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昭和31年、熊吾は大阪の中華料理店を食中毒事件の濡れ衣で畳むことになり、事業の再起を期して妻房江、息子伸仁を引き連れ富山へ移り住む。が、煮え切らない共同経営者の態度に、妻子を残して再び大阪へ戻った。踊り子西条あけみと再会した夜、彼に生気が蘇る。そして新しい仕事も順調にみえたが……。苦闘する一家のドラマを高度経済成長期に入った日本を背景に描く、ライフワーク第四部。
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Posted by ブクログ
自尊心より大切なものを見つける。 自分で実際に見聞きしたものだけを信じる。 心根の腐るような言動はしない。 何が起きても、大したことはない。 主人公から我が子へ送る言葉が、心に響く。 些事にとらわれず、我が道をひたすらに突き進む主人公の生き方が、かっこいい。 妻が喘息にかかっている情報を得ても、すぐ...続きを読むに連絡をせずに、目の前の雑事をさらっと片付ける姿がなんだか心に残った。
自尊心より大事なものを持たねばならない。 富山へ移った松坂一家。 様々な苦難が降り注ぐ。 その中で、地味溢れる言葉に溢れている。 徐々に苦しくなる熊吾と家族。追い詰められて来ているが、その中でどう生きていくのか。。 熊吾のパワーが落ちて来ている感じもある。 そして、人間の悪意や行動も、善悪では...続きを読むなく、一つの自然現象なのかも知れない、という印象が浮かぶ。 後書きで、今後の描かれる内容にも期待が高まる。どの様なことが生じるのか。早く次が読みたくなった。
我が人生のバイブル(笑) 「流転の海」第四部 気の遠くなるような長旅を経て富山へと辿り着いた松坂一家を出迎えたのは、想像を絶する豪雪と先行きの不安を暗示する高瀬夫婦の応対だった。 程なく、 高瀬勇次の人間を見誤っていた事に愕然とする熊吾の元に、河内善助の急死の知らせが届く。 河内の告別式の為に...続きを読む帰阪した熊吾は、千代麿から自動車ブローカー・久保敏松と引き合わされ、観音寺のケンとも再会する。 そして、観音寺のケンから房江と二人で自分の子を身籠った女・百合を預かって欲しいと頼まれる。 やがて、高瀬との事業に見切りをつけた熊吾は、高瀬にゴム付きの手袋の事業を薦め、自身は単身大阪への帰還を決意する。 久保敏松と中古車販売会社を起こす元手作りの為、名刀・関の孫六を手放す決意をするが、その道すがら再会したストリッパー西城あけみの顔に大火傷を合わせ、新たな柵を産んでしまう。 過去に大怪我を負わせた海老原太一を頼り、関の孫六を買い取って貰い資金を得るが、その日の食べ物にも窮する房江らの窮状を知りながら、森井博美(西条あけみ)との肉欲に溺れる熊吾。 一方、富山での暮らしに言いようのない行き苦しさを感じる房江は喘息を発症してしまう。 そして、房江に約束した期日を過ぎても事業の進展が遅々として進まない中、今度はなんと久保敏松によって新事業に参加した業者の預り金を含む全財産を持ち逃げされてしまうのだった。 万事窮した熊吾は、森井博美の手術に用立てた金を返して貰い、博美との関係に終止符が打たれる。 やがて、 富山に戻った熊吾は、伸仁を富山に残し房江を大阪に伴う決意をするのだった。
精力的に事業を興しては成功させていた熊吾にも暗雲立ち込めてきて読み進める事が中々つらくなってきた。 宮本輝氏の作品で描写される「生と死」「明と暗」「幸と不幸」「貧と富」等々、この第4部は暗の部分が強くのし掛かってきたような感じがした。第5部は生の象徴でもある伸仁の活躍に期待している。 メモ 古今亭...続きを読む志ん生「二階ぞめき」 提婆達多
昭和31年中華店食中毒大阪から富山へ。共同経営者煮え切らなく単身大阪へ。踊り子西条あけみと関係。中古車販売順調に見えたが部下が資金持ち逃げ。息子伸人仁を富山に残し大阪へ。高度成長期
主人公の熊悟はとにかくいろんな事にチャレンジしたり、世話を焼いたり、裏切られたり、感謝されたり、心配させたり、次々に事に対峙して行く様は常にアクティブだ。年を重ね若干強引さやパワフルさが影を潜めたが、生命力に溢れている。また、子煩悩であり、なんだかんだやっても妻を愛している。今後の展開が楽しみだ。
