【感想・ネタバレ】私たちが好きだったことのレビュー

あらすじ

工業デザイナーを目ざす私、昆虫に魅入られた写真家のロバ、不安神経症を乗り越え、医者を志す愛子、美容師として活躍する曜子。偶然一つのマンションで暮らすことになった四人は、共に夢を語り、励ましあい、二組の愛が生まれる。しかし、互いの幸せを願う優しい心根が苦しさの種をまき、エゴを捨てて得た究極の愛が貌を変えていく……。無償の青春を描く長編小説。

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Posted by ブクログ

昔、短い間だったけど
強烈に同じ時間を過ごした人達を思い出した
そういう出会いが
今の自分を作ってるんだって思い出した

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2025年04月08日

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ネタバレ

宮本輝の小説はすべてがハッピーに終わらず、現実というのは山あれば谷もあるというのを暗に示しているような話が多いがこれもそう。

結果的に見れば、主人公は大学に行かせる手助けをして、医者になれる道筋を作った挙げ句違う男に乗り換えられて恋は終わる悲しいストーリー。
しかし女がひどいかといえば、このままだと破産する男から金の心配せず大学生活を送ることができる男に乗り換え、結婚後も安泰なわけで誠に合理的。
でもこれじゃあ主人公はバッドエンドじゃないかと思いそうだが、本当の「愛」ってやつを受け取った四人での生活は、今後彼が得ようと思っても得られない経験であるだろうし、無駄ではないんじゃなかろうか。いやそう信じたい・・・。

なんともほろ苦い気分になる、大人の小説。

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2022年02月12日

Posted by ブクログ

ネタバレ

感想というか好きな部分。

「個人のプライバシーに唾吐いて、言いたい放題、書きたい放題。それを読むやつも、なるほどそうなのかと、いとも簡単に信じ込む。どいつもこいつも、口舌の徒になる。俺は、そんなふうになりたくないんだ。逢ったこともなければ、話をしたこともない人を、誉めたり、けなしたりするのは犯罪だよ。

コオロギもカブトムシも、鮭も鯨も、雀も鷲も、みんな子どもを産む。どうして人間だけ子供を産むことに不自由になってしまったのだろう。命、ばんざいだ。ばんざい、ばんざい、おめでとう。

時間も偶然も金では買えない。でも、命も金では買えない。金で買えないもののために、金が必要なんだ。金ってやつは、金で買えないもののために真価を発揮する。

物の秩序は、その膨大な数が偶然の疫病と季節の無慈悲からではなく、産むと同じように、激しく破壊する避けがたい運命のために殺され滅ぶことを求めているのか、私にはわからない。

俺は、騙してくれって言ってんじゃないよ。嘘をつくってことと、本当のことを口にしないってこととは違うんだ。自分の胸に収めて、黙ってられるかどうかが、人間としておとなかどうかってことだろう?

他人によって傷つけられるものは自意識だけだ」

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2019年05月03日

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レビュー評価に惑わされてはいけない。今まで読んだ宮本輝作品の中で一番沁みた。あぁ、なんでそうなってしまうんだろう。

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2017年07月16日

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主人公たちに対する作者の優しい目線を感じます。ご自身の患われた病気の描写は経験したこと故の説得力があります。ある作家が、自分の作品の受験問題に取り組んで、点数が低かったという逸話は、宮本さんの経験だったのではないかと記憶しています。面白い作品でした。

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2016年01月07日

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複数の友人にいいよいいよと薦められすも、今まで2回読み始めたが、何故か読みきれずふと三度手に取ってみた、3/4過ぎたとことから、引きづり混まれていき一気に読んだ。なんだこれは、という衝撃。彼女がいたり、別れたばかりだったら、3日は酒ばかりのんで会社に行かないだろうなと思うくらい。
自分が主人公だったらどうすればよいのだと思うが、数時間後結局主人公の行動が正しいのだなと思う。小さな自分を再認識することにもなった。

