あらすじ
絹子は娘・麻沙子の説得にも応じず、ドナウの終点、黒海まで行くと言い張る。絹子の若い愛人・長瀬の旅の目的に不安を感じた麻沙子とシギィは、二人に同行することにした。東西3000キロ、七ヶ国にまたがるドナウの流れに沿って二組の旅は続く。様々な人たちとの出逢い、そして別れ――。母と娘それぞれの、年齢を超えた愛と、国籍を超えた愛を、繊細な筆致で描き上げた人生のロマン。
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主人公4人を軸とし、その他脇役の人々の心情や背景が丁寧に描かれ、一人一人の人生はまるでドナウ河のようだと思わせた。
絹子には最後まで嫌悪感を拭いきれなかったが、彼女は最も身勝手で最も幸福な人生を歩んだのだろう。
シギィとペーター2人の王子様争いが見たかったなと思った。
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東ヨーロッパの町々や素敵な人々との出会いの描写、登場人物4人の心情の変化と衝撃のラストに宮本輝の長編小説にしばらく夢中になりそうな予感がした。
人の嫌なところは長年過ごすうちに一つの美徳になるというのは確かにそうだなぁーと共感した。
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遂にドイツから始まったドナウの旅が終わった・・・という感じで、上巻から始まり、すごくはまりました!
今では自由に往き来できるヨーロッパの国々も、この作品の時代は厳しい出入国審査があり、共産圏である東ヨーロッパでは自由に旅もできない。
麻沙子とドイツ人の恋人シギィ、母親の絹子と愛人の長瀬、二組の旅人がドイツからオーストリア、ユーゴスラビア、ブルガリア、ルーマニアと、ドナウ川を旅をする姿が、ドナウに沿ってだんだん色濃くなる共産圏の国々の時代背景と共に描かれているのが、この物語を一層魅力的にしているなと感じた。
旅の途中で出会う人々の背景も、限られた中で端的に描かれていて、登場人物全員に興味が沸いた。
凄くはまる作品だった。
しばらくドナウロスになりそうです。
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私もドナウ河に沿って旅をしたことがあった。だから題名に惹かれてこの本を手に取ったのだけど、微妙な感情の機微の表現に圧倒されてしまった。題名以上にインパクトのある話だった。
ずっと続く散文的な展開が、ドナウ河を思わせるよう。ドイツからルーマニアまで流れていきながら、ついには黒海に注ぐ水の流れ。なんとなしに各地域における河の太さや存在感が、話の展開にも比例していた気がする。
それにしても宮本輝が描く女性ってなんでこんなに魅力的なのでしょう!
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前から気になっていたこの本をついに読み終わりました。
冷戦終結前の時代に、ドナウの源流から終わりまでの長大な旅。現代とは比べものにならないくらい大変な旅だと思います。
物語の最初のうちは、これはマサコの物語なのかなと思ったけれど、意外とすぐにシギィとの再会と婚約があり、そして長瀬目線の語りが入ってきたときにこの長大なお話が本当に始まったように思いました。
それぞれの国の様子、そこで出会う人々、それぞれが魅力をもっていて、そして4人の旅に大きな影響を与えます。
ドナウ好き、そして、宮本さんファンの自分としては本当に読み終わるのが惜しい物語でした。
またいつか再読したい一冊です。
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15年以上ぶりに再読。
学生のときに読んだが、まったく記憶に残ってなかった。
再読して納得。
異国の地を踏んだこともない二十歳そこそこの自分には、この本は非現実過ぎて印象に残らなかったのだと思う。
異国での生活も僅かながら経験し、歳も重ねた今再読して思うのは、なんと壮大な小説を若い時期(おそらく30代の終わり)に書いてるんだろう と。
著者は河3部作を書いてるが、日本における川とドナウ川は同じ川であっても人間の使い方がかなり異なる。
古代ローマ時代から現代においても国境としての役割を果たしているドナウ川。
そのドナウ川に沿っての旅という、でっか過ぎるとも思える設定でどうやってまとめあげるんだろう とも危惧したがなんともみごとな物語でした。
川に沿った風景、そしてそこで生活する異なる国の人々の営みをみてみたい。
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ドナウ河に沿った旅もいよいよ終着。
道中様々な人と出会い別れる。
そして突然の死。
道雄は人生をやり直すことができるのか。
麻沙子はシギイと国境を越えた愛を成就することはできるのか。
黒海の港町で物語は終わり、その後の展開は読者に任せられる。
でも、きっといいことに収まるのだろう。
久しぶりに読んだ本書。
記憶していたものとは全然違っていた。
人の記憶は頼りない…
