司馬遼太郎のレビュー一覧

  • 世に棲む日日(二)

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    吉田松陰が死に狂気の後継者として高杉晋作が動き出す。革命とは、第一に理想を掲げる者がいて、第二に驚異的な行動力でその理想を実行するものが出てきて、第三に現実的にそれをならす者が出てくる。そして往々にして第一、第二の人物は非業の死を遂げるという話しになるほどなと思う。吉田松陰の狂気の思想を狂気の行動で動かしていこうとする高杉晋作。第3巻でどこまでイカれてくるのか、すごく楽しみである。

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    2016年01月09日
  • この国のかたち(六)

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    後半からちょっとずつ説教くさく…(笑)

    全巻楽しく読みました。
    時折わが身を振り返り、胸が痛く…頭も痛く(笑)
    本を読むということは、客観的な自省が可能になるという点で、とてもいいことです。

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    2016年01月02日
  • 義経(上)

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    司馬遼太郎の義経、上下巻読み終えた。

    源平合戦がどのような戦いであったか、平家側の心理状況もよく分かり、戦いの描写も臨場感を感じながら読むことができた。

    なぜ義経が頼朝に追われ、そして殺されなければならなかったのか、意外と理解していなかったのだが、義経の人物像からそれが十分伝わってきた。

    どれだけ才能があったとしても、組織の中で動く以上、政治がわからないといけない。組織で働く方にとっても示唆に富んだ内容だったと思う。

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    2015年12月31日
  • 義経(上)

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    頼朝、義経の出会いのシーンが感動的であったために、兄に従順な義経に胸が痛む…
    頼朝、義仲視点で進む章も面白く、各所に挟まれる補足説明も勉強になります

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    2015年12月30日
  • 幕末

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    桜田門外の変から始まる幕末暗殺録。
    なます斬りにされて生き延びたのにも関わらず奸物みたいな人生と評される井上馨は強い!

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    2015年12月09日
  • 世に棲む日日(二)

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    ネタバレ

    日本は、この列島の地理的環境という、ただひとつの原因のために、ヨーロッパにはない、きわめて特異な政治的緊張が起こる。外交問題がそのまま内政問題に変化し、それがために国内に火の出るような争乱が起こり、廟堂(政府)と在野とが対立する。廟堂とは体制のことであり、外交を現実主義的に処理しようとする。野はつねに外交について現実的ではない。現実的であることを蔑視し、きわめて抽象的な思念で危機世界を作り上げ、狂気の運動をくりひろげる。幕末は維新のぎりぎりまで型に終始した。この他国にとってふしぎな型を理解するには、日本の地理的環境にかぎをもとめる以外になぞの解きようがない。

     幕威のこの急速なおとろえは、嘉

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    2017年09月22日
  • 花神(中)

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    蔵六だけにとどまらず、木戸孝允などの人間の描写がとてもきめ細かく、生き生きと伝わってくる。自分の性格にあった人物像を見つけられるのも、この本の醍醐味かもしれない。

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    2015年12月03日
  • 夏草の賦(上)

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    長宗我部元親、小心者でちょっと虚弱!でも大物! よくわからんようなわかるような人物やわ~
    奥方も面白い!

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    2015年11月30日
  • 功名が辻(二)

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    ネタバレ

    普通に面白い小説でした。
    山内一豊の出世を描く、千代の内助の功の話。

    伊右衛門は、木下藤吉郎(豊臣秀吉)の手についたが、出世は遅々として進まない。
    そして、ついに時代に転機が訪れる。
    信長が、本能寺で自害することとなったのである。
    その信長の後継者を巡って対立することになる諸将の中で、いち早く飛び出したのは秀吉であった。
    秀吉は、パフォーマンスと話術とで、あっという間に筆頭へと上りつめることになる。
    秀吉についた伊右衛門にも、ようやく運が向いてきた。
    伊右衛門は、四十歳を目前にして、ようやく大名になったのであった。
    ただし、たった二万石の……であったが。

    けれど、秀吉の天下も長くは続かなか

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    2015年11月09日
  • 大盗禅師

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    曰く、全集未収録の幻の作品。
    主題は謀反??
    主題に沿って、中国史が絡んでいき、鄭成功が登場する。
    台湾では英雄人物として祭り上げられているので、想像しながら楽しく読めた。
    が、メインテーマは鄭成功ではなく、なんとなく登場してみたという話の筋の支離滅裂さ。
    この流れが韃靼疾風録につながっていくのだと思えばご愛嬌か。

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    2015年10月31日
  • 翔ぶが如く(十)

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    つまらない戦争だった。西南戦争は薄っぺらい正義の戦争だったから。それでも事実だ。それを省みなかったから、太平洋戦争が…


     こんなふうに昭和の太平洋戦争が頭にチラつくのを禁じ得なかった。司馬遼太郎の作品だしね。


     10巻に及ぶ超大作は、面白くなかった。

     だから読みごたえはすごかった。また読み返したいとは思わなかったけれど、他の幕末シリーズ「世に棲む日々」を読もうと思った。

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    2015年10月28日
  • 十一番目の志士(下)

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    司馬遼太郎の作品にありがちなのだが、作品のプロットが途中で変わってきてしまっている。
    小栗上野介の暗殺の件はどうなったんだ?晋助を仇と狙う菊絵はどこへいったんだ?という感じ。
    最後も尻切れとんぼで終わってしまい、なんだか腑に落ちなかった。

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    2015年10月21日
  • 歴史と視点―私の雑記帖―

