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Posted by ブクログ 2022年10月19日
読み終わってしまった(涙)
50うん歳になる令和の4年まで、ずっと流転の海を読まずにおりました。
なんとこの文庫本の発売が令和3年。
一巻目の発売から出会っていたら読み終えるまで37年の間、心の片隅にあった本だったかもしれない。
大好きな青が散るをまた読もうと思います。伸仁がモデルの青が散るも、流転...続きを読むの海の読後は違った発見があるかもしれない!
Posted by ブクログ 2022年08月07日
流転の海完結編。全9巻。
宮本輝は毎回、人生とは、人の宿命とは、幸福とは、などいろいろなことを考えさせられる。
この作家に出会えたことで、人生が深まったように感じる。
Posted by ブクログ 2021年10月24日
とうとう最終巻まで読み終わってしまいました。
第八部で妻子と別居することになり、殺伐とした第九部になるのかと思いきや、意外にものどかな日常が綴られていきます。
一緒には暮らさないけれども、家族として互いを思いやりながら暮らす熊吾と房江は、もしかすると初めて穏やかな生活を手に入れたのかもしれません。
...続きを読む
作中でも語られますが、熊吾は人と人とをつなぐのがとてもうまい。
自分の部下にはしょっちゅう裏切られるし、家族とは別居するはめになるのだから、もしかすると親しい他人という距離が、一番熊吾との安定した関係を築けるのかもしれません。
”雑用が満足にできない人間は、どんないい大学を優秀な成績で卒業していても使い道がないのだ。”
苦労人の熊吾だからこその、人を見るポイントです。
苦労しながら一生懸命に生きている人たちに、なんとか生きる道筋を示しながら、少しずつ熊吾はその人生を清算しているように見えました。
裏切った人たちも多いけど、敵対した人たちも多いけど、それでもなお熊吾を慕い支えようとする人たちがいたことは、熊吾の人生が豊かなものであったことの証だと思います。
最後の最後に病院を転院することになり、まさかの展開でしたが、温かで穏やかな読後感でした。
ちょっと熊吾ロスになるかも。
第一部を読んでいた時は、もっと嫌なやつと思っていた筈なんですけどね。
Posted by ブクログ 2021年08月08日
遂に最終章となった。
松坂熊吾が71歳の人生を全うした。
この小説からは多くの事を学んだ。
男として、父親としての生き方を。
大将と呼ばれ、人に対して優しく
世話好きな熊吾は、その人の良さと
経営者として、どんぶりな経営で人に騙されて、横領されたりして生活が苦しくなるが、
なんとか逞しく生きていく。...続きを読む
作者が最終章は自分が熊吾の歳にならないと
書けないと完成まで37年の時間を費やしたこの様な作品はきっと出てこないのではないだろうか!
この作品を世に送り出してくれた作者に感謝の気持ちでいっぱいだ。
Posted by ブクログ 2021年07月25日
長い大河小説を読み終えた。
市井の人間ではあるが、含蓄のある言葉と人と人とを結び合わせる力を持った熊吾。
その家族の戦後20年の話。
逞しく変わっていく妻子に比べると転落と言えるような熊吾の生涯。
最後に熊吾が愛した人々が別れに訪れるシーンに涙した。
Posted by ブクログ 2021年06月20日
三十七年かけての
「ひとりひとりの無名の人間のなかの壮大な生老病死の劇」
は、遂に完結しました。
書き上げたのが71歳とは、熊吾との縁を感じずにはいられませんでした。
「宿命っていうのは、ものすごい手強い敵や」
宿命と闘いながら、自分の生老病死に立ち向かっていかなくちゃ
ですね。
素晴らしい長編...続きを読む作です。
Posted by ブクログ 2021年05月28日
10年ほど前に読み始めたが、当時まだ第5巻までしか書き上げられておらずそこで中断したままだった。このたび遂に全巻完結し文庫化されたとのことで第1巻から再読したが、1か月で全9巻一気読み、圧倒的な面白さでした。
なにより松坂一家のみならず登場人物ひとりひとりが背負う人間性を丁寧に描き、自分自身の遠い...続きを読む記憶を呼び覚ますような昭和30~40年代の大阪の下町に浸り続けたひと月でした。
登場人物があまりにも多く、人間関係が複雑にまじりあってわからなくなるので今回は人物相関図を作りながら読み進めていったのが大正解。前半で登場した人物ややりとりを最後まで絡んでおり丁寧に回収されていることなどあらためて素晴らしいと感じた。
完結編を前にして商売も家族も最悪の状況になりそうで心配したが全員それなりに幸せの形を迎え穏やかな結末になった。
物語の登場人物が死んで冥福を祈る気持ちになったのはア初めてでした。素晴らしい作品に感謝します。
Posted by ブクログ 2023年10月02日
何とまあ、あっさりと。。。
最後まで、、最後の最後まで、人間は人間のまま、ちょっとしたことで過ちをする。
熊吾の伸仁への言葉。何の意図から出てきたのか。よくわからん。
房江も伸仁も、何故あんな親父を再び受け入れることができたのか。
訳がわからぬ。
