司馬遼太郎のレビュー一覧

  • 胡蝶の夢(四)

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    江戸末期の将軍の御殿医、松本良順を主人公とした医学会の話。漢方医が御殿で主導権を握っていたが、鎖国の中、出島から針の穴を通るように蘭学の情報が入り蘭医の先進性を認めざるを得なくなって来る。松本は御殿医でありながら江戸を離れ長崎でオランダ人を先生とする医学校、病院の設立と運営に奔走する。超保守的な江戸時代に黒船が来てからは幕府も先進的にならざるを得ないが、260年前からの体制では古すぎて瓦解してしまう。この本を読んで驚いたことは江戸時代の身分の層が緻密に別れていて、大抵の人間関係に上下がついてしまうことで、そうすると上下関係を認識させるために陰湿ないじめのようなことが起きる。天下泰平だったかもし

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    2012年10月13日
  • 菜の花の沖(六)

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     感動的なシーンがつづき、リコルドと嘉兵衛の詳細なやりとりも記載されてはいるがなにやらうそ臭さを感じてならない。現実に即していないというのか、観念的すぎる感じがするのはわたしだけだろうか。この様にあってほしいと願う著者の気持ちが入りすぎている。小説なのだからして、それは当然なのである。読み進めるうちにノンフィクションと勘違いさせる作品であった。

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    2012年10月10日
  • 花妖譚

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    司馬遼太郎には珍しい幻想小説。今まで数々の司馬氏の歴史小説を読んできたが、このジャンルは初めてである。それもそのはず、司馬遼太郎がまだ、司馬遼太郎でなかった頃の、いや紛らわしいか、本名の福田定一の名前で執筆した、新聞記者時代の作品なのである。
    本書は、花にまつわる男女の悲しい小編恋物語を10篇集めたもの。舞台は古代ギリシャ、漢、宋、清、モンゴルのチンギスハンの時代、日本の大和時代、戦国時代など様々。「幻想」であるため、どれも私好みではなく、流して読んだ感じだった。やはり司馬遼太郎作品はリアリティあふれる作風の方が好きである。司馬遼太郎ファンとして、こんな作風もあるのかと分かっただけでも良かった

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    2012年10月07日
  • 風神の門(上)

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    初の司馬遼太郎作品。可もなく不可もなく。当時の生活や情勢など歴史の勉強にはなるが ストーリーとしてはまだあまりおもしろみがない。

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    2012年10月07日
  • 夏草の賦(下)

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    四国平定に向け20年をかけてきた長宗我部元親も圧倒的兵力を持つ秀吉の前では、平伏すしかなかったのか。何万もの兵力を戰で失い、結局土佐に押し込まれた長宗我部元親の無念がよくわかる。
    長宗我部は結局生き残ることはできなかった。奥州の伊達のようにはなれなかったのだろうか?
    ただ、四国の自然をみると、長宗我部元親の生き方も、考えもわかるような気がします。

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    2012年10月04日
  • 夏草の賦(上)

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    長宗我部元親の物語。上杉謙信、武田信玄、伊達政宗みたいに、あまり知られてないが、時代を代表する勇敢な武将。
    坂本龍馬や明治の自由民権運動を産んだ土佐の風土を作り上げたひと。
    上巻は、四国統一に向け、生き生きと輝きを見せている。読んでいくと、土佐の山々、自然が目に浮かんできます。

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    2012年10月04日
  • 菜の花の沖(五)

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    今回はロシアの事情が主で、物語はあまり先には進みません。皇帝の治める国って日本と違い特殊なんだなーって思いました。

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    2012年10月01日
  • 菜の花の沖(五)

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     日本人にはロシアが南下し、国土を奪い取られるのではないかという恐怖が根強くある。この5巻で詳しく当時の状況がかかれている。樺太ではロシアの理由なき住民虐殺が起こる。そんな中、日本人の恐怖とは裏腹に国交を開きたいと国書持参のロシア大使が来航する。当然追い返すことになるのだが、数年後にはロシア情勢収集のため、卑怯な手を労してロシア人を牢獄につなぐなど日本は過激さをます。どうも、ロシアとの間には勘違い外交でお互いの思案の食い違いがあるらしい。正確に言葉が理解できない当時とは違い現在なら、この難局を乗り越えられるのだろうか。4,5巻は嘉兵衛の活躍より、時代背景を詳しく描写する。

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    2012年10月02日
  • ロシアについて 北方の原形

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    私のロシアのイメージははっきりいって無い。
    ウォッカぐらいだ。
    あとは佐藤優と鈴木宗男か。

    かの佐藤優は鈴木宗男がいれば北方領土が返還される可能性があると思ったそうだ。
    (だったかな、勘違いかな)
    その鈴木宗男が何の因果か一線から退けられ、未だ一線には返り咲けていない。(よね)

    そんなことはこの本には書かれていない。

    んが、北方領土に関しては一言だけかかれている。
    淡々と無視されることがあっても、主張し続けること、決して国内世論を火かき棒でかき混ぜるような、国民運動を作り上げるようなことがあってはならないと。有害であると。

    私もそう思います。担当官僚、担当政治家が淡々と主張を投げ続ける

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    2012年09月27日
  • 菜の花の沖(三)

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     アイヌ人を酷使する松前藩は豊富な海産物を独占している。北辺にせまる大国ロシアから北海道を守ることには、まったく関心の無い松前藩であった。和人に虐げられるアイヌの人々は、ロシアと手を結ぶこともあり得る。そんな際どい時期に、幕府が東蝦夷地の経営に乗り出す。嘉兵衛は己の商売のみで行動するのではなく、そこに住むアイヌの人々を救おうと幕府の手助けをすることになる。

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    2012年09月21日
  • 翔ぶが如く(六)

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    熊本神風連の乱を中心に、西郷隆盛を担ごうと各地の落ち武者が立ち上がる。
    武士の世の中から、近代化するために、武士を排除する必要があったと思われる。「維新前より維新後の方が難しい」そんなことを感じさせるこの小説から、この3年の民主党政権の成れの果てが重なって見える。

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    2012年09月15日
  • 新装版 戦雲の夢

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    この作品は、創作と史実の境がわかりにくい。
    盛親は本当に最初は東軍につこうとしたのか?
    兄を殺したのは本当に盛親の指示ではなかったのか?

