宮本輝のレビュー一覧
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読んだ本 ドナウの旅人 宮本輝 20240326
ソウル旅行中にドナウの旅人を読む。
母親の熟年離婚に端を発した物語も、色んな人間模様が絡んできて、何の話かよくわからなくなってきた。少しサスペンスの味付けもあって、こんな話だったんだって感じでした。
まだ冷戦下の時の作品なので、共産主義やジプシーなんかへの人種差別への思いなんかが描かれていて、時代の流れも感じました。時代の流れというと、横柄な父と離婚しようとしている母親を、今だったら娘が連れ戻そうとするか。そもそも離婚するのに一大決心でヨーロッパに逃げるか。全てがコンビニエンスになってる今だったら、簡単に別れるし、本人の自由って誰も止め -
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亡くなった妻宛に届いた謎の葉書をきっかけに主人公の冒険がはじまる。謎の葉書をもとに旅してる過程で、妻の過去や新しい自分を発見していく物語。この本を読んだ中でとても印象に残ったのは「永遠のなかの一瞬なのではなく、一瞬のなかに永遠がある」という一文。どういう意味か今はわからないけど、きっと人生のヒントになることだろうなと思った。この文の意味が完全にわかるようになるのはいつかわからないけど、自分自身成長して、意味を理解できる時がくれば良いなと、楽しみに過ごしていこうと思った。
話の展開がすごいゆっくりで結末もスッキリ解決!って感じではなかったかな。でも、登場人物がみんな人情深くていいなーって思った -
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今回のタイトル『慈雨の音』、筆者あとがきによりますと、”この時代の松坂熊吾一家を取り巻く物語の周辺と細部に、人間への慈しみと言うしかないものが、横溢していたと感じるからである”と、納得。
いくつもの別離をこの優しい雨が洗い流してくれる、そんな、しっとりとした第6部。
熊吾一家も何とか再スタートするわけで、ついつい応援してしまうのですよ、脳内で。偶にやらかすと(ノ∀`)アチャーと脳内でAAが浮き出てくるのですよ、ホンマに。こう毎日この世界に入っていますと、俺が松坂熊吾で松坂熊吾が俺で状態で、生き方に影響が出てきそうで怖いです。妻を殴ってはいけませんよ(熊吾さんDV野郎なんで)
さあ、今夜から -
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下町に暮らす主婦が骨董品屋さんから茶碗をもらう、それが数千万円の価値があるものらしい。小説ならたちまち怪しげな詐欺師とか曰く付きの学者とか出てきて、殺人事件でも起こるかという劇的な状況であるのに、何も起きずに主婦の周りでいろいろな人たちがゆっくりと下町の生活を過ごしている。小説の時代は平成だが雰囲気は全く昭和の白黒映画、主人公は八千草薫か倍賞千恵子か、なんて事を考えたくなるような、昔はよくあっただろう雰囲気が描かれている。
さてこの先どうなるのやら。急ぎ後半に行きたいという気分でもないが、とりあえずタイトルの意味は知りたい。ここまでなら、水のかたち?というより、土のかけら、牛の形、すき焼きの味 -
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第一章の導入部分がだらっとしていて読み進めるのに時間が掛かった。
叔母さんの死や従姉妹の失踪の真相を探るドキドキの展開かと思いきや、淡々と淡々と最後まで描かれていて、主人公の喜びや驚き、感情が伝わらず、可もなく不可もなくという読後感だった。
また、地図が苦手な私にとっては、通りの左向かいとか、この北側を行くとこの道に出る、とか行った描写が多用されていて位置関係が想像し辛かった。
アメリカに馴染みのある人には面白いかもしれない。
巨万の富を得るという体験を少し味わえた。
叔母の菊枝はレイラがいなくなった後どう夫のイアンと最後まで過ごしたのだろう。
菊枝と菊枝の兄(弦矢の父)はどうしてそこまで関 -
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ネタバレオシャレで可愛い徳子おばあちゃま。 育ちの良さから品を、夫の戦死などから、凛とした強さを感じます。
孫娘の綾乃さんからのプレゼントへの礼の文。
『・・・九十歳になって孫の綾乃が贈ってくれたゲランの香水を胸にぽつんとつける日がくるとは思いませんでした。
つけて寝て、朝、目がさめたとき、起きるのが恥ずかしくて、さらに起きたまはぬ朝となりました。よき時を思いました。幾重にもお礼申し上げてます。 かしこー 』
九十歳のおばあちゃまがゲランの香りに包まれて目覚め、まどろむ贅沢な時間・・・なんとも優雅で羨ましい。 そんな優雅で贅沢なシーンが度々登場しますが、京都を中心とした言葉や空気感により、