ただ、この長い小説は、色んな局面の光(時代、人、天...続きを読む災、裏切、病気、色欲)に照らされて浮かび上がる様々な熊吾の反射を描くことで、熊吾という人間がどういう人なのかを知っていくものなのかも知れない。
前巻で、女房を殴る根拠が明かされ、そしてこの巻では、人を助けることや実は頑固さがないことなどが描かれ。。
今の自分にはそんなところしか、味わえない。
何故青桐を切らせたのか、何故木俣にとって切る必要があったのか、
最後の妄言のセリフとして何故ああしたエピソードを出すのか、
何故タクシーの運転手の機嫌を損ねて言うべきことがあったのか。。
よくわからない。多分、照らし合わせる、私の物差しがまだ無いからだろう。親が死んだら?自分がその歳まで生きたら?もう少しまた見えてくるものがあるのだろうか。
唯一、教条的な言葉としては、自分の宿命を知り、その宿命に意思を持って争うことが必要ということ。
最後は、呆気なく去っていく。
そんなものなのかも。
『何があっても、大したことはありゃあせん』というのは、生死の境を経てもそういうものなのかも知れない。
最後の最後のシーンがあまりにも清々しくて、サザエさんのエンディングのような印象を覚える。
何がどうということもなく、、
人間はさまざまなことがら、運命、宿命に翻弄され、その中で自分の意思でできることもあれば、自分の意思ではコントロールしきれずに成長しない自分に振り回され、そうやって日々を重ねていくことが生きることなのか。
自分の嫁や子どもがいたら、また何かわかることが出てくるのか。。。
伸仁は、明らかに熊吾の教えを地肉にしているところもある。
色々考えてみたが、人間はやっぱりよう分からん。
よう分からんのに分かった風に思うことや、分かったとして正義を振りかざすのはおっトロシイことやなということかと感じた。
そして、宮本輝を初めて読んだ時のように、やはりBlue heartsが聞こえてくる。
『この旅は気楽な帰り道 のたれ死んだところで 本当の故郷』
数年後に読んでみて、また、異なる感想が出てくるのか、どうなのか。
ただ、市井に生きる人々の、剥き出しの生を感じ、前世代の、幼少期から青年期の父母と、老年期の祖父母と会話しその息吹を感じることができたのは収穫。地続きの、等身大の人間として、コミュニケーションすることのできる機会を与えてくれた。
そして、こうした市井の人々の息吹を描くことで、歴史を追体験するというアプローチとして、夜明け前と楡家の人々を読んでみようと思う。
中学時代に挫折した夜明け前も、今なら少しは読めるかも知れない。
Posted by ブクログ 2023年02月23日
あとがきに書かれている「ひとりひとりの無名の人間のなかの壮大な生老病死の劇」という表現が非常にしっくりときた。
沢山の人物が登場し、亡くなっていくが、どこか淡々としていて、悲しみとは違った感情にさせられた。長い小説だが、読み終わってしまい、寂しい気分。
Posted by ブクログ 2023年01月02日
流転の海、最終巻。辻堂とあんな感じになったのは意外。看病中に知り合った男についていく博美がかわいそうだなあ。前巻の「長流の畔」を読んで3年が経ったので、いろいろ登場人物を忘れていて、大団円も感動が薄いかな。流転の海シリーズの中で、一番面白くなかった巻かもしれないが、まずは完結してよかった。
Posted by ブクログ 2021年09月08日
第一部から長かった。読み終わったー!
人間の心のヒダとかキビについても、もちろん色々と思うけど、流転の海シリーズで割と重要なの、食べ物に関する描写やエピソードだなぁ、とあらためて思った。
こういうのサラッと読ませるの凄い。
Posted by ブクログ 2021年04月27日
【「自伝に戻って来た?小説」、遂に完結!】
宮本輝「野の春(流転の海 第九部)」新潮文庫
宮本輝が34歳で書き始めた「自伝的小説」が、物語を進めるに従ってだんだん「自伝」を離れていった、と作者本人が振り返る作品である。2018年に発刊された単行本の文庫版が今月売り出されたのて、文庫しか読まない僕...続きを読むもようやく手にした。
最終巻にふさわしく主な登場人物が一通り現れ、主人公松坂熊吾はそれまでやって来た複数の事業を整理し、妻・房江はホテル・多幸クラブの食堂での仕事を軌道に載せる。ひとり息子・伸仁が二十歳を越え、五十で彼を持った熊吾なりに責任を果たしたという思いに浸るが、(僕にとっては)まさかの結末を迎える。
「自伝からどんどん離れていった」はずの小説だったが、熊吾の長い語りや、病院のやたらと詳しい描写(僕には作者の批判とも読めるくらい詳しい)など、作者の本当の想いや気魄が相当こもっている気がした。その意味でこの物語は、最終巻にして「自伝に舞い戻って来た」感じさえするのである。
戦後すぐから万博直前にかけての大阪の街の細かい描写、そして物語の最後でようやく僕が幼稚園に入るかな?という時代背景(「駅前第一ビルと第二ビルがもうすぐ建ち始める」んやそうです)なども含め、9巻通して僕には忘れ難い作品になった。
Posted by ブクログ 2021年04月10日
読み終わってしまった。
読み終わってしまった。
感想なんか書けへん。
この作品を超えると作品を今後読むことはない気がする。37年間ブレずに書き続けられた著者を心からすごいと思う。あとがきにもあったけど、最後まで健康で書き終えてくださったことに感謝しかない。