司馬遼太郎のレビュー一覧
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全3巻。
北条早雲。
やっぱ。
早雲は若いころがキモ。
ほとんど分かってない若い頃に
どんな風な設定持ってくるかが
小説としての醍醐味だと思う。
早乙女版みたいなスーパーヒーローでなく、
割と事実っぽい設定が好感。
その分、改めてこの人の中年からの巻き返しがリアルに感じる。
長生きし過ぎ。
異常に思えるくらい。
相続してたりしてんじゃないかってくらい。
名前。
ただ、やっぱり資料が出てくる後半生は
やや小説としては失速感を感じた。
早乙女版ほどではないけども。
説教臭ささはあんまり気にならんかった。
ずっと疑問だった応仁の乱も知れたし。
よかった。
ただ、物語として作り込む途中で、
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幕末の革命期を描いた小説といえば、たいがいは志士を主人公に、一介の藩士や浪人の視点から描かれることが多いけれども、この「酔って候」はそれとは逆に、藩主を主人公にして、大名の視点から維新を見た短編集になっているという構成が面白い。
収録された4編の主人公は、四賢侯の中から土佐藩山内容堂、薩摩藩島津斉彬(と久光)、伊予宇和島藩伊達宗城と、もう一人は松平春嶽の代わりに肥前藩主の鍋島閑叟。
表題作の「酔って候」は、土佐藩主山内容堂の一代記で、この短編が半分くらいの割合を占める。
同じ土佐藩の中でも、身分制度の厳しさのために、郷士として活動した坂本龍馬とはまったく交わることも、顔を合わせることすらなく -
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土佐の長宗我部元親を主人公にして、四国制覇から京への中央進出を狙って戦いに明け暮れた生涯を描いた小説。
ただ武力と知略のみを元手にして、天下への野望を持つというのは、戦国時代の大名らしい生き様だけれども、それがどのような形で表れるかというのは、その大名の性格によってだいぶ変わってくる。
長宗我部元親については、ただ、四国で名を馳せた戦国大名というぐらいのことしか知らなかったけれど、この人物も、だいぶ個性的な性格だったことがよくわかる。
勇猛よりも謀略を好んで、慎重すぎるぐらいに神経質で臆病。しかし、土佐の田舎からのし上がっていくという野望だけは、人一倍苛烈なものを持っている。
この小説のす -
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「ながい歳月、ご苦労さまに存じあげ奉りまする」
「言うな」
「申しあげる言葉もございませぬ」
「おれの生涯はむだであった」
元親は、あおむけざまにころんだ。なんのための二十年であったであろう。
「死者二万」
すさまじい数である。この岡豊から身をおこして以来、元親のために死んだ者は二万前後というおびただしい数にのぼっている。かれらの骨は四国の山野でむなしく枯れ朽ちてゆくだろう。
「おれが酒に痴れ、女に痴れるようなただそれだけの男にうまれておれば」と、元親はつぶやいた。
「土佐のものは幸いだったろう。人は死なず、それほどの苦労もせずにすんだ。いささかの志を持ったがために、かれらの死屍はるいるいと野 -
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起承転結でいえば転にあたる三巻目。いよいよ面白くなってきました。「新史太閤記」で敵に囚われて散々な目にあったのは半兵衛なのか官兵衛なのか記憶が曖昧になっていたけど、なるほどこういう背景があったんですね。智謀の人としてこれまで小寺家を切り回してきた官兵衛が、こんな形で主に裏切られて罠にはめられてしまうとはなんとも皮肉。エコノミー症候群でも起こしそうな狭くて日も当たらない牢屋に長期間監禁されてしまうことになった官兵衛。牢屋の窓からある日奇跡のように藤のつるが伸び花を咲かせるくだりは感動的。平静な官兵衛も思わず「いのちよ」と心の叫びを発してしまいます。部下の栗山が苦労の末、官兵衛のもとに忍んできて、