あらすじ
十年後も十光年先も、百年後も百光年先も、百万年後も百万光年先も、小さな水晶玉のなかにある。──与えられた謎の言葉を胸に秘め、仁志は洋食店のシェフとして、虎雄は焼き物の目利きとして、紗由里は染色の職人として、それぞれ階段を着実に登り始めた。懸命に生きる若者と彼らを厳しくも優しく導く大人たちの姿を描いて人生の真実を捉えた、涙なくしては読み得ない名作完結編。
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Posted by ブクログ
三十年後を目指して、自分の人生を懸命に作り始める青年。
そんな苗木と、それを支える添え木たちの優しい物語でした。
下巻も素敵な言葉が散りばめられてます。
宮本輝さんの小説、やっぱりいいなぁ。
次は『ドナウの旅人』を再読しよう。
Posted by ブクログ
よかった
内容に感動したというより
文章に心打たれた
上巻より付箋だらけになってびっくり
忘れないうちに書き出そうと思う
私はあることに修行中(⁈)の身
教わり導かれる立場として
教え導く方々の言葉が沁みた
人との出会いが
人生を変える
よい出会いをしたい
Posted by ブクログ
憧れることを諦めた人がこの作品を読むと、胸がちくちくすると思う。少なくとも私はそうだった。
若さとは愚かであることではなく、愚かしいほど純粋であることをわからされた。私は少なくとも、今はそのような歳ではないし、そのような人との出会いもない。主人公をあえてアラフォーの成年を選んだのは、宮本輝本人が苦労した歳であったからだと、作者のあとがきに記されていた。
陰鬱な変わらない日々を変えてくれた一人の老人。
「君の三十年後を見たい」と言われた成年。
その時になったら、あなたはここにはいないのに、と思う成年。それも分かった上で「つべこべ考えずに進め」と言う老人。
いずれ、分かる。
その言葉に期待を膨らませられるか、不安を抱くか、はたまた両方か。読む人によって変わるのはそこだけだし、作者も読者に伝えたいのはそこだと感じた。
今の世の中、何でもかんでも理由づけをしたがる。その上でお互いを尊重し、分かり合えと言う。そんなことが可能なのだろうか。
「余計なことは考えず、何の意味があるのかもどうでもいい。ただひたすらに働け。いずれ分かる。」
この時代にそんなことを言えばパワハラと思われるかもしれないが、結局こじれている人の多くは、この事実を受け入れたくない人だと思う。早く結果が欲しい、早く結論を知りたい。三十代という年齢の人たちが抱えるコンプレックスを一刀両断する作品だったと思う。
人の人生を否定して、自分の生き方を押し付ける老害。そう言えばそれ切りなのだけれど、その目線になった瞬間、あなたは主人公と同じように、純粋に憧れを抱いてしまうかもしれない。
Posted by ブクログ
仕事にどう向き合っていくかを考えさせられた。
とてもいい意味で、3年で1人前という考え方が覆される。自分がどんな大人になっていきたいか、どんな生き方をしていきたいかという、大きなことを問いかけてくれる本。
20代で出会えて本当に良かったな。
人生の分岐点で、必ずまた読み返すだろうな。
Posted by ブクログ
なかなか古臭い文章書くけどよい。#草花たちの静かな誓い に続いて素晴らしかったです。
自分も30年後の自分を楽しみにできるよう毎日を精進していきたいです。
Posted by ブクログ
無理だと思える難題が、次々と仁志に任せられるようになる。しかし、仁志は段々と師匠・佐伯からの薫陶や一つ一つの言葉の意味を自分で考えて、成長していく。師匠に応えたい、師匠の夢を実現したい、その想いで不可能を可能にしていく姿は、師弟関係の美しさを見事に表していたように思えた。
