司馬遼太郎のレビュー一覧
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司馬先生が本名で発表していた頃の作品が大半。掌編がほとんどですが、一作一作深いです。
戦後、モンゴル、中国などの作品が多いです。
「白椿」や「蒙古桜」はなんとなく幻想的な感じがして好きです。好きな作品は「丼池界隈」や「大阪商人」。商人としての潔さ、生き方が気持ちよくて良いのです。
[収録作品]
わが生涯は夜光貝の光と共に/『国宝』学者死す/勝村権兵衛のこと/流亡の伝道僧/長安の夕映え―父母恩重経ものがたり/饅頭伝来記/森の美少年/チューリップの城主/黒色の牡丹/烏江の月―謡曲『項羽』より/匂い沼/睡蓮/菊の典侍/白椿/サフラン/蒙古桜 /ペルシャの幻術師/戈壁の匈奴/丼池界隈/大阪商人/兜率天の巡礼 -
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ネタバレ第二次世界大戦を引き起こすきっかけとなり、「日本国家の構造の問題」と著者が位置付ける昭和時代の統帥権について、本巻ではかなりの紙面が割かれている。また、最後に「日本人の二十世紀」というテーマで、著者の口述をもとに出版社がまとめた章があるが、ここでも昭和時代の日本の本質を抜き取っては厳しく非難をしている。
本巻を読んで感じたことは、歴史は「滅亡(あるいはそれに近い危機的状況」と「変革」の繰り返しであるということである。幕末、250年にわたる鎖国のため、日本は世界の列強と比較しても、知識や技術の面において、大幅な遅れを取っていた。鎖国によって日本独自の文化が生まれた点は否めないため、そのことを批判したいわけではない。言いたいことは、黒船来航、尊王攘夷思想の発達により、明治維新が起こったことである。明治維新により、日本で「国家」が誕生した。日本「国家」が、廃藩置県、富国強兵といった国策を取ったことにより、日本は列強の仲間入りを果たせるまでに成長をした。しかし、日露戦争の勝利をきっかけに、日本政府、軍部、そして国民は自己陶酔に陥り、大きな進歩もないまま満州事変を引き起こし、日中戦争、太平洋戦争を経て、日本は敗戦した。この時、「日本は滅びた」と著者は述べている。しかし、その後、高度経済成長時代を迎え、日本は世界第2位の経済大国へと飛躍した。一度滅びた日本が復活したわけである。
現在、中国にGDP世界第2位の座を明け渡し、デフレ、失業率の高止まり、日本企業の凋落といった暗いワードばかりがメディアに溢れているが、これまでの歴史が「滅亡」と「復活」の繰り返しを物語っているのであれば、今後、日本の「復活」があるのかも知れない。期待も込め、そう信じたい。 -
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ネタバレ本巻では、「船」、「洋服」、「大坂」、「甲冑」などをテーマに、著者がこれまで蓄積してきた知識を徒然なるままに筆を進めている。広範囲に及ぶテーマについて、統一性や連続性もなく書かれているために、逆に印象に残ったり深く考えさせられたりする部分が本巻ではあまりなかった。また、秀吉をテーマにしている章も、紙面の都合からか、彼がなぜ朝鮮出兵という非現実的なことを行ったのか深く掘り下げられておらず、読み終わって消化不良の感もあった。しかし、とある日本語の由来について書かれている部分が何ヶ所か散見され、個人的に興味を引き、また記憶にも残っているので記録しておく。
まず、「くだらない」とい言葉。江戸時代、技術の進歩や水質の良さもあり、上方で作られるお酒の方が江戸で作られるお酒よりもおいしかったらしい。そのため、「上方から江戸へ船で“下らない”酒はまずい」と江戸で言われていたことから、「くだらない」という言葉が「つまらないコトやモノ」に対して使われるようになったというのである。
次に、「まとも」という言葉。船の船尾を艫(とも)といい、船尾に向かって真っ直ぐ吹く風を「真艫」ということから、転じて「正道であること、まっとうであること」という意になったとのこと。
我々が日常使っている言葉も、このように歴史と結び付けて掘り下げてみるとおもしろい。 -
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ネタバレ前巻に引き続き、著者が様々な切り口から「この国のかたち」を考察していく。「東アジアの婚姻」、「職人」、「聖」など、多岐にわたるテーマから日本あるいは日本人の一片を切り取っていく著者の知識や洞察力には感嘆せざるを得ない。一方で、1つのテーマに割かれる紙面は10ページ程度であることから、読者に最終の考えを委ねる部分が大きい。
現代の日本人の習慣や価値観、あるいは文化を考えた場合、奥行きがあることを感じる。例えば、かつえマルコ・ポーロが日本を「黄金の国」と呼んでいたように、日本で金が取れたことが、日本の文化を形作っていった。金があったからこそ唐からたくさんの輸入品が入り、正倉院に象徴されるような天平文化を生んだ。また、唐への留学ができ、くだって室町時代においても、禅宗の流入が可能となった。また、江戸時代にはオランダ人が金に魅かれ日本へ来たことにより、蘭学が興った。歴史の教科書で習うことも、「金」という1つの物質をとって考えてみるだけで、歴史の必然性を感じることができる。今、私たちが当然のように行動していること、あるいは考えていることは、長年にわたり先祖代々から脈々と受け継いできたものであることを認識させられる、そのような一冊であった。 -
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土佐、長曾我部元親の生涯を描いた歴史小説。下巻は本能寺の変から九州討伐で嫡男を失うまで。秀吉に屈服し現実主義者に変わり、若き頃の志を失いつつある時に嫡男信親を失う。
元親の後年、つまり信親を失ってから豹変する時代は描かれておらず、その意味では消化不良の感もある。
どうしても、次は未読の「功名が辻」を読まなくてはならない。
以下引用~
(仙石権兵衛)「元親どののようにひっこみ思案で、よくぞまあ四国を切り従えたな」といった。元親はかるく笑い、
「将の戦法に、勇敢さも臆病さんもござらぬ。勇敢である、臆病であるというのはそれは槍ばたらきをする武将どものことでござる」