あらすじ
昭和38年、松坂熊吾は会社の金を横領され金策に奔走していた。大阪中古車センターのオープンにこぎ着けるのだが、別れたはずの女との関係を復活させてしまう。それは房江の知るところとなり、彼女は烈しく憤り、深く傷つく。伸仁は熊吾と距離を置き、老犬ムクは車にはねられて死ぬ。房江はある決意を胸に秘め城崎へと向かった……。宿運の軸は茫洋たる暗闇へと大きく急速に傾斜していく。
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大阪千鳥橋・中古車センター編(伸仁16歳から17歳・高2から高3)
房江さんの哀しみと諦めと、伸ちゃんの涙…
第8部は、房江さんの気持ちに寄り添いながら読みました。
城崎で自らの命を絶とうとした房江さんだったけれど、様々な要因(幸運)が重なり、命を救われました。
人生には、「もしも、あの時〇〇だったら…」という偶然の巡り合わせがあると思います。房江さんが最期と決心して鰻重をお腹いっぱい食べたこと、麻衣子さんが家に引き返したことなど、色々なことが重なり房江は一命をとりとめました。
これらは決して偶然ではないのかもしれないと、「流転の海」シリーズを読み重ねる中で感じるようになりました。
(以下、あとがきを書き写します)
どこが始まりでどこが終わりなのかわからない長い川の畔を旅していて、疲れ果てて倒れ込んでしまうときがあっても、そこには毒虫もいれば菫も咲いている。そのどちらと出会うかは「運」ではない。「意志」である。
累々たる死と失敗と挫折は、それらを乗り越えるごとに、源が遠ければ遠いほど流れは長いことの証となる。流れのはるか彼方の、目に見えない未来て待つ生が燦然と輝くであろう証である。
私が「流転の海」で書こうとしたのはそれだったのだ。
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人を傷つける覚悟とは、最悪傷つけた人が死ぬ覚悟をもつことだと思う。そんなつもりはなかった、は通じない。不倫は誰も幸せにならない。
人生で自立すること=経済的自立は重要な視点。まずはこの条件が成立することで、ようやく精神的自立に繋がるのだろう。
最終巻が楽しみだ。
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ついに8巻まで読んだ。長かった。あと一冊で終わりかと思うと、とても寂しい。
登場人物の何人かのことは忘れてる。
仕方ない。
でも何十年もかけて書かれた長いものがたりを、ぼくは二年かけて読んでいる。駆け抜けるような速さなのかというとそうでもない。
ぼくは読むのが遅い。
話は、中古車センターを立ち上げるところから、板金屋を売りに出すところ。
案の定というかなんというかお決まりのドラえもんのエンディングのような、裏切りや逃げられたり、しょーもないことが発覚したりするわけだけども。それすらも日常のなかにあってなんかおもろい。
この8巻での房江の心理描写がとても好きだ。
いきるとはなにだろうか。
ただ生きていることではないことは確かだが。。
2024年のあいだに読み終えようかどうしようか。迷う
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とうとう自分が房江と同じ年齢に!
房江は生まれ変わり、強く生きる力を得た。
熊吾と房江が生かされている奇跡に感謝しているのと同様に自分もこのタイミングにこの本に出会えたことに感謝!
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人生において、これ程裏切られた人間はいるだろうか
その度にドン底に落ち、蘇る繰り返し
全8部にわたる
最後の一巻になってしまった
30年をかけて作者が育てた作品を1か月で読んでしまいそうだ
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何とも言えぬ。何をしてるのやら。
時代のせいにして、運のせいにして。
偶然のせいにして。
何に出会うか、何が起こるかは、時代や偶然、周りの環境、出会う人々、自分の特質により大きく変わるが、最終的に何を選ぶのかは自分の意思。
腋の甘さ。
房江回復と自分の本質の出現。落ちていく熊吾。
未だ許してもらえると思っていた熊吾のアホさ加減。
最後のシーンで骨身に沁みたようだが、果たして次の最終巻ではどうなるのか。。
伸仁はどうこの事態を捉えたのか。その内面の動きは読み取れず。
どこに向かうのか、どこに辿り着くのか。今また、混沌に放り出された感覚。
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老いらくの恋ではなかったのか。
一時の気の迷いで家族と距離を置かれてしまう、67歳松坂熊吾。
それはそれで切ないなあ。
仕事も、他人の世話を焼いているうちはいいのだが、自分の商売となるといつも足元をすくわれて左前になってしまう。
愚かだと言えば愚かだ。
毎度同じ過ちを繰り返す。
それが性分だとしても、学習しなさすぎる。
ただ、この時代の男として松坂熊吾が卓越しているのは、家族の危機には必ずその場に立ち会っていることだ。
身体が弱くて何故か怪我しがちな伸仁の、命にかかわるとき。
学校で伸仁が教師に理不尽な目にあわされていた時。
熊吾は頼れる父としてその場に居合わせた。
今回は房江。自らが蒔いた種とはいえ、房江が酔っ払って線路で動けなくなった顚末、城崎で死のうとした結果、自らの力で生きていこうと多幸ホテルで働き帰途に就く姿を、熊吾はしっかりと目を逸らさずに見届けた。
これができない男に限って「いざという時に出ていけばいい」なんてうそぶくけれども、常日頃を見ようとしない人が、一体いつ「いざ」がわかるの?