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2012年08月20日

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1980年を舞台にした作品のため、登場人物の言葉や作中における表現内容に古さを感じるところがあるが、これも今までの宮本作品と同様に良い味を出している。
主人公を含めた同居人4人全員がどうしようもなくお人好しで、自分よりも他人を優先する性格の持ち主であるがゆえに、自分自身との葛藤、同居人との衝突を繰り返す。しかし、これらの出来事を通して、若かった4人が一回りも二回りも大人として成長する姿は『青が散る』に通じるところがある。
お人好しすぎるのもどうかなと思うが、そういう人間なのだと諦念にも似た感情でもって作品を読んでいた。主人公らに同情したり、共感したりする場面はほとんどなかったと感じる。
最後に、主人公の与志によるこの作品を象徴する台詞があるので、これを引用する。
「俺たち、病気なんだよ。その人のためになるなら、何でも許してしまうっていう病気なんだよ。愛子だって、おんなじ病気さ。人間にとって何が幸福なのかは、長い目で見なきゃわからないよ。俺は、愛子が自分の夢を叶えるために、何か役に立ちたいんだ。」

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2024年09月17日

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ひょんなことから男女4人が同居することになり、紆余曲折の末、解散する。他人のために手助けするのが好きな4人。時には憤ることはあっても、自ら気持ちを鎮静化させる。別れても絆は残る。自立し一皮むけた中年になっていく。2023.12.21

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2023年12月21日

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ネタバレ

流転の海シリーズを読んだあとなので、どうにもリアリティのなさが気になる。
いきなり酔った勢いで初対面の女性たちと同居を決めるかね。
新築のマンションに。
さっさと荷物を搬入するなんて、怪しさしかない。

そして、借金をしてまで行う善行というのは、どこか違うと思う。
そりゃあ医者になれればいいだろうけれど、本人は無職で勉強だけして、生活費や学費のすべてを同居の3人が借金してまかなうというのは、いかにも無理。
結局いろいろ破綻するし。

親の生命保険を解約してまでお金を要してもらった挙句、彼女からお金を返してもらおうとは思わないって、バカなの?
彼女だって大人なんだから、借りた金はきちんと返してこそ、次に進めるってもんじゃないの?

それから、好きな人ができた後も、結婚するまではベッドを共にする。
それが誠意って、誰に対しても誠実じゃないじゃん。

10代の若いカップルの行動は、若いからなあ…と納得もできるけど、主たる4人の行動が最初から最後まで納得できませんでした。

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2021年10月27日

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ネタバレ

文章がライトで非常に読みやすかった。
自分と向き合う時間、作ってみようかな。
恋愛タイプは愛子だから感情移入、してしまった〜〜
別れるあたりは涙が滲んでた。
公衆電話あたりで号泣。
2人がくっついてハッピーエンドもちょっと期待
してたけど、切なさの余韻もまた良し。

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2021年09月22日

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父の本棚に置いてあったので手に取りました。
読後一年ほど時間が経ってからの感想ですが、未だにこの作品の印象が強く頭の中に残っています。
好き嫌いの否応無く記憶に残ってしまう作品だと感じました。
正直、話の繋がり方と登場人物の人間性が気にくわない部分があります。(物語の起承転結、スピード感、文章の構成はとてもスッキリしていて読みやすいです。)
しかし、それを押しのけてでも読ませて、記憶に残す力のある作品だと感じました。
人と人の間で愛がどのように生まれ作用するか。
また、そもそも愛とはどういったものなのか、という事について考えさせられました。

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2019年06月11日

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久しぶりに読んだ宮本輝。良かったです。
柔らかく、自然な文体で、物語に引き込んでいきます。読み終えてしばらくすれば”そんな馬鹿な”と思う展開なのですが、読んでる最中には何の疑念も無く、物語の中に没頭できます。
やや軽め、テレビドラマにしたらちょうど合いそうな雰囲気は、宮本作品の特徴でしょう。この作品も映画化されたようです(流行らなかったみたいですが)。

