司馬遼太郎のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ後半、にわかに征台論がクローズアップされ、西郷従道により強引に実行される。西郷どんは鹿児島に篭もり、政府に無言の脅威をあたえつづける。大久保利通とは征韓論で袂を分かち下野したのだった。この西郷兄弟について、長州人は全く理解できないとあきれ果てるばかりなのだ。薩摩人にも理由はある。江戸幕府が無血開場したことにより、江戸を焦土にすると振り上げたこぶしの下げ場所が無くなってしまった。この有り余るエネルギーのはけ口にされる隣国はたまらない。
行動があまりにもストレートすぎはしないだろうか。思考では理解できても感情が抑えきれないという場面は確かにある。確かにあるのだが、それでいいのかと苦笑せざるお -
Posted by ブクログ
一時代に美術や音楽の天才というものは必ずいるものだ。
芸術の才能は人の才能の中で貴重ではない。
だがしかし、人の才能の中で最も持ちにくいものがある。
それが「軍事的な才能」つまり兵隊さんの能力である。
これは一時代どころか、一民族に一人か二人いればいいほうで、
それでは、日本人(大和民族)では誰なのかという事になると、
間違いなく名前があがるのが、この義経である。
上巻ではまだその真髄は見せられない。
日本人ならだれでも知ってるであろう頼朝と義経の物語はその才能を中心にくるくる旋回していき、そして日本人が誰でも知ってるであろう哀しい結末と誘うのである。