シリーズを読破してしまいたくないためだけに先に引き伸ばしているのだけれど、ややもすれば明日にでも本屋に寄りかねない勢いにさせられてしまう中毒性の読み物。第4作は宮本さんが主人公の年齢により近づき、主人公の心理描写にリアリティが増しているように感じる。運命の岐路に立つ波乱万丈の主人公とその家族の行く末...続きを読むがまるで自分のことのように案じられるまでにただただどっぷりと作品に浸かっている自分を発見するのみである。
新しい土地で再出発したのに、次から次へと失敗。離れ離れになった家族はそれぞれに苦労しながらなんとか一年を過ごす。特に主人高の妻の孤独さの表現はなかなかで、今まで激動だった前作より心の深い描写が際立っていたと思う。
※ネタバレ、という程ではないですが、内容に踏み込んだこと書いてます。父としての松坂熊吾の姿がすごく好きです。伸仁とのやりとりや、房江との会話など、愛情に満ちていて読んでいて笑みを浮かべてしまいます。以下、印象に残った言葉と思ったこと「自分の自尊心よりも大切なものを持って生きにゃあいけん」自分の人生に...続きを読む大目的をもって、そしてその目的が大きければ大きいほど、自分の自尊心は取るに足らないものになる、とも書かれていました。この件を読んだとき、大目的とはなんだろう?そして自分には大目的があるだろうか?とまず思いました。また、「命」ではなく「自尊心」としたところが人間の心理の本質的なところを捉えているような気がしてならないです。自分に自信のない人は、世の中少なくないと思うけれど、自尊心を傷つけられてなんとも思わない人は滅多にいないのではないでしょうか。他人のため、社会のため、もっともらしい言葉をならべても結局それは自身を他人からよく見てもらうための看板、パフォーマンスだったりする場合が多いのでは?他人に頭を下げてでも、恥をかいてでも達成したい目標があってこそ、人は気高く生きられるのかもしれないです。「この日本の「公」というところに自分の息子を託してはならない。そこでは、何か大切なものが奪われていく気がする。」松坂熊吾は日本の公教育というものに強い反感を持ってますね。器の小さい教師たちや、息子を思うあまりといった側面もありますが、一つ共感したのは「均一化にだけ主眼を置いている」という部分。自分が子どものころにも確かに、学校というのは子どもを型にはめて生産する工場みたいなところだなぁと感じたことはあります。個性だなんだといいつつ、欲しいのは扱いやすい「個性」ですから。「……野菜の花の美しさは、人々に季節の味や栄養をもたらし、人々の役に立つ働きとか使命とかを担っているが故に天から与えられた徳のような気がする…」「美醜とは関係なく、なんとも言えず品のいい顔立ちをした人がいる。そういう人の、とりわけ目はきれいだ」品性の高さは人相に表れる、という話。作中とは関係ないけれど、個人的には「笑い方」や「笑顔」にもその人の品性というか人柄が表れるような気がします。邪な気持ちのない笑い声というのは聞いていて楽しくなるものだけど、人を見下して出す笑い声というのはいかにも品がなく、いやらしく聞こえる気がしてならないです。タイトルの「天の夜曲」これはおそらく、富山の旅館で家族三人水入らずの団欒を過ごしたときに熊吾と房江が聞いた「不思議な調べ」のことだろうと思われますが、物語の最後で房江だけがその音を聞き、熊吾は聞こえない。この「不思議な調べ」が何の音なのか、また何を象徴しているのかはわからないですが、なんだか不吉な予兆なような気がしてなんだか心配です。熊吾が見舞われる数々の不運。この大長編の最後に作者はどんな結末を用意しているのか楽しみです。
妻と子を富山に残し、大阪で再起を図る熊吾。 そんな彼に色々な試練がかかる。 伸仁と同じように幼い頃に富山で暮らした筆者にとって、富山の風景は心に刻まれているのであろう。 富山の田園風景の描写は瑞々しい。 顔面に大火傷を負った、西条あけみの描写が痛々しい。
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流転の海
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宮本輝
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