【感想・ネタバレ】草花たちの静かな誓いのレビュー

あらすじ

ロサンゼルス在住の叔母の、突然の訃報。甥の弦矢が駆けつけると、27年前に死んだはずの叔母の一人娘が、実は死んだのではなく、当時からずっと行方不明なのだと知らされる。なぜ菊枝はそのことを長らく黙っていたのか。娘はいまどこにいるのか。弦矢は謎を追い始める――。生き別れた母子の運命を豊かに描き出す長編小説。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

泣いた。
読んでて本を伏せたくなるような辛い場面もあったけどキクエさんの娘を思う強さと優しさに胸が熱くなった。
娘さんを逃した後結婚生活を続けるところも、どうしてと思う反面、
娘と娘を引き取ってくれた夫婦に危害が及ばないよう、事件の波風がたたないようにすることと、夫を監視するためだったんだろうなと思うとすごく理解できる。

私自身、3歳の娘の子育て中で子どもを手放すことがどんなに辛いことかわかるので、キクエさんの英断の凄さがわかる。

最後空想で美しい庭の中でのキクエさんと娘さんの抱擁が描かれるがそのシーンで涙が止まらなかった。

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2023年10月21日

Posted by ブクログ

ネタバレ

この分野には聖地巡礼という概念が無いのか 
モデルとなった豪邸が見つからない。

検索して出てきた豪邸は 私が想像する家とは全く違う物だった。 
これなら ロサンゼルスの郊外 ランチョ·パロス·ヴァーデスの明るい風景と合わないことはない。
しかし重厚なマホガニーと石材でできた豪邸は周りの風景とは不似合いな気がするのだ。

相続問題に関わる面倒ごとと 庭や周辺の街の明るさとが
相容れないように。 


草花たちの静かな誓いとは?

言葉をかけ続けると植物は綺麗に咲くとか 水の結晶が美しくなるとかよく聞くけれど
実行者の心を穏やかにするのだろうと思う。それは作業の丁寧さにつながる。
スープ作りは時間がかかり 自分を見つめることとなる。
そうして 顔が映るほど澄んだスープができるようになるらしい。


読みながら思い出していたのは
グリム著『眠り姫』

オーロラ姫を守るため生い茂った茨のように 弦矢の噂話をしているのか?

辰巳芳子著『あなたのために〜いのちを支えるスープ』

イアンに対する思いが変わったかどうかは判らないが
イアンの命を永らえさせ 

弦矢に新たな生き方を見つけさせ
レイラを…
葬り去られたようなレイラを蘇らせる。

終盤に近づくにつれ 夜明けに沸き立つ金色の雲のように レイラが燦然とかがやきを増してくる。

聡明そうな彼女は総てを察知しているような気がする。


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2021年01月04日

Posted by ブクログ

ネタバレ

ロス在住の叔母(菊枝)が日本滞在中に逝去したという知らせ。相続人である甥の弦矢は莫大な遺産を手に入れる。
5歳の時に病死したはずの叔母の娘レイラが、実はスーパーで連れ去られ、行方不明になっていた。少しの望みにかけ、弦矢は調査会社の優秀な探偵ニコとともに27年間封印されていた真実を追う。

菊枝は幼児愛者の夫から娘を守るため、誘拐と偽って、信頼しているマクリード夫婦に彼らの娘として育ててもらっていたのだ。
大事な一人娘を手放さなければならなかった菊枝の気持ちは、想像を絶する。
夫やまわりの人達にも嘘をつき続けなければならないなんて、生きた心地がしなかっただろう。もっと他のやり方はなかったものか。

菊枝は、愛する娘を手放し、離婚することもなく人生を終え、幸せな人生だったのだろうか。後に残った素晴らしい庭とこだわり抜いて造った豪邸を玄矢に託すことで、少しは報われたのかなと思った。
そしてマグリード夫妻も玄矢からの連絡でメリッサに真実を告白するきっかけを得て、全てがうまくまとまることを願う。

アメリカでは子どもの行方不明者が年間80万人にものぼるという。日本で一人でも子供が行方不明になったら、大変なニュースになるのに、アメリカでは珍しいことではないということか。

アメリカのランチョ・パロス・ヴァーデスの広大な自然やオルコット家の管理された美しい花々で彩られた庭の風景が魅力的に描かれている。
アメリカに一度だけ行ったことがあるので、その時感じた雰囲気を思い出しながら、読み進めた。日本とは何もかもスケールが違う。
とても丁寧に地形を説明しているが、地理が苦手なので、いまいち頭がついていかなかった。

現代作家の中では今のところ、宮本輝が一番好きなので、文章は自分に合っていてとても読みやすかったが、淡々としていて、完読するのに時間がかかった。

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2024年09月27日

Posted by ブクログ

ネタバレ

なんか読んだ記憶があるな。。。と思いつつ読み進め、さて、真相解明、となってまさに読んだことあったわ、と思い出す。

アメリカカリフォルニアの豪邸街、アメリカの生活、を、描きたかったんかな、という感じの作品。

真相が本当にそうであってほしくなかった、という嫌な真相なのが、玉に瑕で。

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2023年01月07日

Posted by ブクログ

ネタバレ

菊枝はなぜ最後までイアンと添い遂げることができたのだろうか。娘への愛情、イアンへの愛情、揺るがない強い意志を貫き通した菊枝の生き方に 良くも悪くも思いを巡らせた。

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2022年06月11日

Posted by ブクログ

ネタバレ

ロスという土地自体の描写、ロスで知り合う人々の描写が多い。伏線か!?と思って読み進めても伏線じゃないことが多かった。話自体はシンプルだと思った。

キクエおばさんは自己犠牲という言葉がよく合う。自分に関わった人にいろんな形の幸せを与える人だと思った。(レイラ然り、キョウコ然り、イアン然り) 自己犠牲の上に張り巡らせた、レイラを取り巻く糸が一瞬も緩むことがないことがおばさんにとっての幸せだったのだろう。
もし弦弥が自分の子供だったら、自分の子供が男だったならと思ったこともあったのではないかなあ…


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2021年01月05日

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