ自身、ごく自然に自分の天性の中に鬼神を見ているという

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    2020年11月04日
  • 空海の風景 下巻 (改版)

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     密教とは何ぞや、現世を否定する釈迦の仏教に対して「現世という実在もその諸現象も宇宙の真理のあらわれである」いうことを密教の創始者は考えた。そして宇宙の真理と交信するために魔術、呪文、マジナイのたぐいを利用した(P104~参照)現世のご利益にあずかる趣旨の神社(土俗)風なものとわたしは思える。この密教が当時の政権に大いに受け入れられる。

     南北朝時代の真言立川流って何、詳しく知りたいかたはググってね(笑 そして何よりもあの有名な、空海が弥勒菩薩とともに下生するといわれた56億7千万年という数字が銀河の一回転(ニネヴェ定数)とかかわりがあるらしい、なにかと謎の多い空海であった。

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    2015年06月21日
  • 以下、無用のことながら

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    ネタバレ

    〝好きやねん〟という言葉が流行っていたころ、見聞きするたびにぞっとしました。ふつう、大のオトナが、女子中学生のような言葉をつかうでしょうか。〝きらいやねん〟というのも、おなじことで、好き・きらいという感覚語をできるだけ抑えて表現するのが、一人前の人間だと思うのです(むろん、人間には好き嫌いがあって、それを抑制するほうがいいということではありません。コトバの問題としてのみ考えてのことです)。

    もしも科学者の全部が、この両極端のどちらかを固執していたとするならば、今日の科学はあり得なかったであろう。デモクリトスの昔はおろか、十九世紀になっても、原子の存在の直接的証明はなかった。それにもかかわらず

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    2015年06月05日
  • この国のかたち(四)

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    この巻の目玉はなんといっても「統帥権」に関するもの。大正から昭和初期の約30年間、日本は全く別の国になってしまい、近隣諸国に迷惑をかけたばかりか、自国民にも未曾有の災厄をもたらした。なぜそうなってしまったのかの原因の核となるものが軍部の統帥権であるという解説。なぜ日本人があの様な戦争を起こしてしまったのかを考える上で、重要な示唆だと思う。

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    2015年05月09日
  • 風神の門(下)

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    下巻では、いよいよ才蔵と佐助の忍術の出番が多くなります。
    しかしながら、才蔵と佐助の「忍者」というキャラクターの特性に頼るだけではなく、人間模様や、才蔵の伊賀忍者としての硬派さ、佐助の棟梁としての胆力……そのような面でも面白さが溢れています。
    久々に再読してみても、楽しく読める司馬作品でした。

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    2015年04月30日
  • 世に棲む日日(三)

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    淡々と、晋作が長州で暴れ始めるところで終わる。
    何か、どうして長州が暴発したのか、佐幕派、改革派がころころと変わっていった過程が、ほかの書ではあまり見えてこないから、今回の本でだいぶ理解できた。 先の読んだ、花神でもいまいち良くわからなかったが、今既に4巻目。
    最後はどうなる?

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    2015年04月11日