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    太平洋戦争には戦略というものはなかった。横井庄一氏のような兵隊を汽船に乗せ、地図にあるかぎりの島々にくばてまわり、配るについては海軍がその護衛をし、まるで棄民のように島々に捨て去りにしたあとは、東条英機という集団的政治発狂組合の事務局長のような人が、東京の大本営で「戦陣訓」というお題目をひたすら唱えつづけただけの戦争であった。20

    太平洋戦争というのは、それだけの戦争である。この戦争からひきだせる教訓などなにもない。

    「日本は地理的に対外戦争などできる国ではありませんね」というふうに言ってもらうほうがよく、いわゆる、十五年戦争に

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    2015年10月18日
  • 新装版 軍師二人

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    休日も育児で自分の時間を持つことも出来ないが、本日は一家で風邪。ダルいが、自室にこもり好きな本を飽きるまで読んでいられると言う状況は少し嬉しい。寝すぎて背中が痛いので、枕を3重にして頭の位置を高くして「軍師二人」を読む。

    黒田勘兵衛の話を読んだばかりで、軍師とは黒田勘兵衛と竹中半兵衛の話かと思いきゃ、さにあらず。関ヶ原の戦い前後の短編集。最初は著者が取材の中で集め、長編に入れられなかったマニアックな話で読みづらいなとも思ったが、読んでいくとはやり面白く、私の知識にある歴史とも繋がる部分があり興味深く読む。

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    2015年10月16日
  • この国のかたち(六)

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    「耳はばかですから」と、むかし酒を飲む席で秋田実氏がいわれた。この人は、いまは亡い。昭和初年に東京大学を出ると大阪にもどってきて、旧弊なマンザイを一新した人である。万歳を漫才という文字に変えたのもこの人だったと思うが、漫才はむしろ論理やつじつまが飛躍しなければならない。飛躍のあざやかさこそ漫才の本領なんです、と秋田さんはいわれた。ラジオの漫才を聞いている人は、例えば毛糸編みのアニメをかぞえながらでも聞くことができる。耳というのは言葉についてそれほど許容量の大きいものです、といわれた。「目はそうはいかない。実にうるさい」

    驚くことはたやすくない。大型動物を見て樹の上に跳び上がるリスのように、生

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    2015年10月02日
  • この国のかたち(四)

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    石油戦略という核心の部分は、むろん隠され、多くの別なことばにつつまれて窺うことができません。この構造を裏づけるに十分な経済力も戦力も日本にはないということまで、さまざまなことばによっておおいかくされ、人々に輝かしい気分をもたせたのです。敗戦の日に、佐々木邦というユーモア作家が「雲の峰 日本の夢は敗れたり」という俳句を作りましたが、この間の消息が想像できます。なにしろいまでもこの幻想を持続している人がいます。この幻想のもとに、そこに参加して生死した数百万の人々の青春も死霊も浮かばれないという気持ちがあるからでしょう。しかし自己を正確に認識するというリアリズムは、ほとんどの場合、自分が手負いになる

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    2015年10月02日
  • この国のかたち(三)

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    こういう不思議な例は、はるか千数百年くだって明治四年(一八七一年)の廃藩置県にもみられる。両方とも〝いまからはじまる世が、世界の普遍的な文明なのだ〟という国民的気分があって、みなやむなく従ったのかとおもえる。島国だけに、普遍性へのあこがれがつよいのである。

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    2015年10月02日
  • 人斬り以蔵

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    2015/9/30


    司馬遼太郎さんの、四冊目です。
    初めての短編。


    司馬さんは、その人の小説を書こうとするときに、
    きちんとその人の事を知って、肉体を持たせ、
    その人を愛して、そしてはじめて書くのだと思う。
    そうでなければ、あんな小説は書けないと思う。

    と、いう事を、
    山手線大崎駅の本屋前でふと思いました(笑)



    個人的には、
    『人斬り以蔵』がすきです。
    愚かさと、愛しさ、哀しさ。


    『鬼謀の人』
    大村益次郎の姿がとても魅力的に描かれていて、相変わらず司馬さんの手腕にため息。

    『おお、大砲』

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    2015年09月30日
  • この国のかたち(一)

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    人間というのは、よほど変人でないかぎり、自分の村や生国(こんにちでいえば母校やひいき球団もこれに入る)に自己愛の拡大されたものとしての愛をもっている。社会が広域化するにつれて、この土俗的な感情は、軽度の場合はユーモアになる。しかし重度の場合は、血なまぐさくて、みぐるしい。ついでながら、単なるナショナリズムは愛国という高度の倫理とは別のものである。

    しかし、その社会も成熟しはじめたいまとなれば、それがこんにちの私どもを生んだ唯一の母胎であるといわれれば、そうでもないと言いたくなる。いまの社会の特性を列挙すると、行政管理の精度は高いが、平面的な統一性。また文化の均一性。さらには、ひとびとが共有す

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    2015年09月19日
  • 夏草の賦(下)

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    本能寺の変で辛くも信長の手から四国を守った元親だったが、信長に代わり秀吉が四国へ攻めてきた。
    家臣に説き伏せられ、また土佐一国になった元親。秀吉に登城を命じられ秀吉の器の大きさ、土佐の貧しさ、田舎ぶりを思い知る。

    夢を失い、土地も失い、多くの犠牲への報いもできず、鬱々と過ごす元親。
    唯一の希望は匂やかな美丈夫に育った弥三郎だったが。
    まっすぐで清すぎる息子に不安も感じる。
    「腹中に三百の悪徳を蔵った一つの美徳を行じよ。それが大将への道だ。」
    弥三郎に女をモノのように扱えといいつつ、菜々を大事にしている様子が微笑ましい。
    大阪ほど金品に恵まれてはいなかったけど、家族としては幸せそうな長曾我部一

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    2015年09月17日