司馬遼太郎のレビュー一覧

  • 峠(中)

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    「彦助、犬死ができるか」
    途中、継之助がいった。
    「おれの日々の目的は、日々いつでも犬死ができる人間たろうとしている。死を飾り、死を意義あらしめようとする人間は単に虚栄の徒であり、いざとなれば死ねぬ。人間は朝に夕に犬死の覚悟をあらたにしつつ、生きる意義のみを考える者がえらい。」
    「はい」
    彦助は提灯の灯を袖でかばいつつうなずく。
    「いま夜道をゆく」
    継之助はいう。風がつよい。
    「この風が、空だを吹きぬけているようでなければ大事はできぬ」
    「と申されまするのは?」
    「気が歩いているだけだ」
    「ははあ」
    「肉体は、どこにもない。からだには風が吹きとおっている。一個の気だけが歩いている。おれはそれさ

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    2020年07月15日
  • 峠(上)

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    この小説が面白いのは、幕末の動乱期の物語でありながら、薩摩藩や長州藩のような、維新の本筋的な諸藩や人物や出来事はほとんど直接関わってこないことで、安政の大獄や大政奉還のような事件は、遠い国での話しのように、時代の中の点景として描かれているところだ。

    主人公の河井継之助が属している長岡藩は、越後にあるという、土地の悪条件のせいで、江戸や京都で繰り広げられている情勢からは遠い距離にあるために、どうしても風雲の中心に加わるということが出来ない。

    どちらかというと、幕府側の立場から出来事を見ているので、福沢諭吉や福地桜痴のような、幕末の江戸周辺にいる人物が詳しく描かれているというところが面白い。

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    2020年07月15日
  • 豊臣家の人々

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    ~内容(「BOOK」データベースより)~
    殺生関白秀次、太閤様以上と囁かれた北ノ政所、桂離宮を造営した八条宮、大坂城とともに滅んだ淀殿母子など、ひとひらの幻影のような豊臣家の栄華のあとを、研ぎ澄まされた史眼と躍動する筆で現代によみがえらせ、司馬文学の魅力を満喫させる連作長篇。
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    2010年04月02日
  • 翔ぶが如く(九)

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    ○大久保の気魄として、物事のできる者ならば謀叛人でも使ってゆきたい(24頁)

    ○組織なき後の人望家の重み

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    2009年12月17日
  • 翔ぶが如く(七)

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    薩軍が立つか否かの協議の場、避けようがあったように思える中での西郷の心中は。

    死に場所を探す者にとって、一個上京と大軍での進行の違いは。

    戦略なき巨大な暴力。

    人の才は好悪を入れずに判断すべき。

    ・私学校の愚かさは、ただ氏を墨守しているのみで、氏の教えであるところの開明に従って大義名分を明らかにすることを知らない。(128頁)

    ・憎悪を資格としてその任をえらぶ(135頁)

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    2009年12月05日
  • 翔ぶが如く(五)

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    遅まきながらこの革命にやがて思想性を付加しようとする運動がおこるのだが、しかしすでに革命を遂げて権力を握った太政官政府にとっては、遅くやってきた思想などは、邪魔物か、敵でしかない(237頁)

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    2009年11月28日
  • この国のかたち(三)

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    Kodama's review
    3巻目です。日本史は、戦国時代、明治維新、日露戦争、太平洋戦争を少しかじった程度の知識しかないので、それ以外の話しはさっぱりわかりません…(涙)。
    (09.7.26)
    お勧め度
    ★★★☆☆

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    2009年11月20日
  • この国のかたち(二)

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    Kodama's review
    『典型』と『汚職』では正義とは何か?と思わされ、考えさせられました。
    (09.7.5)
    お勧め度
    ★★★☆☆

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    2009年11月20日
  • 功名が辻(三)

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    Kodama's review
    秀吉死去。秀吉が残したかったものは、未来永劫続く、豊臣家。そのためには、秀頼はあまりにも幼すぎたか…。そして、一豊は…。
    (06.1.20)
    お勧め度
    ★★★☆☆

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    2009年11月18日
  • 風神の門(下)

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     結局才蔵さんはもてもてやった……。なんだかんだで救いのある終わりだったのでよかったです。ただ、日本史に暗いので、ちょっと難しいこと言われるとすぐにわかんなくなっちゃったです。あと、土地勘もないので地名がわからんです。