現代では、さとり世代と言われてるように、ググれば答えに出会える。何なら人生の悩みのアドバイスも、無責任にネットに書いてある時代となった。その一方で、仁志や虎雄のように、師匠からの一見意味のわからない言葉について、真剣に考えて、ああでもない、こうでもないと愚直に努力する人はどれくらいいるのだろうか。自分はそのような人になりたいと思わされた大切な本となった。
Posted by ブクログ
男は老人から起業したい人向けの融資事業と融資事業から店をオープンした女性から伝説のソースを引き継ぐことになる。
男は老人たちを通して、自分は何をすべきかと人生の覚悟を磨いていく。
人間としてどうありたいか。ちょっと参考になる本。
Posted by ブクログ
面白かった。
読み終わった後、すがすがしい風を感じるような小説だった。
うまくいかないことを、自分には向かないといって逃げ出すことは簡単。ただ、そのあとには、たぶん何も残らない。
躓いても、ゆっくりでも
一生懸命に、ひたすらに、楽をせずに働き続けた先に
本当に人生が始まるのかも。
60歳までをどう生きるかで、その後の人生も決まってくるのかもしれない。
もっと楽な道を選ぼうとしている30代の弱い自分に、目の前だけを見て仕事を選ぶなと、言われている気がした。
失敗してもいいんだ。
失敗し続けて、最後にどうにかカタチにできるまで続ければいいんだ。
まだやっと階段の前に立ったばかりなのかもしれない。
Posted by ブクログ
上巻に続き下巻も良かった。仁志の生き方って羨ましいと思う。実際の親には勘当されたが、平蔵と出会ってどんどん自分の良い面を引き出せていると思う。生きる事につまずいた時に読み返す素晴らしい物語だ。宮本輝、素晴らしい。
Posted by ブクログ
下巻は一気に読み上げた。
主人公の成長が心地よい。
周りの人にとても気を使う青年に成長している。
そのような変化が仕事の変化につながっているのだ。
最後の終わり方は、いつもの宮本輝である。
Posted by ブクログ
出会った人が良かったのか、巡り合わせが良かったのか。師を信じてひたむきに努力する様や師のために尽くして行く様は清々しい。そんな一生懸命さは物事をプラス方向に向かわせるんだ。
Posted by ブクログ
美しい小説である。悪人や心の汚い人間は登場しない。その分、登場人物の一人一人が自らの人生をしっかりと行きていこうとする懸命さがある。三十年を成し遂げるための期間とするならば、僕だってまだまだはじまったばかりだ。スタートラインにたてているかどうかも怪しい。
現代人は実年齢の7割くらいがちょうどいいと言われている。70代でさせ50歳手前なのだ。今の自分の悩みや苦しみは、まだまだ先が長い上での一つの出来事でしかない。そう、だから明日のために、一年後のために、十年後、三十年後を目指して、日々を真剣に行きていかなければならないのだ。
Posted by ブクログ
はじめは無職で借金あって金貸しのじいさんにこきつかわれるどうしようもない主人公かと思ってた。
読み進めるうちに割とまともやんって。
それは佐伯さんが原石を磨いて、輝きはじめたからなのか。短期間でだいぶ変わったが、30年後にはどうなるか?なんでも30年がむしゃらにやってみんことにはって教え。佐伯さんに導かれ、色んな人の影響うけて、いい感じに変わりはじめた若者の話だった。
Posted by ブクログ
まだ何者にもなれない若い苗木達
それを支える為に添え木になる人生の先輩達
この物語には何度も「三十年」と言う言葉が出てくる
「十年でやっと階段の前に立てるんだ。二十年でその階段の三分の一のところまでのぼれる。三十年で階段をのぼり切る。そして、いいか、のぼり切ったところから、お前の人生の本当の勝負が始まるんだ。その本当の勝負のための、これからの三十年間なんだ。そのことを忘れるんじゃないぞ」
何事にもせっかちだと言われ、すぐに答えを求める今の若者にはなかなか理解できない言葉かもしれないなぁ…
今日は10月8日
実は三十数年目の結婚記念日です♡
長いような短かったような…
支える添え木があったのか無かったのか笑
もちろんプレゼントなんてない!
