宮本輝のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
宮本輝さんの作品を読むと、どんな人間にも物語があるということをつくずく思い知らされる。「老人」とか「若者」とか大きな属性でまとめてしまうことのなんと浅はかで愚かしいことかと教えられる。
90歳の老人には90年分の、29歳の女性には29年分の生きてきた積み重ねがあって、それは誰一人として同じではなく等しく味わい深いものだということ。そんな当たり前のことをしみじみ感じさせてくれ、人間が生きてそこにあることの奇跡を教えてくれる。
ストーリーとしては徳子さんというお婆さんが90歳まで生きた感謝の意味を込めて家族を招いた晩餐会を開くというものだけど、晩餐会の贅沢な料理やワインを事細かに描いた部分は正直 -
Posted by ブクログ
主人公の実家が、自分が住んでいる場所のすぐ近くでまず驚く。驚くことはないのだが、どうしてこの場所を?という疑問。
最寄駅から家までとか、走っている電車とか、あたりの風景とか、描写はかなり詳細。
こんな地味なところでなくても、もう少し行けば映画やドラマのロケ地になるところや、ヴォーリズの建築で有名な場所もあるのに・・・
でも宮本さんはあえてここ、武佐にこだわったんやね。
話の内容は、地味な武佐とは想像もできないような、豪奢で格式のあるお話。
まず主人公が住んでいるところ、東京だが、その建物は四合院造りといわれる建物で、主に中国に見られる建造物。
真ん中に中庭があり、それを中心として東西南北に孤立 -
Posted by ブクログ
タイトルが良いなと、日頃あまり読まない宮本輝さんの本を手に取った。
素直に世界観に浸りたい気持ちと、何かが引っかかる気持ちが行ったり来たり。
自分が紆余曲折を経て生きてきたこと、関わってきた人たち全て、それらに思いを馳せ、敬意を払うのはとても素敵で、一人一人の生き、生かされた経験を無二のものにする。
ただ、高等家系の贅を尽くした晩餐会…何か引っかかる。沢山の生き物から出汁をとったデミタスカップに注がれたジビエのコンソメ…高等家系ならではの地位とお宝コレクションと広く卓越したコネクションの数々…
羨ましさも混ざっているんだろうと何度も自分を諌めたけれど、やはり上手く世界観に浸り切ることはで -
Posted by ブクログ
母から借りた本
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今で言うモラハラ的な夫を捨て突如家出した母、絹子
ドナウ川に沿って旅をしたいという手紙を受け取った娘の麻沙子は母を引き止めるため、かつて自身が過ごした西ドイツへ飛ぶ
かつてのドイツ人の恋人シギィと再会し、共に母を追う中、絹子が17歳年下の愛人、長瀬と共にいることを知る
やがて、二人を見つけた麻沙子とシギィの4人はドナウ川を下る旅に出る
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まず、もう古い!
1988年刊行…ってことは35年も前!!
言い回しも古臭い
『〜ですわ』とか『〜しましたの』とか
それがいい味出してるっちゃ出してるのかもしれない…といい方向に考えてみる
とっても分厚い上にやや冗長的なので時間かかった