あらすじ
ロサンゼルス在住の叔母の、突然の訃報。甥の弦矢が駆けつけると、27年前に死んだはずの叔母の一人娘が、実は死んだのではなく、当時からずっと行方不明なのだと知らされる。なぜ菊枝はそのことを長らく黙っていたのか。娘はいまどこにいるのか。弦矢は謎を追い始める――。生き別れた母子の運命を豊かに描き出す長編小説。
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Posted by ブクログ
久しぶりに宮本輝さんの本を読みました。私のおススメの作家さんの一人です。私が勝手にイメージする宮本輝さんの本に登場する主人公は、①それなりの教養を備えている、②運を持っている、③自分を引き上げてくれる出会いや人とのつながりがある、の三つかな。なのですごく羨ましくて、自分もこんな人物になれたらいいなと思いながら読むことが多いです。
「草花たちの静かな誓い」は、もし読者が宮本輝さんについてなんの予備知識も無しに読むことになったとしたら、たぶん「ミステリーかな?」と感じてしまうかもしれません。でも本のタイトルはミステリーっぽくなくて「あれ?」と思うかも。そこが宮本輝さんらしいのですが。
この本のメインテーマではないですが、ゲンとニコがこれから創ろうとしている新しい会社のポリシーは「働いている人たちが幸せになること」です。多くの経営者にも読んでほしい一冊ですね。
私も今日から草花たちに話しかけてみようかな...
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泣いた。
読んでて本を伏せたくなるような辛い場面もあったけどキクエさんの娘を思う強さと優しさに胸が熱くなった。
娘さんを逃した後結婚生活を続けるところも、どうしてと思う反面、
娘と娘を引き取ってくれた夫婦に危害が及ばないよう、事件の波風がたたないようにすることと、夫を監視するためだったんだろうなと思うとすごく理解できる。
私自身、3歳の娘の子育て中で子どもを手放すことがどんなに辛いことかわかるので、キクエさんの英断の凄さがわかる。
最後空想で美しい庭の中でのキクエさんと娘さんの抱擁が描かれるがそのシーンで涙が止まらなかった。
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ロサンゼルスでの豪邸と偉大な遺産を残し、
叔母の遺言を引き受けることになった主人公が、
亡くなったと思っていた従妹が実は行方不明になっていることを知る。
たくさんのハーブや花が咲き乱れる庭とベランダにかけたガーベラの鉢。
鉢は毎年一つずつ増やすように庭師に依頼していた。
謎を調べていくうちに叔母と従妹の秘密が明かされていく。
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カリフォルニアの景色を思い浮かべながら読み進められた。宮本輝さんは実際に行ったのかな?
話は失踪した従姉妹の事が徐々に明らかになっていく事を軸に進められいる。
最後までドキドキしながら読み進める事ができた。
宮本輝さんの作品にはシチューだとかスープで商売を始める描写が多いのですが、今回もありました。
流転の海を読み、宮本輝氏の生い立ちの中で飲食業で成功する為に試行錯誤をしたという描写があったので時々作品に出てくる意味がわかった気がする。
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ミステリだと思い手に取った。想像していた内容とは違っていたのだが、とても良い一冊に出会えた。
すっと物語に惹き込まれ、社会の光と陰を覗き見た気がした。ストーリーの展開に想像はついたのだけれど、それでも彼らの感情や行動を見守らずにはいられなかった。
人間の表と裏、愛と憎しみ、尊敬と失望。時には人間ではないものに助けられながらも、人は人と関わって生きていく。
秋の高い空に、青すぎる彼の地の空を重ねてみたりした。
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高校受験勉強時の問題集で出会った螢川に衝撃を受けて以来、ずっとファンです。この作品もやっぱり自分の中にスッと入ってくる文章、楽しめました。ミステリーとして読むと、もしかすると「?」となるかもしれませんが…
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最近稚拙なホラーやミステリばかりハマっていたためか、ものすごく繊細で密に感じた。
文学の骨格にエンタメの血が流れると言おうか、ちょうどいいバランス感覚。
特段抑揚がある訳では無いのに読み心地が良い。9割くらいそんな感じなのに最後の最後はグッとくる展開に落とし込んでストーリーとしての満足感も残してくれる。宮本輝、大好きです。
Posted by ブクログ
このタイトルからは結末が想像できなかった!
