宮本輝のレビュー一覧
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下町に暮らす主婦が骨董品屋さんから茶碗をもらう、それが数千万円の価値があるものらしい。小説ならたちまち怪しげな詐欺師とか曰く付きの学者とか出てきて、殺人事件でも起こるかという劇的な状況であるのに、何も起きずに主婦の周りでいろいろな人たちがゆっくりと下町の生活を過ごしている。小説の時代は平成だが雰囲気は全く昭和の白黒映画、主人公は八千草薫か倍賞千恵子か、なんて事を考えたくなるような、昔はよくあっただろう雰囲気が描かれている。
さてこの先どうなるのやら。急ぎ後半に行きたいという気分でもないが、とりあえずタイトルの意味は知りたい。ここまでなら、水のかたち?というより、土のかけら、牛の形、すき焼きの味 -
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第一章の導入部分がだらっとしていて読み進めるのに時間が掛かった。
叔母さんの死や従姉妹の失踪の真相を探るドキドキの展開かと思いきや、淡々と淡々と最後まで描かれていて、主人公の喜びや驚き、感情が伝わらず、可もなく不可もなくという読後感だった。
また、地図が苦手な私にとっては、通りの左向かいとか、この北側を行くとこの道に出る、とか行った描写が多用されていて位置関係が想像し辛かった。
アメリカに馴染みのある人には面白いかもしれない。
巨万の富を得るという体験を少し味わえた。
叔母の菊枝はレイラがいなくなった後どう夫のイアンと最後まで過ごしたのだろう。
菊枝と菊枝の兄(弦矢の父)はどうしてそこまで関 -
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ネタバレオシャレで可愛い徳子おばあちゃま。 育ちの良さから品を、夫の戦死などから、凛とした強さを感じます。
孫娘の綾乃さんからのプレゼントへの礼の文。
『・・・九十歳になって孫の綾乃が贈ってくれたゲランの香水を胸にぽつんとつける日がくるとは思いませんでした。
つけて寝て、朝、目がさめたとき、起きるのが恥ずかしくて、さらに起きたまはぬ朝となりました。よき時を思いました。幾重にもお礼申し上げてます。 かしこー 』
九十歳のおばあちゃまがゲランの香りに包まれて目覚め、まどろむ贅沢な時間・・・なんとも優雅で羨ましい。 そんな優雅で贅沢なシーンが度々登場しますが、京都を中心とした言葉や空気感により、 -
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宮本輝さんの作品を読むと、どんな人間にも物語があるということをつくずく思い知らされる。「老人」とか「若者」とか大きな属性でまとめてしまうことのなんと浅はかで愚かしいことかと教えられる。
90歳の老人には90年分の、29歳の女性には29年分の生きてきた積み重ねがあって、それは誰一人として同じではなく等しく味わい深いものだということ。そんな当たり前のことをしみじみ感じさせてくれ、人間が生きてそこにあることの奇跡を教えてくれる。
ストーリーとしては徳子さんというお婆さんが90歳まで生きた感謝の意味を込めて家族を招いた晩餐会を開くというものだけど、晩餐会の贅沢な料理やワインを事細かに描いた部分は正直 -
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主人公の実家が、自分が住んでいる場所のすぐ近くでまず驚く。驚くことはないのだが、どうしてこの場所を?という疑問。
最寄駅から家までとか、走っている電車とか、あたりの風景とか、描写はかなり詳細。
こんな地味なところでなくても、もう少し行けば映画やドラマのロケ地になるところや、ヴォーリズの建築で有名な場所もあるのに・・・
でも宮本さんはあえてここ、武佐にこだわったんやね。
話の内容は、地味な武佐とは想像もできないような、豪奢で格式のあるお話。
まず主人公が住んでいるところ、東京だが、その建物は四合院造りといわれる建物で、主に中国に見られる建造物。
真ん中に中庭があり、それを中心として東西南北に孤立