司馬遼太郎のレビュー一覧
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ネタバレ鍍金(めっき)を金に通用させようとする切ない工面より、真鍮を真鍮で通して真鍮相当の侮蔑を我慢するほうが楽である。〈夏目漱石〉
ずいぶんと人を食ったコトバである。こうクソミソにコナしつけては実もフタもないが、真鍮は真鍮なりの光がある。その光の尊さをみつけた人が、平安期の名僧最澄でだった。「一隅ヲ照ラス者、コレ国宝ナリ」
「私は科学的なものでなければ信頼する気になれませんわ。一ダース位の重宝な格言を準備して置いて、それを世渡りのいろんなポイントに使い分けして、したり顔に暮らしている世間のエライ人達を観ていると、気が遠くなりますわ。あんな瘡蓋のような思想が社会の表面を被うている限り、我々の人生は -
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ネタバレ大坂の冬の陣・夏の陣を、戦が始まるきっかけから大坂城落城まで描いた歴史小説。
2016年大河ドラマ「真田丸」の予習として読んだ。
主人公は小幡勘兵衛という牢人で、後に軍学者となる人物。彼は、戦の表舞台には立っていないが、徳川方の間諜として豊臣方に入り込んでいた人物であるため、両者を行き来しつつ狂言回しとして物語を進めていく。でも、途中で時々、全く登場しなくなり、誰が主人公だっけ?となることも。司馬小説ではよくあることだけど(いわゆる「余談だが現象」)。
たまに勘兵衛が、恋人お夏のために豊臣方に肩入れして徳川を裏切りそうになり、その場面だけはグッとくるものがあるのだけど、最終的には打算と私利私 -
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この巻は西南戦争が起こる1年前の明治9年をメインに描かれていました。
島津久光さんについても詳しく書かれていたよ。
この殿さま(って藩主になったことはないけれど…)の超エラそうな立ち位置をいつも不思議に思っていたので、その点がとても興味深かったです。
今回は西郷さんや大久保さんの動きはほとんどなかったけれど、太政官に不満を抱く士族たちの怒りが火を噴き始め、熊本で神風連の乱、そして長州で萩の乱が起こるところまででした。
これらは政治的ポリシーがないとか、他力本願的無計画だったりしていて、明治維新もそうだけど、頭が良くて全体が見渡せるようなタイプは暴力で事を起こそうとはしないのだな…と思いま -
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ネタバレ一部のノリの良い下級武士出身者がフィーリングで運営していた明治政府がいかにテキトーであったかがわかる本。
一例を挙げると、各地に贅を尽くした高そうなお庭を作りまくった長州の山縣有朋さんは、やっぱり汚職しまくってるし、権力主義の成りあがりだったっぽい。
この巻は、西郷隆盛さんが征韓論で下野したあとに不平士族を慰安すべく台湾に乗り出した顛末記でした。
なので、西郷さんは全然出てきません。
メインは大久保利通さんの巻でした。
西郷隆盛さんの征韓論は潰したくせに、その弟の従道さんをトップに台湾に押し入る(名目は遭難した琉球人が台湾の高砂族に殺されたことに対する報復)だなんて、支離滅裂な政権運営 -
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西郷隆盛さんが明治6年の政変で下野して、鹿児島につくった私学校は、かなり政党的色彩の強いものだったみたい。
てか、この頃は本当に行政が一部の薩長土肥の元下級士族に「私」されて、本当にズブズブだったんだね。
それと、征韓論はダメなのに征台論はOKって、対外的にも対内的にも何も言わずに4千人近い「軍人」を他国へ押し込ませるってダメだと思う。
明治初期ってのは、過激派サークルのノリで全体を見れない(見る立場にもない)兄ちゃんたちが勢いで政権を倒しちゃって、それまで手にすることができなかったお金と地位と高級な女性たちに入れあげてただけの時代だったのかもね~。
長く続いた江戸時代・徳川幕府の残像で -
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ネタバレ征韓論に敗れ、西郷隆盛さんは鹿児島へ帰りました。
それに合わせて、明治政府内にいたたくさんの元薩摩藩士たちが下野し、大久保利通さんは完全に薩摩色を失い、政府内にできた空白に長州が食い込んでくる…と。
西郷さんの征韓論は、朝鮮を支配したいというものではなく、ロシアの南下政策に対抗すべく、国防をイギリス支配下の中国に丸投げしてのうのうとしている危機意識のない朝鮮に明治維新の精神を「輸出」し、いずれは、中国・朝鮮・日本で連盟を組んでロシアに対抗しようとするもの…と司馬さんは解釈しているもよう。
いずれにしても、やっぱり西郷さんのキャラは愛せるけれど、長州の輩は愛せないなぁ…って思いました。
今の