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    2009年11月01日
  • 花妖譚

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    花にまつわる10編の短編集。1話1話が他の短編と比べても非常に短いのが特徴でしょうか。内、戦国関連は1話「チューリップの城主」で別所長治が主人公の話です。戦国とチューリップがどうも結びつかんかったんですが、読み終わるとうんと頷ける感じ。

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    2009年10月25日
  • 豊臣家の人々 新装版

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    秀吉を取り巻く人々の中から秀次、小早川秀秋、宇喜多秀家、寧々、秀長、旭、結城秀康、八条宮、淀殿と秀頼の9話で出来ています。

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    2009年10月25日
  • 花妖譚

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    タイトルの通り、花の女性たちの物語。男性のもろさを少し学び。
    まあそれだけではなくて、花はどれも、花を咲かせられる期間が決まっているのだな、という感じでした。
    当たり前のことなのですが、やはり、いつまでも咲いていて欲しいという思いもあります。
    だからこその儚さを感じました。

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    2009年10月18日
  • 十一番目の志士(上)

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    下巻の途中で止まっているけど…。
    長州の刺客天堂晋助の物語。新撰組との丁々発止がおもしろい!
    あと尊皇派が京都で暗躍していた背景がこれでようやく理解できた。
    高杉晋作や桂小五郎と新撰組の対立図とか…ね。
    この天堂ってどうしてもルパン三世の五右衛門とかぶっちゃうんだけど…。

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    2009年10月16日
  • 新装版 軍師二人

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    短編集で一番好きなのは、本の題名でもある「軍師二人」
    後藤又兵衛、真田幸村の二人が大坂の陣で
    どう戦うかを主に後藤又兵衛の視点で描く。
    おもしろいです。

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    2009年10月04日
  • 胡蝶の夢(三)

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    正義・因循の両論は、争いの段階になればもはや根も葉もない。逆に、根も葉もないからこそ争いが血を見るのであろう。実態のあるものには、ひとは決して他人を殺すほどの昂奮はしないものだ(176頁)

    吾等は、樹木を崇拝するにあらず。…沙漠に立つれば一目分明のごとく、森林は人々に崇高の念をおこさしめ、黙思沈考の余裕を置かしむ(180頁)

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    2009年10月04日
  • 胡蝶の夢(二)

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    伊之助を見る不快・不調・不思議は、学習機能が一切ないこと。欠如の意味。


    病人を救うのは医師としての義務である(106頁)
    …今、当たり前であることのはじまり。

    学問、技術というものは、それだけでやってくるのではない(108頁)
    …概念に裏付けられ、また反対に概念に多大な影響を与える。

    絵図による学習という日本人の習性(177頁)

    (思想以外の即物的なものについて)概して日本人は何事でもよいことだとわかれば、すぐわれわれのすることを見習った。その点、かれらは大変実利的である(421頁)

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    2009年10月04日
  • 胡蝶の夢(一)

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    伊之助が異国。

    これまで読んだ幕末の作品とは異なる温度を感じる。
    社会が変わる雰囲気の中で、そもそも社会が存在しない人間の在り方。

    まだ話が見えない。

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    2009年10月04日
  • 花妖譚

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    司馬遼太郎のデビュー作ともいえる「ペルシャの幻術師」と同時期に、本名・福田定一で華道の雑誌に掲載された連作短篇です。
    花にまつわる伝奇、縁起、幻想譚。大活字にもかかわらず一篇わずか10ページほどの小短篇です。
    初期に司馬さんが得意とした幻想小説であり、どこか中島敦を思わせる作品群です。
    どの作家であれ、初期の作品には幻滅することもあり、余り期待せずに読んだのですが、それがかえって良かったのか、十分に楽しめました。もちろん生硬さは見え隠れしますが、流石は司馬さんと思わせるものがあります。

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    2016年08月05日
  • 街道をゆく 2

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    やっとこやっとこ読み終えました。
    最近、韓流の歴史ドラマをよく観るようになったので、かろうじて理解できるかなという感じです。
    日本と朝鮮半島との関係は、それはそれは、語れば長い歴史になるわけで、この「街道をゆく」のための旅を司馬遼太郎さんは、1971年になさっています。
    日韓国交正常化6年後のことなのですね。今とは、当然、それぞれの人が持つ感情も違うわけですが、司馬さんは、そんな近い時代の話を追おうとしたわけではなく、
    もっともっと前の時代の、古の人たちの交流史を感じられたかったのだと思います。

    それにしても・・・話を追うのが大変でした。

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    2009年10月04日