宮本輝のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレではないと思うけどどうだろう
高校3年の夏、読書会の課題図書のひとつが「星々の悲しみ」だった。自分ではきっと手に取らない本だったけど、短編集を買って1度は通しで読んでたと思う。15年くらいぶりに読んでみたけどあの時と感じ方はどう変わったかな
現国の教科書に載ってそうな、小劇場で観る芝居みたいな短編集。
短編のどれも、死にまつわる話が多かったと思う。解説読んでなるほどと思ったけど、主人公はどれも大人になる手前の人物で「成熟するまでの過程」が描かれていた。派手さはないけど、匂いがするようなリアルな生活の描写の中に生と死(「まだ死んでない」と「死」)が描かれてると思った。
星々の悲しみ
有吉と交わした最期の「またな」の瞬間に垣間見たものはなんだったのか、たぶん初めて読んだときは掴めなかった気がする。今は命の儚さとか、死にむかう人間が直面する簡単には言い表せない悲しみとかなんじゃないかと思える。
西瓜トラック
自分が主人公と同じくらいの年頃でこういう性の生々しいものに直面したらちょっと人格形成歪んだかもな…とおもうんだけど、またあいつに会えたら一万円の事を報告しておきたい、ていう部分には少年らしい穏やかな誠実さと爽やかさを感じた
最後は物悲しい感じでまとめられてるけど
北病棟
火
気持ち悪いけどなんかわかる。
火をみている時だけが快適なのちょっとかわいそうだけど安全基地があっていいね 放火魔になるわけじゃないなら穏やかに生きてってほしいわ 完全に古屋サイドの気持ち
小旗
父の死(借金まみれで自分と母を「もう捨てた」と言って若い女と住んでた)に際してもどこか無気力な青年と旗を振るだけの仕事を一生懸命にしてるモブの対比がすごい
蝶
日常のなかにある不思議体験て感じでよかったな
少しずつ落ちていく鱗粉、電車の揺れで羽ばたいているように見える蝶
終わり方も好みだった 小劇場の芝居みたいだ
不良馬場
主人公、友達の奥さんと不倫してたんかーい から始まる生と死の対比の構造だなと思った
片や友人の妻と肉体関係持ってニューヨークへの栄転まで決まってる生命力のある主人公と、一方で2年間も閉鎖的な結核病棟で過ごしている友人
最後に転倒して骨折した脚の折れ口で自分の胸を突いてしまった馬、荒々しく動いていて噴き出した血の勢いで鼓動を感じさせるけど、きっとこのあと死ぬんだろうな(競走馬は骨折したら殺処分にすると聞いたことがある)
病棟内にも「死」と「まだ生きている」が転がっている
これは完全に私事だけど、今年の4月に祖父が90歳で亡くなって 長く一緒に暮らしていたからまだ全然さみしいし後悔もたくさんあるのだけど
老いとか衰えって、目の当たりにするのが嫌だったりする
それは単にセルフケア能力が落ちて「ちゃんと顔あらいなよ」「ちゃんと歯みがきなよくさいよ」みたいなのもあったけど、活動的だった祖父の活気がなくなっていったりするのを実感するのも嫌だったんだよな
自分の両親、義理の両親がこれから老いていくときもう少し近い距離で頻繁に気にかけたいなって思う
徐々に訪れる死(老い?)というものは、想像していたより生臭くて醜悪なんだね
でもその鼻をつまみたくなるような避けたいような嫌な感じ、1個乗り越えて「歯磨き手伝って良い?」とか「温タオル作ったからちょっと顔だけ拭こう」とかさせてもらうと
あの時少し手伝わせてくれてありがとうって思えたりもするんだよな -
Posted by ブクログ
明治の時代が本格化。版籍奉還、廃藩置県、岩倉具視を代表とする使節団派遣、征韓論の勃発・・・
不平士族が溢れ、新貨幣への交換、太陽暦への移行、郵便制度、鉄道敷設、駕籠から人力車へ、庶民の生活も大きく変化する。
北前船が寿命を迎え、主人公・川上弥一を取り巻く環境も変わる。
弥一は新しい時代に対応しようと、売薬仲間組から「カンパニー」創設を目指す。
東京、大阪に支社を作り、琉球経由での清国貿易を止めた薩摩藩の動向を見極め、「松場屋」という廻船問屋を使い、独自に清国との交易に乗り出す。
干し昆布を積んだ船・昇光丸に、清国語をた才児が乗り込み、危険承知で、中国・福州の現地商人・朱祖善との交渉に向かう。
昇光丸が無事帰還して、交易の道が切り開かれるが、弥一の息子・太一郎の身に異変が生じる。
並行して、台湾出兵や神風連の乱、秋津の乱、前原一誠の乱、そして西南戦争へ政府への不平士族による戦乱も終息を迎えていく。
名もなき庶民である富山の薬売りの目を通して、幕末・明治維新の動乱期をビビッドに描く大作で読み応えがあったが、正直、基礎的な歴史認識がないと、ピンときにくい箇所が多かった。
弥一や彼を取り巻く登場人物との間の人間ドラマの要素よりも、歴史史実に重心を置いているので、ストーリーの面白さは味わえなかった。
また、太一郎の異変の真相が最後まで明らかにならなかったのは、やや残念だった。