司馬遼太郎のレビュー一覧
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ー故郷忘じがたく候
友人の好きな司馬遼太郎の一作、と聞き大いに長風呂しながら拝読。
この作品が友人を何を惹き付けたのだろう?と思案を巡らせながら読む。
答えは出ないまま、私個人の感想。
一、薩摩人の魅力。
一、日本人の定義を考え続けた沈寿官少年の日本人以上の情熱。
一、見た事のない語り継がれる故郷の情景。
心象の風景、というのだろうか?
それから、「あなたがたが36年の歴史を語るなら、私は370年の歴史を語らなければならない」という、身体から滲み出てきたような言葉。
司馬遼太郎自身は、この移住の経緯と移住当時の出来事などについて善し悪しを論じていない。
日韓のセンシティブなテーマ -
Posted by ブクログ
政府のやり方に異を唱える不満分子が各地方で決起する。その指導者たちは何の成果も上げることなく犬死するに至る。政府は事前に反乱分子を内偵し、未然に防ぐすべを確立していたのだ。そのやり口が思わぬ事態に発展する。どちらが仕掛けたのか、歴史の闇からはうかがい知れないのだが、結局は薩摩と明治政府が激闘することになる。
緊迫する状況のなかで、西郷が側近に担ぎ上げられる辺りはものすごくマンガじみていてユーモラスでもある。その様な空気のなかではなんでもありうるのだ。後になると「なぜ」がいっぱい頭の中をかけめぐる。結局、修羅場には声の一番大きい者の発言が優位なのだった(笑 -
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「八咫烏」を収録。
出雲族の植民地・ヤマトを手に入れるべく、イワレ彦率いる海族は、その植民地である牟婁に渡ってきた。八咫烏はこの地で唯一の出雲族との混血児だ。自分は海族であると思っているが、出雲族の賤民として差別を受けていた。
ヤマトへの案内役を命ぜられた八咫烏は海族軍の先頭に立って進む。途中、老イワレ彦をかついで歩くことになり、彼の立場は好転した。
吉野についた彼らは出雲族への攻撃を開始する。やがて、ヤマトで長髄彦の大軍と対峙した。八咫烏は、長髄彦の館へ忍び入り、降伏をすすめたが拒否され、同道した海族の赤目彦は長髄彦を殺す。このとき八咫烏は赤目彦の出雲族への侮蔑に怒り、赤目彦を殴り殺してし -
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ネタバレ後半、にわかに征台論がクローズアップされ、西郷従道により強引に実行される。西郷どんは鹿児島に篭もり、政府に無言の脅威をあたえつづける。大久保利通とは征韓論で袂を分かち下野したのだった。この西郷兄弟について、長州人は全く理解できないとあきれ果てるばかりなのだ。薩摩人にも理由はある。江戸幕府が無血開場したことにより、江戸を焦土にすると振り上げたこぶしの下げ場所が無くなってしまった。この有り余るエネルギーのはけ口にされる隣国はたまらない。
行動があまりにもストレートすぎはしないだろうか。思考では理解できても感情が抑えきれないという場面は確かにある。確かにあるのだが、それでいいのかと苦笑せざるお -
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一時代に美術や音楽の天才というものは必ずいるものだ。
芸術の才能は人の才能の中で貴重ではない。
だがしかし、人の才能の中で最も持ちにくいものがある。
それが「軍事的な才能」つまり兵隊さんの能力である。
これは一時代どころか、一民族に一人か二人いればいいほうで、
それでは、日本人(大和民族)では誰なのかという事になると、
間違いなく名前があがるのが、この義経である。
上巻ではまだその真髄は見せられない。
日本人ならだれでも知ってるであろう頼朝と義経の物語はその才能を中心にくるくる旋回していき、そして日本人が誰でも知ってるであろう哀しい結末と誘うのである。