司馬遼太郎のレビュー一覧
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ネタバレ第二次世界大戦を引き起こすきっかけとなり、「日本国家の構造の問題」と著者が位置付ける昭和時代の統帥権について、本巻ではかなりの紙面が割かれている。また、最後に「日本人の二十世紀」というテーマで、著者の口述をもとに出版社がまとめた章があるが、ここでも昭和時代の日本の本質を抜き取っては厳しく非難をしている。
本巻を読んで感じたことは、歴史は「滅亡(あるいはそれに近い危機的状況」と「変革」の繰り返しであるということである。幕末、250年にわたる鎖国のため、日本は世界の列強と比較しても、知識や技術の面において、大幅な遅れを取っていた。鎖国によって日本独自の文化が生まれた点は否めないため、そのことを批判 -
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ネタバレ本巻では、「船」、「洋服」、「大坂」、「甲冑」などをテーマに、著者がこれまで蓄積してきた知識を徒然なるままに筆を進めている。広範囲に及ぶテーマについて、統一性や連続性もなく書かれているために、逆に印象に残ったり深く考えさせられたりする部分が本巻ではあまりなかった。また、秀吉をテーマにしている章も、紙面の都合からか、彼がなぜ朝鮮出兵という非現実的なことを行ったのか深く掘り下げられておらず、読み終わって消化不良の感もあった。しかし、とある日本語の由来について書かれている部分が何ヶ所か散見され、個人的に興味を引き、また記憶にも残っているので記録しておく。
まず、「くだらない」とい言葉。江戸時代、技術 -
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ネタバレ前巻に引き続き、著者が様々な切り口から「この国のかたち」を考察していく。「東アジアの婚姻」、「職人」、「聖」など、多岐にわたるテーマから日本あるいは日本人の一片を切り取っていく著者の知識や洞察力には感嘆せざるを得ない。一方で、1つのテーマに割かれる紙面は10ページ程度であることから、読者に最終の考えを委ねる部分が大きい。
現代の日本人の習慣や価値観、あるいは文化を考えた場合、奥行きがあることを感じる。例えば、かつえマルコ・ポーロが日本を「黄金の国」と呼んでいたように、日本で金が取れたことが、日本の文化を形作っていった。金があったからこそ唐からたくさんの輸入品が入り、正倉院に象徴されるような天平 -
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土佐、長曾我部元親の生涯を描いた歴史小説。下巻は本能寺の変から九州討伐で嫡男を失うまで。秀吉に屈服し現実主義者に変わり、若き頃の志を失いつつある時に嫡男信親を失う。
元親の後年、つまり信親を失ってから豹変する時代は描かれておらず、その意味では消化不良の感もある。
どうしても、次は未読の「功名が辻」を読まなくてはならない。
以下引用~
(仙石権兵衛)「元親どののようにひっこみ思案で、よくぞまあ四国を切り従えたな」といった。元親はかるく笑い、
「将の戦法に、勇敢さも臆病さんもござらぬ。勇敢である、臆病であるというのはそれは槍ばたらきをする武将どものことでござる」 -
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歴史小説という分野は、読み慣れてくるにつれて面白くなっていく、ということがわかってきた今日この頃。
実在の人物なんじゃないかと、つい勘違いしてしまいそうになるけど、主人公は架空のキャラクターらしい。
その剣術の達人「晋助」の運命を、よくも悪くも奔走させる登場人物はみんな、実在した人物-高杉晋作とか、坂本龍馬とか。
フィクションとノンフィクションを倒錯させる物語・文章で、ある意味宗教的に信じ込んでしまいそうになった。単純な性格だから余計に、笑。
まるで某明治剣客マンガ(笑)
同作品がお好きな方は、特に、いろんな意味で楽しめるんじゃないかと。