熊吾は仕事で忙しくしていても、女遊びをしていても、常に家族のことはちゃんと見ていた。
けれど、仕事は逆にいつも抜けてるんだなあ。
「こいつに任せておけばいい」と思うとチェックが甘くなる。
とすると、熊吾にとって一番大切なのはやっぱり家族であって、だとするとこの展開は切ないのぉ。
自業自得だけれど。
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流転の海 第8部。
本書の半ばから話の展開がとても早い。気になって一気に読んでしまった。
松坂熊吾と房江の夫婦それぞれの描写の対比がすごい。
最終の第9部でどういう結びを迎えるか、楽しみ。
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松坂熊吾は転落の人生だ。
またしても部下の裏切りで借金の危機を迎え、愛人の存在が妻にバレてしまう。
子供の伸仁にも遠慮をしてしまうほど。
方や妻の房江は夫の裏切りから自殺未遂をするが、僥倖が重なって生き延びる。
そこからの見事な転身。
対照的な夫婦の人生。
さあ、いよいよ次巻は最終巻だ。
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関西中古車事業連合会を再興し板金塗装会社を東尾に売り渡して大阪中古車センターの商売に専念しようとしたが、東尾の商売の失敗による失踪でまたもや窮地に立たされる熊吾。
さらに森井博美との愛人関係を断ち切れぬまま房子にばれてしまい、自暴自棄になった房子は自殺未遂を図る。
これまで幾多の幸不幸、喜び悲しみが繰り広げられてきたが第八巻にして最悪の展開に。しかしそんな中でも伸仁はしっかり自我を確立したくましく成長し、房江は本来の自分を取り戻す。熊吾は反省しながらも相変わらず自分の生き方を貫く。
いよいよ最終巻を迎える物語。明るい結末を願いたい。
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とうとうここまで来たか、という感覚。第七部までは文庫でそのつど何度か再読を重ねてきたけれど、第八部は未読だった、そして一気に読んでしまった。年月の経つ中でのそれぞれの変化、心情の描き方、生と死の不思議。改めてじんわりと沁み込む小説…あぁ、やはり好きなのだ、流転の海が、熊吾が、どうしようもなく動き続ける人々や物語が。
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後半になると、熊吾の妻房江の動きが物語の進展に大きなファクターとなってくる。
この期に及んでこの展開には、随分驚いた。
極めて哀しい状況下だったけれど吹っ切れた様な房江の姿に、最終巻が待ち遠しい。
Posted by ブクログ
相変わらず2-3日で読んでしまう。そしていつも、男とはどうあるべきか、ということを教えてくれるし思い出させてくれる。早く次を読みたい。最終巻となる第9巻は新刊で出ているけど...文庫版で揃えたシリーズ、また文庫化を待とう...
ほんとに面白い。
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松坂の大将、遂に浮気がバレるの巻。
というか、日曜日なのにちょっと医者へ寄って来るなんて、松坂の大将!それは無いですってw日曜日とは気付かなかったらしいのですが、そんなウソはバレバレでしょーよ。房江(妻)さんも気付くってw
第8部まで読んできて一番納得のいかないシーンです。もーバカバカ。
結果これでこの夫婦は壊れてしまい、房江さんは自殺(未遂)するわで大混乱。
この物語でよく出てくるのが『運』。私も運のみで何とか現在息が出来ている人間ですので、非常に刺さるのがこの『運』『運命』について。松坂の大将は今まで運が良かった。それが7部あたりからこの強運に陰りが出来て、遂にこの8部で浮気バレ。そしてご子息から無視される始末。お疲れ様でした、大将。
そしてラスト9部ではどういう結末を迎えるのでしょうか。これが37年掛けて書かれた作品なんですよね・・・37年って。
とは言え終わって欲しくないんですよ。松坂熊吾の人生を神様の目線で見てきた私にとっては寂しいの一言。納得の行く最後であってほしいですね。
さあ、第9部へ!!!
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P158 熊吾曰く
「また先の心配ばっかりしちょるんじゃろう。心配したら心配したとおりに事が運んでいくぞ」
P373 房江思す
先のことを心配したからといって、その心配が杞憂に終わったりはしない。心配すればするほど、その心配は心配したとおりになっていく。
第九部へ。
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ここにきて夫婦それぞれの運命、生き方がガラッと変わってしまった。
やましいことは隠し通せない。うん、うん、そうだよね。
最終巻、家族の絆は修復されるのか?熊吾が最期をむかえるのか?