司馬遼太郎のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
解説で平川祐弘氏が「アメリカ文学の中でいちばん熱中して読んだ本は『風とともに去りぬ』なので、わが司馬遼太郎氏も一冊の書物として上げていることに、ひたしさを覚えたとある」と記載あり。明治維新後の西南戦争とアメリカ建国後、国を二分する南北戦争は、その国が本当の民主国家を手に入れる過程で必要不可欠なものだったのだろう。次は『風とともに去りぬ』を読むことにする。こうしてわたしの知識量は確実に増えていくのである(笑
ところで、『翔ぶが如く』を読み終えた感想であるが、この戦争は武士が武士らしく生きた証を記すために必要であったのだと理解に至る。10巻読み終え、無理にまとめると、そんな風な感想を述べてみ -
Posted by ブクログ
西郷どんは温泉町によく見かける狸の置物なのか、それも人物大の巨大な狸を思わせる。死に場所を求めて戦をするにしては、あまりに犠牲者が多すぎはしないだろうか、そこを考えると政府軍と戦をして勝利するつもりでいたのは明らかである。ならばこの体たらくはいったいどうしたことか、どこの国の革命家も晩年は誰もがさえない幕切れを迎えるのだ。
8巻で、西郷どんが木の切り株で頭を強打したとある、その後15日ほど寝たことはあまりしられていないという内容の手紙が残っているらしい。9巻では全てのページを割いて、西南戦争の悲惨さを記している。そんな状況を尻目に、呆けた西郷が奥座敷に狸の置物になっている姿はあまりに痛々 -
Posted by ブクログ
ー故郷忘じがたく候
友人の好きな司馬遼太郎の一作、と聞き大いに長風呂しながら拝読。
この作品が友人を何を惹き付けたのだろう?と思案を巡らせながら読む。
答えは出ないまま、私個人の感想。
一、薩摩人の魅力。
一、日本人の定義を考え続けた沈寿官少年の日本人以上の情熱。
一、見た事のない語り継がれる故郷の情景。
心象の風景、というのだろうか?
それから、「あなたがたが36年の歴史を語るなら、私は370年の歴史を語らなければならない」という、身体から滲み出てきたような言葉。
司馬遼太郎自身は、この移住の経緯と移住当時の出来事などについて善し悪しを論じていない。
日韓のセンシティブなテーマ -
Posted by ブクログ
政府のやり方に異を唱える不満分子が各地方で決起する。その指導者たちは何の成果も上げることなく犬死するに至る。政府は事前に反乱分子を内偵し、未然に防ぐすべを確立していたのだ。そのやり口が思わぬ事態に発展する。どちらが仕掛けたのか、歴史の闇からはうかがい知れないのだが、結局は薩摩と明治政府が激闘することになる。
緊迫する状況のなかで、西郷が側近に担ぎ上げられる辺りはものすごくマンガじみていてユーモラスでもある。その様な空気のなかではなんでもありうるのだ。後になると「なぜ」がいっぱい頭の中をかけめぐる。結局、修羅場には声の一番大きい者の発言が優位なのだった(笑 -
Posted by ブクログ
「八咫烏」を収録。
出雲族の植民地・ヤマトを手に入れるべく、イワレ彦率いる海族は、その植民地である牟婁に渡ってきた。八咫烏はこの地で唯一の出雲族との混血児だ。自分は海族であると思っているが、出雲族の賤民として差別を受けていた。
ヤマトへの案内役を命ぜられた八咫烏は海族軍の先頭に立って進む。途中、老イワレ彦をかついで歩くことになり、彼の立場は好転した。
吉野についた彼らは出雲族への攻撃を開始する。やがて、ヤマトで長髄彦の大軍と対峙した。八咫烏は、長髄彦の館へ忍び入り、降伏をすすめたが拒否され、同道した海族の赤目彦は長髄彦を殺す。このとき八咫烏は赤目彦の出雲族への侮蔑に怒り、赤目彦を殴り殺してし