あらすじ
困難な時代を生き抜く、知恵の対話。創作、家族、人間関係、健康、死生観…。小説が問いかける「幸せ」のかたちとは。20年ぶりに出会った世代も作風も異なるふたりの作家の共通点は、人間の「生」を力強く肯定する作品を書き続けていること。「ぼくは、小説の世界では、心根のきれいな人々を書きたい」(宮本輝)。「読んだ人に『自分と同じだ』と感じてもらえたら、ちょっとした治癒が起きるんじゃないか」(吉本ばなな)。思索が詰まった珠玉の対話集!
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Posted by ブクログ
過去の対談を集めたもの、死生観のことを掘り下げていて読み応えあり。
死は当たり前のこと、死は日常と思っていれば死を淡々と受け入れられるようになるのか…。
いやいやそれにはもっと修行が必要だわ。
85歳まで書いていたいから健康には(糖質制限)気を使っているという宮本輝、85とは言わず90になっても書いていてほしい。
1年に必ず再読する本が3冊あるという。
「赤毛のアン」全巻と
藤村の「夜明け前」
西行の詩 の3冊
赤毛のアンは特に6巻がいいらしい。
「赤毛のアン」は「続赤毛のアン」までしか読んでないから、6巻となると遠い道のりだわ。
Posted by ブクログ
惜しい本を、読み飛ばしていた。
が、単行本が出た2015年は、まだ読書生活を復活させてなかった頃だった。
しかも、2011年の新刊『三十光年の星たち』を読んで、宮本輝ともちょっと距離を置こうとしていた時期にも重なる。その『三十光年の~』のレビューの冒頭には、こう記してある。
「宮本輝も齢をとったな、と思わせる一冊だった。佐伯という老人を通して今の若者世代に説教したいことをちりばめたような何とも後味の悪い印象。」
その少し前の作品あたりから、金持ちな老人が出てきて話を引っ張りまわすような感じがあり、うすうすと感じていた説教臭さ、関西の親戚の叔父貴がいかにも言いそうな、蘊蓄や御宣託が多くて、ヤになったのだ。
その後、そろそろどうかな?と、新作を手に取ったのは2021年の『灯台からの響き』。実に10年も間が空いてしまった。
「でも、宮本輝が、ヤなジジイのままではなく、また佳き作家として戻って来てくれた印象を持てた本書は、二重丸だ。」
とレビューしたので、その後は、なるべく読んではいる。
10代、20代のころのように、新刊が出ればすぐに全部読んでいたころとはちょっと違うけど。
そして対談相手が吉本ばなな。こちらも、20代の頃、彼女がデビューした時からの初期の数冊は、単行本ですぐに読んでいた。素敵な感性と表現力を持った大好きな作者さんだ。
そんな二人の対談。ハズレるわけがない。
主に、作家論だったが、とても示唆に富んでいる。何かを創作する人の姿勢、死への心構え、なにより人生との向き合い方が多く語られている。
小説の面白さを教えてくれた人生の大先輩と、同じ時代の空気をすって育ってきた同世代。発せられる言葉が、どちらの口から出ても、スっとしみ込んで腹落ちするのは、数多たの作品を通して、自分なりに感じてきた作者のヒトトナリと合致するところがあるからだろう。
作品や、エッセイから感じ取っていた人物像から、予想通りの、人肌感が伝わるひと言ひと言に、大いに感銘をうけた。