司馬遼太郎のレビュー一覧
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ネタバレ幕末、松本良順と佐倉伊之助が医学を通じ、西洋文明に接してゆく姿を描く。伊之助は類まれな暗記能力のおかげで、佐渡の四方を海に囲まれた世界から江戸と言う町に勉学のため良順の下に住み着いた。ただ、この伊之助は周囲の人と打ち解けることができず、それだけではなく、逆に忌み嫌われ、江戸の良順のもとを出ざるを得なくなり、良順の実父 佐藤泰然の順天堂に移る。当然そこでもうまくゆかず、結局は一度佐渡に戻る。
良順は奥御医師という、将軍を診る位におり、それを統括する多紀楽真院という長老に振り回されていた。というのも、当時、奥御医師は蘭方は邪道とみなされ、漢方が主流であったからで、良順はその蘭方を学びたいと切に願 -
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本巻はそこそこスピード感をもって読めた。と言うか、内容が面白くなさ過ぎて、一気に読まないといつまでも終わらない気がしたのである。
前巻で描かれた神風連の乱後、本巻では長州萩の前原一誠の乱、福岡秋月の宮崎車之助の乱を簡単に描くとともに、警視庁の送った刺客が薩摩で捕らえられ開戦の火蓋が切って落とされる直前までが描かれている。こと、薩摩の武力蜂起に至るまでの経過が長い長い。最後まで開戦には反対だった西郷隆盛に重い腰を上げさせるまでの周りの人間のエピソードが細か過ぎるのである。太政官側(大久保利通、川路利良)も、23人の密偵(刺客?)も、鹿児島県庁(大山綱良)も鹿児島県警(野村忍介)も、私学校も全て -
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第3巻は3週間ほどかかってしまったが、本巻はトータル4時間ほどで一気に読み切ってしまった。いや、普通は小説というものはこうして一気に読むべきものなのだろう。
本巻では、西郷隆盛の動きに特段の進展はない。ずっと薩摩にいて狩りに明け暮れている。せいぜい、私学校のボスに据えられたくらいである。その代わりに、時間潰しをするかのように征台論が急浮上。あれだけ西郷隆盛の征韓論を否定していた大久保利通と西郷従道が、旧士族の不満を発散させるため、として台湾への攻撃を思いつくのである。もちろん2人とも西郷隆盛を意識してと行動なのだが、非常に矛盾だらけの行動である。この辺りが政治史の面白さか…。
興味深く感