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2017年10月30日

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結末には好き嫌い、賛否両論あると思いますが、私は好きな終わり方でした。それぞれの道を歩む。一人一人が、それぞれの人生の選択をする。心がすこし痛むけれど、さわやかで、若者らしい選択をしたな、という、気持ちの良い読後感でした。

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2014年05月11日

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「私たちって、人のために苦労するのが好きなのね」

曜子の不倫相手のために、不良青年の更生のために、愛子の大学受験と学費のために、金を用立てる与志くん。だけど、愛子は、学費を払い続けられない与志くんのもとを去り、金持ちの医者と結婚する。

何度読んでも、与志くんの人の良さと愛子の薄情さに腹が立つんだよね。

私は、何の見返りもなく、他人にのためにここまでできるかな?

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2015年04月30日

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丁度私の母親と同じ世代で、30年近く前の東京が舞台なのですが、とても切ない。主人公たちが30歳前後で定職があるのに、「貯金が100万円もない」と言う会話に何だか安心しましたね。全然深刻に考えていないところが。「何とかやっていける」と安心できる時代だったのだなと思い羨ましくなりました。

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2013年04月13日

Posted by ブクログ

共同生活をスタートさせた男女四人が互いを思いやり傷つけあい最終的に深く愛するという個人的に好みの内容。せつない、けれども暖かい作品。
優しさとは何なのか、愛するとは何なのかを考えさせられるが、私自身は「子供心なんかはとうに萎えきっているのに、いつまでたっても大人になれない」口なので、登場人物のような考えはできないかなって感じるのが正直なところ。
また会話に出てくる台詞でいいなぁと思う言葉が多く、心に残る。

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2013年01月04日

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男2人、女2人の共同生活の話。俺はたぶんヨシ・タイプだと思うので、ロバみたいにゆったり大きく、人に接することのできる人に憧れるし、尊敬してしまう。四人共、魅力的でいい人だと思うけど、それでも、やっぱり女は怖いな…。と思った。ロバがハッピーエンドだったのが救いかな…。良い物語。

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2012年12月06日

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 多分勧められない限り読むことはなかっただろう作者
なんと言うか、やるせなくなる
トレンディードラマかよ

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2012年08月17日

Posted by ブクログ

タイトルに惹かれて読みました


2人の男女がマンションの1室で同居するっていう設定が凄く好きです。
なんとなく、憧れません?笑

きっと4人の間に何か起こるんだろうなぁ…と思っていましたが、やっぱり色々ありましたね。


自分を犠牲にしてまで他人を助けようとする4人。
一見お人良しに見えるけれど、なんとなく虚しさを感じる。

与志くんと愛子、ロバと曜子の関係も、お互い愛し合っているようで実は不安定。


結末としてはあれでよかったのかなぁ?
と煮え切らないものがありますが、最後の1文でしっくりきました。


寂しいような虚しいような、だけど楽しくなかったと言ったら嘘になる4人の同居生活。

与志くんが感じている《気配》というものを、読者の私も共有できた気がします。



レビューで、心の病をさりげなく表現していると書いている方がいらっしゃいましたが、まさしくその通りだと思います。
輝さんの経験が作品に影響してるのかな?




初めは輝さんっぽくない作品だなぁと思っていましたが、読み終えた後の余韻は、やっぱり宮本輝さんでした。


次は、優駿かドナウの旅人を読みたい!!!

