司馬遼太郎のレビュー一覧
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本書は再読だ。
というのも以前読んだことがあるはずであるのに、ほとんど記憶に残っていなかったので、「も一度読みだしたら思い出すだろうか」という気持ちで再度手に取った。
司馬遼太郎の短編、全12編。あとがきを読んでわかったことだが、これは幕末の「暗殺」をテーマとしたショート小説集だ。たぶん、前回はあとがきを読まなかったのかもしれない。
その中で司馬遼太郎氏はこう語っている。「書き終わって、暗殺者という者が歴史に寄与したがどうかを考えてみた。」・・・「ない」と。
その中で著者が、これだけは例外という、歴史を躍進させた暗殺事件「桜田門外の変」から本書は始まる。そして新政府が誕生するまでの時代 -
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・果心居士の幻術
信長の時代
松永弾正小弼久秀の使われ者「悪人の手伝いをしたい」
天竺人と倭人との混血
婆羅門教
・飛び加藤
忍者
五尺にみたぬ小男
永江四郎左衛門が連れてきたが上杉謙信は召抱えず
・壬生狂言の夜
新撰組=壬生浪
土方歳三(副長)が松原忠司を暗殺する
・八咫烏
海族×出雲族の混血
海族としての精神×出雲族の心&体&顔
比叡山麓の御生山「御影神社」(京福電鉄三宅八幡駅)
・朱盗
死者の腐敗を防ぐために棺に詰められている唐渡りの朱を盗む
大宰府ノ少弐藤原広嗣
扶余の大将軍
・牛黄加持
牛黄=牛の病塊
牛の角、肝臓、胆嚢、心臓に生ずる肉腫or癌
肝 黄=死牛からとったもの
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「世に棲む日々」「播磨灘物語」に続いて今年3作品目の司馬遼太郎長編作品。
舞台は江戸時代中期。主人公は武将でも政治家でもなく、廻船業者の高田屋嘉兵衛。今まで彼の名はゴローニン事件でロシアに囚われたというくらいの知識しかなく、人となりや業績などは全く知らなかったので非常に楽しみである。
本巻では、彼の少年時代から海の男として身を起こすまでを描く。彼の出身は淡路島の貧家(農家)ということで、今後大廻船業者として成長していくのだからサクセスストーリーか。前半部は閉鎖的な村社会において虐めや村八分の制裁を受けたりと痛々しいものだが、彼の真っ直ぐな性格と抜群の行動力によって成功への道を切り拓いていく -
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備中高松城攻めから隠居まで。
山崎合戦や関ヶ原合戦の描かれ方は淡白だが、それは官兵衛自身事前準備や段取りの役割を終えたという感情を反映しているのかもしれない。
信長死後の秀吉の変節は、単に下劣な本性が出たものと思う。日本では古来、大陸や朝鮮半島の文化を進歩したもの、鮮やかなものとみなしていたが、朝鮮出兵以降それらを見下すようになってしまったのだ。大阪で太閤などと持て囃すのが理解できない。
石田三成も然り。先日、歴史討論番組で「三成が関ヶ原で勝っていれば、日本人は島国根性を持たずに済んだ筈 云々」を発言していた歴史家がいたが三成の度量では誰も着いてこないだろうと思う。 -
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ネタバレ司馬遼太郎になる前、福田定一時代の花にまつわる幻想短編集。花の香りは妖しく、歴史の心象風景に欠かせないものだったのだな。
花を知っている人間になりたい。間違いなく、花を知っている人間は本をたくさん読んでいる。そう感じる。
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「水仙」 … ナルキッソス。美しい。どこもまでも美しい。美しいという言葉はいかにも妖しい。
「チューリップ」 … 別所長治の自害した遺骸の側に生けられていたという奇譚。チューリップは明治になってから日本に入ったはずだろ?
(別所長治:織田家臣だったが、信長が上月城を見捨て秀吉を取り立てたことで離反した。荒木村重のように三木城に籠城して対抗したが、秀吉に -
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信長が殺された。秀吉は「主の仇」光秀を山城山崎で討ち、その二年後には、豊臣政権を確立した。
官兵衛は自分の天下構想を秀吉という素材によって、たとえ一部でも描きえたことに満足だっただろう。
この戦国の異才が秀吉に隠居を許され、髪をおろし入道し「如水」と号したのは、四十八歳のときであった。
(当書裏表紙あらすじより)
お盆休みが予想以上に悪天候に恵まれた(?)おかげで、読書に勤しむ時間が普段以上に取れました(笑)
かつ、本著の前半から中盤過ぎまでが、中国大返しから山崎の合戦を予想以上に細かく書いてあったので、ついつい先が気になって読むスピードが一気に速まってしまい、結果として10日ちょっとで読み