    終わり方も、大坂城からの脱出の部分を端折っているので、すっきりしない。
    十分に描ききられていないぶん、司馬遼太郎の盛親観をすんなり受け入れることができなかった。

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    2012年09月15日
  • 功名が辻(二)

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    二巻は備中高松城攻めから、関白秀次切腹まで。

    千代の洞察力、機転に感心。

    主人公格の山内一豊は、凡庸に書かれている。
    では、その分、お人好しで人好きのする性格で…、
    という長所の味付けかというと、そんな面もあるにはあるけれど、
    強調されてはいない。
    なんだかどこまでいっても凡庸さが強調されているようで、
    ちょっと同情する。

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    2012年10月30日
  • 幕末

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    ネタバレ

    思いのほか手間取った。短編とはいっても一つ一つには読み応えアリ。
    新撰組にかかわりがない幕末史もいろいろと書いてあって、へえ、とは思ったけども、やはり新撰組が登場した方が面白いなあというのが感想。

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    2012年09月10日
  • 大盗禅師

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    司馬遼太郎のファンタジー(フィクション)小説。妖術を使う坊主が主人公の兵法者(浪人)をそそのかし、徳川幕府を転覆させようとする、ある意味ぶっ飛んだストーリー。なぜか明に応援を求めに行きながら、勢力を急拡大している清を撃退しながら進み明の一将軍になってしまう。ん~、、、、ま、いっか。

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    2012年09月08日
  • 以下、無用のことながら

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    エッセイ集。氏の文章は小説にしろなんにしろ門外漢にもわかるよう懇切丁寧に書かれているのが特徴だが、唯一仏教関係だけは背景説明が薄い。真宗とか密教とか全然わからん。でも、それだけ氏は仏教に深い思いがあるんだろうなぁと思ったり。

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    2012年09月07日
  • 司馬遼太郎短篇全集 第一巻

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    司馬先生が本名で発表していた頃の作品が大半。掌編がほとんどですが、一作一作深いです。
    戦後、モンゴル、中国などの作品が多いです。
    「白椿」や「蒙古桜」はなんとなく幻想的な感じがして好きです。好きな作品は「丼池界隈」や「大阪商人」。商人としての潔さ、生き方が気持ちよくて良いのです。

    [収録作品]
    わが生涯は夜光貝の光と共に/『国宝』学者死す/勝村権兵衛のこと/流亡の伝道僧/長安の夕映え―父母恩重経ものがたり/饅頭伝来記/森の美少年/チューリップの城主/黒色の牡丹/烏江の月―謡曲『項羽』より/匂い沼/睡蓮/菊の典侍/白椿/サフラン/蒙古桜 /ペルシャの幻術師/戈壁の匈奴/丼池界隈/大阪商人/兜率

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    2012年09月05日
  • 司馬遼太郎短篇全集 第二巻

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    半分くらい現代(昭和)ものが多く、司馬先生は歴史物ばかり読んでいたので新鮮でした。一番好きな作品は「白い歓喜天」。この時代独特の哀愁が伝わってきます。暗い情景や心情、哲学的な文体など全体的にすごく切なくて物悲しい雰囲気がいいと思いました。

    伊賀源と色仙人/壺狩/戦国の壺―日本名器伝来抄/大阪醜女伝/マオトコ長屋/白い歓喜天/豪傑と小壺/大坂侍/難波村の仇討/和州長者/泥棒名人/盗賊と間者/十日の菊/下請忍者/神々は好色である/法駕籠のご寮人さん

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    2012年09月03日
  • 司馬遼太郎短篇全集 第三巻

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    一番好きな作品は「最後の伊賀者」。ヒダリの生き様に惹かれます。
    「壬生狂言の夜」は違う角度から新選組を知れて面白いです。

    [収録作品]
    丹波屋の嬢さん/外法仏/みょうが斎の武術/軒猿/庄兵衛稲荷/黒格子の嫁/けろりの道頓/最後の伊賀者/ある不倫/朱盗/壬生狂言の夜/牛黄加持

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    2012年08月30日
  • 夏草の賦(上)

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    臆病者の英雄元親と冒険好きの妻菜々の話。

    長曾我部元親は人間臭く描かれていて、
    謀略を使っては悩んだりする。
    一方妻の菜々は明るく悩むことも少なく、
    好奇心旺盛で、対照的な夫婦である。

    で、元親は菜々の故郷の美濃に居る
    信長を意識して行動するのだけど、
    中央に近い信長と土佐の自分とでは、
    如何ともし難い差というものがあった。
    元親の目を通して信長を見ると、
    何だか物凄く嫌なヤツに思えてくる。

    この小説の長曾(宗)我部元親は人間臭い。
    同じ土佐人の竜馬がゆくとは雲泥の差である。

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    2013年07月13日