普段、あまり海外の小説を読まないからか登場人物を追うのに少々手こずった(巻頭の人物紹介で辟易してしまう)。
ただ、主人公は日本人男性で人物たちも物語の進捗に応じてある程度絞られていくので大丈夫。
おばさんの缶スープがおいしそうで、くいしんぼうな読者である私は読んでいて楽しかった。
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子供を想う親の真実の愛情、優しさとは何か考えさせるものがありました
事実を知ったら悲しいけれど、自分のアイデンティティに関わる事実を知りたい気持ちと事実を知らない方が幸せなこともあるのかも
自分は気づかなかったり知らないでいて、
思ってる以上に周りの人たちに支えられて愛されて今の自分があるのかもしれないなと感じました
草木と心で会話してみようかな
切ない物語でしたが、読み始めると一気に非日常に引き込まれて、青い空とうみと鮮やかな庭の草木が目に浮かびました
ニコとのスープ屋さんは結果的に大成功する気がします
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とても穏やかな静かなお話でした。巨額の遺産相続したらおいらはこんなに静かでいられるかなぁなんて思う。そして親子ってずっと強い絆があるんだろうと。
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主人公が思いもよらぬことに巻き込まれていく展開。先というか、何故こうなったかという核心がなかなか掴めないところ、最後に回収されていくところが素晴らしかった。
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宮本さんもこんな感じのミステリというかサスペンス仕立てのものを書くんだー、というのが最初の感想。
が、しっかりと宮本さんのテイストだった。
良い作品と思うが、一つだけあるのはジェシカという登場人物の描き方が今ひとつな気がする。
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主人公が大きなうねりに巻き込まれる内容とは対照的に物語は淡々と静かに進み、自分がそこで暮らしているかのように場面がきめ細かく描かれる。大きな感動やワクワク感は少ないが吸い込まれていく不思議な感覚だった。
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宮本輝的な、少し屈折してて、俗っぽさもあって、人が良い青春を拗らせてる男子が、大人になって現代で生きてたらこんな感じなんだろなと思った。
ミステリ的要素を期待せず手に取ったので、思わぬ展開に楽しんでしまった。
Posted by ブクログ
映画を見終わったような読後感の一冊です。
アメリカに住んでいた叔母・菊枝が日本旅行中に亡くなり、突如莫大な遺産を相続することになった小畑弦矢。
諸々の手続の為、ロサンゼルスにある叔母の家に向かいますが、そこで27年前に死んだと聞かされていた叔母の娘・レイラが行方不明だと知らされます。
レイラは生きているのでしょうか?そして生きているとしたら何処に?そもそも何故、死んだとされていたのでしょうか・・?弦矢は探偵のニコと共に謎の解明に乗り出します。
・・と、あらすじだけ見るとミステリのようで勿論その要素もあるのですが(“探偵”も登場しますしね)、描かれているのが宮本さんだけに、やはり“ヒューマンドラマ”が軸となっている印象です。
主人公の弦矢は、アメリカの大学院でMBAとCPAを取得していて、英語はペラペラ、計算もスラスラの秀才なのですが、すごく気さくないい奴です。
一緒にレイラの謎を追う探偵のニコも、ちょっとクセはありますが頼りになるオジサンで、この二人の関係性も心地よいですね。
レイラの謎の真相は結構深刻で、これを27年間抱えてきたかと思うと壮絶なものがあります。
でも、物語としてそんなに重さを感じさせないのは、弦矢の人柄や、菊枝叔母さんの庭の花々の美しさ、そしてストックされていた菊枝さん手作りのスープの美味しそうな描写が癒してくれるからかな、と思います。どちらも丹精込めて作られたもので、それらを弦矢が受け継いでいく・・そんな未来が見える終わり方が素敵ですね。
そして、本書の舞台となっている、ロスの高級住宅街・ランチョ・パロス・ヴァーデスを一度訪れてみたくなりました。
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莫大な遺産を相続するという羨ましい設定であるけれど弦矢のキャラクターもあり忘れてしまう。突然亡くなった叔母が残した謎を解いていく過程と相棒のニコとの信頼関係を築くまでをワクワクしながら読みすすめた。ラストのキョウコの真相告白はじっくりと読見応えあり全て明らかになりスッキリした。それにしても凡人には理解しがたい遺産を今後どのように生かしていくのかきっとビジネスは成功するだろう。
Posted by ブクログ
亡き叔母の莫大な遺産と秘められた謎。
アメリカに住んでいた叔母が修善寺で亡くなり、突如、4200万ドルもの莫大な遺産を相続することになった弦矢。ロサンゼルス郊外にある叔母の家に向かったが、そこで白血病で死んだはずの叔母の娘・レイラが行方不明だと知らされる…。
27年もの間、叔母が秘密にしていた事実。弦矢はレイラを探します。壮絶な内容なのに、なぜか穏やかに読める。宮本輝さんの小説は不思議です。
舞台になるランチョ・パロス・ヴァーデスはロス郊外の超高級住宅地で美しい紫色のジャカランダが咲き乱れる町。この背景にも惹かれます。
場所と花をググりました。行ってみたい!