結婚三十数年でのぼり切った階段の上で叫びたい!
わたしこそ家族の添え木だ〜〜!!!!
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宮本作品に10年以上ぶりに触れた
10年前の自分はなにをやっていただろう
20年後の自分は?
色々考えることが多い作品だった
今を精一杯生きる
自分は精一杯の何%かな
Posted by ブクログ
坪木と佐伯の関係性の変化が良かった。一方で説教くさく古臭いと感じてしまうのは、私が未熟なせいだろうか。数年後にまた読み返したいと思う本だった。
Posted by ブクログ
不器用でも真面目で一途で、誠実な主人公仁志は佐伯にその人間性を認められる。
物語の中では、佐伯の理不尽な要求にも葛藤しながら丁寧に応えていく。それは、仁志が佐伯に対して、どこかで憧れを抱いていたからだと思う。
佐伯と過ごす時間が増えるにつれて、仁志の魅力が引き出され、磨かれていくように感じた。
読んでよかった。
Posted by ブクログ
愚直なまでに努力する事、人に感謝する事、人を信じられる事。幸せだったと言える人生を送りたい。若いうちは、素直に多くを吸収できる構えでいれば30年後には随分違った姿になろう。2014.2.17
Posted by ブクログ
物語の中に様々な一般人の人生を描く宮本文学。
「自分で考えてつかんだもの自分で体験して学んだものそれ以外は現場では役に立たない。」
「場数を踏め、動け、口を動かすのは体を動かしてからにしろ、体を動かせ、そうすれば、自然に体で覚えていく、体で覚えたものは何にでも応用が利く」
Posted by ブクログ
『懸命に生きる若者と彼らを厳しくも優しく導く大人たちの姿』と説明があるが、そんな大げさな説明文はいらないが、日々の生活で大切なことを教えてくれる作品。
30年という時間が持つ意味を、今の自分の歳からしか見ていなかったけれど、79歳からの30年、50歳からの30年、確かに持つ意味がぐっと変わると気づいた。
Posted by ブクログ
大切なことがたくさん書いてある…と思ったけれど、実はそうたくさんではないかもしれない。メッセージは、基本・基礎を大切に、ということじゃないかな。先ばかりを見がちだけれど、足元を見て、土台をしっかり踏み固めなければいけないな、と思いました。
Posted by ブクログ
人の想いが継承されていく物語のように感じました。
スピードや成果や効率重視の現代に生きる中で、衰退していきつつあるものが大切に書かれているように思いました。
Posted by ブクログ
20代の頃に宮本輝さんの作品を読み漁っていた自分を懐かしく思う。
数十年ぶりにこの作家さんの物語を読んで、時々無性に恥ずかしい気分になるのは何でだろう?
自分は、このような素敵な出会いや幸運な巡り合わせを信じられない人間に成長してしまった気がする。
自分が腹黒い人間になってしまったような居心地の悪さ。
作品自体はすばらしいのに、もやもやしてしまった。
Posted by ブクログ
元々、宮本輝さんの『星々の悲しみ』と『螢川・泥の河』が好きで次また何か作品読みたいなと思っていたけど、なんだか冴えないはずの主人公なのに、なんだかんだ今までの経験して来たことが凄く生きて来たり、交友関係のお陰でパパッと手際良く指示をこなしたり、なんだかスペック高くないか?後付け感ないか?と思う所は多々ありましたが、所々にじーんと来るやり取りがあって泣けます。結果やっぱり宮本さん好きだなーと思いました。
Posted by ブクログ
プロになるには最低30年働いて働き抜くことが必要。
人はまわりの人間に支えられて一人前になる。
宇宙の永遠も人の人生も同じ努力を続ける舞台の中。
このほんから私なりに学んだ教訓。
有村富恵への回収の結末がなかったが、久々の宮本輝を楽しんだ。