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4人でドナウの先までついにたどり着いた!途中からもしや…と予感していた絹子の死がやはり起こってしまって切なかったが、やはり年齢差や借金や不倫?である2人が結ばれるにはこんな結末しかないのかもしれない。
それにしても人間のあらゆる感情を見ることができたし、物語は壮大でロマンチックで、読み応えがあった。共産主義圏や普段なかなか行けない国の更に田舎の村の人たち、なぜか皆温かく、人間は世界中同じ生き物なんだなぁなんて当たり前のことを思ったりした。ドナウ河に沿った旅をするなんて、どう考えても金銭面や時間や言葉や…ハードルが多くてなかなか現実にはできないことだけど、そんな美しい旅をいつかしてみたいものだと思う。心の琴線に触れるなにかを感じたい。
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再生の物語。「悪いことが起こって当たり前。いいことがあったら不思議だと思って、大喜びするのだ」時代や風土や民族が違っても人間はみんな同じ。願わくは幸せになりたいという点において。見栄や自尊心にだまされずに、他人を愛する。長い長い旅の先に何が待ってるのか知りたくて夢中で読んだ。
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ドナウの如く、読み応えのある小説でした。異国でも、とりわけ共産圏を主な舞台としているため下巻はその社会性に圧倒されながらのめり込むように読んでしまいました。
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ドラマ観てから読んだので、ひたすら佐久間良子の呪縛から抜けられず。しかも高校生ぐらいだったから、正直良くわからなかった。面白かったのは覚えてるけど。要再読。
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ドナウ河に沿って長い旅をしている過程で、様々な人と出会い経験を積むことによって成長し、変化していく様子が自然で引き込まれた。
登場人物たちも個性溢れているし、ヨーロッパの情景が思い浮かぶような文章に浸れました。
この作品や『深夜特急』のような作品を読むと、自分も長い旅をしたくなってくる。
とても無理だけど……。
この作品の頃と、現在では東欧の政治情勢も代わり、ブタペストなんて今では人気の観光地になっているけど、現在に置き換えると少し味気なくなりそう。
当時の共産圏だからこその味わいもあると思う。
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麻沙子が、イケメンで男っぽいシギィと、見た目はともかくも穏やかで問題解決能力の高いペーターとのあいだで、内心揺れてしまう気持ちはよくわかる。
どちらを選択しても、後悔する人は、無い物ねだりをして後悔するでしょう。
でも、どちらを選択したとしても、幸せにはなれる気がする。
読中、海外の作家の翻訳本を読んでいるかのような、不思議な錯覚を覚えて面白く感じた。
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昔の本っていうだけでなんか読みにくいんじゃないかという抵抗感が読む前に少しあったけど、読み始めたらそんなこと全然なかった。
ドナウ川を主人公の女性と婚約者、主人公の母とその愛人が共に旅行をするお話。
読んでいる間、私もんなんだか旅行に行ったかのような錯覚をしたし、沢山のドラマがあって、本当に楽しかった。
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若い男と出奔した母親を追いかけて、ドナウへ向かった娘とその恋人4人の旅を追ったお話し。色々な出会いを経て、ドナウの果てへとたどりつく。人物描写がとてもよくて、母親の絹子の変化が特に興味深かった。娘の麻沙子は若干こんな人いるかしら?な日本語を話してたけど、知的な美人ぷりを発揮していて、私も真似して思わず声に出してせりふを読んでみた・・・。
話の筋はわりと予想ができる感じだった。ドナウ川ってなんでか常に死のイメージがつきまとっている気がする。日本人はドナウを舞台にした小説が好きなのは気のせいかな。そんなこと言ってる私も一度は行ってみたい気がする。
Posted by ブクログ
長い旅だった。
2組の男女が旅の中でぶつかり、寄り添い、葛藤しながら気づいていく様々なことが楽しく読めた。
ドナウ河に沿って旅をするという設定も浪漫があって好きだ。
Posted by ブクログ
半年にわたる長旅が、ついに終わってしまいました。
麻沙子が母を追いかけドイツまでやってきてから、もうこんなに長い時間が経っていたのですね。
本を読みながら私も一緒にドナウ河を旅した気分になりましたが、その土地その土地で出会った人々の人柄にとても心温まりました。
旅先の素敵な出会いに乾杯!
東欧の共産主義事情も初めて知りました。
ちょいと怖いなぁと思いましたが、ブダペストに行ってみたくなりました。
どの街も素敵なんですけどね!