美しい情景と繊細な人物描写で、
どっぷりと物語に飲み込まれていきました。宮本輝さんの小説、好きです。
Posted by ブクログ
あらすじを読んだ時に想像していたより、重いテーマが隠れていて、親子とは、夫婦とは、という大きなテーマについて考えさせられる作品。アメリカが舞台でありながらも中心人物は日本人というところも不思議な雰囲気を醸し出していた。
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ロス在住の叔母(菊枝)が日本滞在中に逝去したという知らせ。相続人である甥の弦矢は莫大な遺産を手に入れる。
5歳の時に病死したはずの叔母の娘レイラが、実はスーパーで連れ去られ、行方不明になっていた。少しの望みにかけ、弦矢は調査会社の優秀な探偵ニコとともに27年間封印されていた真実を追う。
菊枝は幼児愛者の夫から娘を守るため、誘拐と偽って、信頼しているマクリード夫婦に彼らの娘として育ててもらっていたのだ。
大事な一人娘を手放さなければならなかった菊枝の気持ちは、想像を絶する。
夫やまわりの人達にも嘘をつき続けなければならないなんて、生きた心地がしなかっただろう。もっと他のやり方はなかったものか。
菊枝は、愛する娘を手放し、離婚することもなく人生を終え、幸せな人生だったのだろうか。後に残った素晴らしい庭とこだわり抜いて造った豪邸を玄矢に託すことで、少しは報われたのかなと思った。
そしてマグリード夫妻も玄矢からの連絡でメリッサに真実を告白するきっかけを得て、全てがうまくまとまることを願う。
アメリカでは子どもの行方不明者が年間80万人にものぼるという。日本で一人でも子供が行方不明になったら、大変なニュースになるのに、アメリカでは珍しいことではないということか。
アメリカのランチョ・パロス・ヴァーデスの広大な自然やオルコット家の管理された美しい花々で彩られた庭の風景が魅力的に描かれている。
アメリカに一度だけ行ったことがあるので、その時感じた雰囲気を思い出しながら、読み進めた。日本とは何もかもスケールが違う。
とても丁寧に地形を説明しているが、地理が苦手なので、いまいち頭がついていかなかった。
現代作家の中では今のところ、宮本輝が一番好きなので、文章は自分に合っていてとても読みやすかったが、淡々としていて、完読するのに時間がかかった。
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自分の故郷であるロサンゼルスの知っている地名やモノがでてきて懐かしい気持ちになった。主人公ゲンヤの人間味があるハートフルな一面が好印象で、読んでいるとき穏やかでいられる。が、内容自体は幼女の失踪事件で重くモヤモヤする部分もあった。物語の真相を知っていくにつれ、ちょっとしたショックも受けるが話は素直におもしろかった。また、解説にもあったが「ゲンニコ」タッグの作品をもっと読んでみたい。
Posted by ブクログ
第一章の導入部分がだらっとしていて読み進めるのに時間が掛かった。
叔母さんの死や従姉妹の失踪の真相を探るドキドキの展開かと思いきや、淡々と淡々と最後まで描かれていて、主人公の喜びや驚き、感情が伝わらず、可もなく不可もなくという読後感だった。
また、地図が苦手な私にとっては、通りの左向かいとか、この北側を行くとこの道に出る、とか行った描写が多用されていて位置関係が想像し辛かった。
アメリカに馴染みのある人には面白いかもしれない。
巨万の富を得るという体験を少し味わえた。
叔母の菊枝はレイラがいなくなった後どう夫のイアンと最後まで過ごしたのだろう。
菊枝と菊枝の兄(弦矢の父)はどうしてそこまで関係が最悪だったのだろう。
キョウコとケヴィンがメリッサに告げた後はどうなっただろう。
謎も残った。
弦矢とニコのスープ屋さんはきっとうまく行くだろう。
ジャカランダの花は検索してみたら本当に紫の桜という感じで綺麗だった。
Posted by ブクログ
【2023年21冊目】
ある日突然莫大な遺産を相続することになったらーー?思わぬことになった主人公にゆるゆると降りかかる未知の出来事の数々。終始困惑しながらも、着実に前に進んで真相に近づいていく様子を、こちらもページをゆっくりとめくりながら追いかけました。
草花の美しさと対比するような真っ黒な事実も明らかになるものの、結末は決して後味の悪いものではなく、未来を見据えた終わりになっているのが良かったです。
ニコ、私も一緒に仕事してみたいなぁ。
Posted by ブクログ
なんか読んだ記憶があるな。。。と思いつつ読み進め、さて、真相解明、となってまさに読んだことあったわ、と思い出す。
アメリカカリフォルニアの豪邸街、アメリカの生活、を、描きたかったんかな、という感じの作品。
真相が本当にそうであってほしくなかった、という嫌な真相なのが、玉に瑕で。
Posted by ブクログ
菊枝はなぜ最後までイアンと添い遂げることができたのだろうか。娘への愛情、イアンへの愛情、揺るがない強い意志を貫き通した菊枝の生き方に 良くも悪くも思いを巡らせた。
Posted by ブクログ
推しグループのメンバーがジャカランダの話をしていたので結構前に読み終わったのを思い出して記録。
西海岸に行く用事に合わせて読んだ。可もなく不可もない話だったけど、現地の空気が感じられるのはよかった。西海岸で暮らしていた頃は知らなかったけれど、その後私の人生のゴールデンアワーを過ごしたリスボンで出会ったジャカランダだったり、いままさに勉強している資格の話が出てきて、たまたま手に取った本が私の人生で出会うべき本だったと感じられる不思議な体験でした。
Posted by ブクログ
半分くらいまで物語の大筋に関係ないスープや花の話で長く感じた。そういう作風だったのか。急展開があるような感じではなく、新生活の中で徐々に真実が明らかになっていく感じ。また普通に読めた。