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2012年05月19日

Posted by ブクログ

男女が同居し、恋愛に発展したり
困ってる人をみんなで助けたり
内容的には面白かったけど
ハッピーエンドにはならなかったのが
ちょっとね

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2023年08月13日

Posted by ブクログ

人生のある時期、一緒に過ごした男女4人。
自分たちを、その人のためになるなら、何でも許してしまう病気だと思う若い男女。
彼らのそのひとときの出来事を淡々と描く。
宮本輝というよりは、村上春樹のテイストを感じさせる小説だった。
結局何が言いたかったのかが分からないのも村上春樹的。

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2022年01月09日

Posted by ブクログ

常に昔の思い出の中にいるような不思議な気分になる本でした。ちょっとありえないでしょって思える点も、若い頃はには近い事があったような、その感覚を今は忘れてるだけかもと思わされた。

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2020年08月03日

Posted by ブクログ

物語のスピードがはやい。間に挟む文がないからであろう。
非現実的で、物語として楽しめる。
すごくひどいこと言ってるのに、言われた方はあまり苦に感じていなかったりする。自分の感覚と、著者の感覚が合わないところがあった。
テンポよく読める。内容は面白いと思う。

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2020年02月23日

Posted by ブクログ

不思議な関係。
語弊を恐れずに言えば、不安神経症の人の相手は大変だと思う。
なんとも胸が苦しくなる展開。
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工業デザイナーを目ざす私、昆虫に魅入られた写真家のロバ、不安神経症を乗り越え、医者を志す愛子、美容師として活躍する曜子。偶然一つのマンションで暮らすことになった四人は、共に夢を語り、励ましあい、二組の愛が生まれる。しかし、互いの幸せを願う優しい心根が苦しさの種をまき、エゴを捨てて得た究極の愛が貌を変えていく……。無償の青春を描く長編小説。

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2018年08月20日

Posted by ブクログ

ひょんな成り行きで共同生活を送る事になった。男女4人の物語。
4人とも他の人の為に四苦八苦してばかりいる、お人好しなのですが、純粋に人がいいばかりでなく、それぞれクズい部分も持っているんですよね。
そんな彼らに、次から次へと色んな事が起こり、それによって傷つけ合ったり、絆を深めたりして過ごしてゆく「あー、人間ドラマだなァ・・。」という感じの小説でした。

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2018年08月01日

Posted by ブクログ

穏やかな文体とは裏腹に物語の展開が非常に早いのが印象的でした。この問題が解決したら次の問題がすぐに起きてという感じで、その中で与志くんを中心とした4人が成長していきます。一つ一つが軽いのが心地よい印象を与えてくれるのかもしれないですが、もう少し余韻に浸る時間もほしいかなと思いました。

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2016年08月02日

Posted by ブクログ

アラサーの男女4人が一緒に暮らすことになる、という設定はアメドラみたいで面白かった。でも、全員がみんなお人好し過ぎなところが、やっぱり日本的。いや、日本人でもなかなかここまでお人好しではいられないと思う。夢を叶えること、仲間の将来、浮気、考えさせられることは色々。私には、主人公たちのような決断はとてもじゃないけどできないと思いました。

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2013年11月03日

Posted by ブクログ

棚からボタモチ的小説。フィクション。

「俺たち病気なんだよ。
その人のためになるなら、
何でも許してしまうっていう病気なんだよ。・・
俺たち、人の幸福のために
何か手助けすることが好きなんだよ。
俺たちっていう人間がどうしょうもなく、
そういう風にできているんだ。」

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2013年10月01日

Posted by ブクログ

男2人・女2人それぞれが、ある日突然酒に酔った勢いで一緒に暮らし始め、いずれ愛が育まれ、そしてまた別れと新たな生活へと旅立って行く・・・無償の青春の遍歴が印象的だった。

決してエゴではない、彼と彼女の生き方に好感が持てました。

本書は、映画化されたそうですね、知りませんでした。

 いい作品でしたよ!

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2013年05月04日

Posted by ブクログ

10数年ぶりに再読。久々の再読なのに感想は一緒だった。

宮本輝の作品の中では軽くて異色な感じ。昔のトレンディードラマみたい。
主人公の心のあり方が印象的で、それが作品の魅力だった。
やっぱり愛子がちっとも好きになれなかった。

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2012年06月07日

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