最後は、ただただスリナの朝日を見ていたい…。そんな思いに駆られました。
半年間、本当に色々なことがありましたが、この朝日をみるべく旅をしていたような気がします。
絹子の死は呆気なかったけれど、悲しいというより美しいなぁという余韻が残りました。
なんだか、長いようで短い旅でした。感慨深いです。
旅って、いいなぁ。
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2011.1 再読
最初に読んだときは、絹子が嫌で嫌でたまらなかった。置いていけばいいのに。放っておけばいいのに。何度もそう思ったっけ。再読では、それほどに感じなかった。マサコの印象がちょっとかわったかな。
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ドナウ河に沿って旅を続ける
街並みや人との出会い
どれも旅先ならではの出来事
日常であり非日常
途中まではとても好きだった
最後の
結末の部分は別のかたちがよかった
個人的な意見ではあるが
Posted by ブクログ
読んだ本 ドナウの旅人 宮本輝 20240326
ソウル旅行中にドナウの旅人を読む。
母親の熟年離婚に端を発した物語も、色んな人間模様が絡んできて、何の話かよくわからなくなってきた。少しサスペンスの味付けもあって、こんな話だったんだって感じでした。
まだ冷戦下の時の作品なので、共産主義やジプシーなんかへの人種差別への思いなんかが描かれていて、時代の流れも感じました。時代の流れというと、横柄な父と離婚しようとしている母親を、今だったら娘が連れ戻そうとするか。そもそも離婚するのに一大決心でヨーロッパに逃げるか。全てがコンビニエンスになってる今だったら、簡単に別れるし、本人の自由って誰も止めないんでしょうね。人生の大事や規範の移ろいがいい悪いじゃなくて少し寂しい気がしました。
それにしても、不倫だけは漱石のそれからの社会抹殺時代から、石田純一で世の中に認められたのかと思ってたのに、再び社会抹殺時代に戻ってますね。
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ドナウの旅は長かった・・・。
ストーリーが途中冗長になって、読み続けるのが苦しくなるところもあったが、東ヨーロッパを横断する大河ドナウが終わるところには何があるのか・・・それが気になって根気強くページをめくった。
最後の最後で衝撃的な結末となったが、それ以降の登場人物たちがしっかりと自分の人生を歩んで行くさまが想像できるようだ。
途中の町や村の描写は、単に紀行文としても楽しめる。
2017/01
Posted by ブクログ
一言でいうと、長かったぁ・・・。
物語の本筋以外の、旅の情景描写が作者本位というか、細かすぎてかえって想像しにくくてきちんと読み込もうとするタイプの私にはたびたび苦痛に思えてしまった。
とても美しい表現なのだけど、それがじゃまでいまいち物語に入り込めないというか・・・。
ストーリーの運びは、時々ミステリーの要素が入っていて、予想外にドキドキさせられたりして面白みがあったけど、このミステリーじたての部分の結末も、この物語自体の結末も、なんとも言い難い・・・これでよかったのかな?という感じ。
小説全てに、主題があるとは思っていないけれど、こういう結末は好きではないなぁと思ったり。
名作としての評判は古くから耳にしていた分、期待が大きすぎたのか、残念な感じに終わった。
何せ読み終わったときにまず思ったことが「あぁやっと終わった~、次にいける~」だったから。
Posted by ブクログ
ドナウ河を、逃避行する絹子と長瀬、
それを追いかけ、一緒に行動する麻沙子とシギイ。
麻沙子に好意を抱くペーター。
長瀬を追う 謎の男 尾田。
複雑に絡み合いながら、ドナウ河の下流 黒海に注ぐ
街 スリナまでの旅の過程を描きながら
人間模様とその国の模様が 鋭く描かれる。
共産主義の国というものの国の成り立ちを、
建前と本音がよく描かれていた。
絹子が 他人に転化して、自分のせいじゃないと言う。
そういう性格から、長瀬の秘密を知り、自分が何ができるのか?
を考えることで、大きな変化をもたらしていく。
長瀬の再生のチャンスを 絹子が持っていた。
長い長い物語 だった。
人を愛すること、老いること、生きながらえること、
病気になること、失望すること、忘れ物をすること、
人は 実にいろんなことを経験して、一人の大人になっていく。
Posted by ブクログ
ドナウ河に沿って続く旅。
出会いや別れ、人との関わり。
半年以上続く旅で、変わっていく心情、強さなどが
文章に溢れています。
丁寧に描写されている文章にとても好感が持てました。
Posted by ブクログ
麻沙子の母 絹子は「ドナウを旅したい」という手紙を娘に残し、
夫を捨てて家を出る。
絹子は17歳年下の愛人 長瀬道雄とともに西ドイツに向かっていた。
麻沙子も母を追って西ドイツに向かい、かつてのドイツ人の恋人シギィと再会する。
母と長瀬、そして母を見つけた麻沙子とシギィの4人は、
ドナウ川を下る旅に出る。
この2組の男女の心境の変化と成長が異国の人々・風景とともに描かれている。
ミステリー仕立てになっていて、とっても読みやすい。
18年位前、初めて読んだ時とは違う感想を持った。
前回も今回もドナウ河沿いの風景やそれぞれの国が持つ雰囲気、
その時代が持った共産圏の空気も感じて、
ますます憧れが強まったのは違いがないが、
20代で読んだ時は娘 麻沙子の視線で読んだが、
今回は50代の母親の視点で読めた。
設定はどうであれ心境などとっても理解できるし、
こんな行動をとる女性の感覚が自分にないとは言えない。
(やるやらないは別の問題)
良い悪いではなく、経験ってとっても大事なんだと思う。
やっぱり経験して始めて自分を見つめることになるんだ。
私はまだまだだ。