司馬遼太郎のレビュー一覧
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<本の紹介>
日清戦争から十年―じりじりと南下する巨大な軍事国家ロシアの脅威に、日本は恐れおののいた。「戦争はありえない。なぜならば私が欲しないから」とロシア皇帝ニコライ二世はいった。しかし、両国の激突はもはや避けえない。病の床で数々の偉業をなしとげた正岡子規は戦争の足音を聞きつつ燃えつきるようにして、逝った。
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この本で一番「なるほど」と思ったのがこの一節でした。
「敵に対しては見つけしだい、攻撃すべきである。この場合、彼我の兵力を考慮すべきではない。」
確かに、その通りかもしれない。先手必勝、兵力が同程度であれば先に攻撃をしかけた方が良いに決まってる。サッカーだって先取点を取る -
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タイトルを見て、これは珍しい、シバリョ先生の伝奇物?…と買ったのですが。
“文豪の怪談”がけっこう好きなんです。
B級ホラー的なものは映像向きだと思うので、読むのはちょっとレトロで雰囲気があるものが好き。
さて、この作品はすごく古い。
最初のナルキッソスの話などは、別にこの人が書かなくてもいいじゃない、な感じだったのですが、10編の短編のうち、先に進むにつれてどんどん、歴史にまつわる豊富な話題や知識が披露されて『らしく』なってきます。
そもそも、この短編集は最初に発表されたときは「司馬遼太郎」のペンネームを使っていなかったそうなので、作者的にも何か思うところが会ったのではないでしょうか。
す -
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物語は征韓論で紛糾する明治政府から始まる。
政韓派筆頭は西郷隆盛。対する政韓反対派は大久保利通や木戸孝允、岩倉具視…
江藤新平はというと政韓派に組みしていたようですが、具体的な動きはこれといってありません。彼の腹のうちには、政韓云々などよりも、政局から薩長閥を追い落とすことでいっぱいだったから!
この人、絶対逆恨みでしょ。維新の激動期をほとんど藩のうちで、しかも蟄居状態で内職しながら過ごしたんだから。早い段階から活躍していた薩長ウラヤマシスゆるすまじー!…みたいな;それを敏感に感じ取っていた大久保さんはほんとうにすごい方だと思います;
大久保 (江藤だけは、私怨と権謀だけで動いている。)←正 -
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間を空けつつ読んだので、ちょっとおもしろさが削がれてしまったかもしれません。
才蔵は、大活躍というほどの活躍もなく、かといって何もしないでもなく、面白可笑しく立ち回って世を渡ってゆく感じです。
そもそも、才蔵という忍びは、大活躍するような心意気はなく、またそういう立場でもないのでしょう。
さりげなく役に立っている、という点で、確かにこの才蔵はリアリティがあるのかもしれません。
夏の陣における幸村の討死は、あっさりと語られ、苦しいと思うこともありませんでした。
でも、佐助はどこへ行ったのかな?
実は司馬遼太郎を読んだことがなかったのですが、柴錬くらいのがちがちの歴史文体だと思っていました。
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この本は、同シリーズの別の本と比べ、あんまり街道をゆかない。むろん、モンゴルに道がないせいであるが(360度、草原なのだ)、そのためかどうか、歴史をあれこれ述べる割合が少ない気がする。その代わり、ホテルの床板がどうだとか、水を貰いたがった奥さんの話とか、そういう司馬さん自身の、ツーリスト話が多い。
そう考えると、道、街道というのは、多弁に歴史を物語るものなのかもしれぬ。多くの人が通る、交わる、諍う…とにかく、関わる所為だ。モンゴルにも、時間的には他の場所と同じ密度の歴史が存在するはずだが、関わる人数の少なさが、寡黙にさせているのだろうな。
星や草は、うらやましい限り也。 -
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「彦助、犬死ができるか」
途中、継之助がいった。
「おれの日々の目的は、日々いつでも犬死ができる人間たろうとしている。死を飾り、死を意義あらしめようとする人間は単に虚栄の徒であり、いざとなれば死ねぬ。人間は朝に夕に犬死の覚悟をあらたにしつつ、生きる意義のみを考える者がえらい。」
「はい」
彦助は提灯の灯を袖でかばいつつうなずく。
「いま夜道をゆく」
継之助はいう。風がつよい。
「この風が、空だを吹きぬけているようでなければ大事はできぬ」
「と申されまするのは?」
「気が歩いているだけだ」
「ははあ」
「肉体は、どこにもない。からだには風が吹きとおっている。一個の気だけが歩いている。おれはそれさ