【感想・ネタバレ】春の夢のレビュー

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感情タグBEST3

Posted by ブクログ 2019年10月27日

忍耐の大切さを教えてくれる。また読みたい。青春のエネルギーと不安定感。ふとしたときにあの世に一歩踏み出してしまうかもしれないような危うさと、その中でも何がなんでも生きてやろうという熱情と。

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Posted by ブクログ 2017年06月02日

父が借金の整理を付けずに死んでしまった為に、主人公の哲之とその母は借金取りから逃れる為別々に暮らすことに。
哲之は田舎のアパートに落ち着くのだが、ひょんな事から蜥蜴と共に暮らすことになる。

彼女陽子への思い
バイト先でのホテルでのゴタゴタ
母親の暮らしを心配したり
借金取りが家に来るのではという恐...続きを読む

そんな哲之の一年間の暮らしが描かれている。

時代設定が昭和の末期ですので公衆電話を知らない世代に読んで欲しい。

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Posted by ブクログ 2016年03月28日

私と主人公の哲之を重ね合わせながら読みました。30年以上前に、父の事業が行き詰まり、夜逃げ。一家離散しました。当時、私は26歳、とりあえず友人のアパートに転がり込み、武庫之荘の4畳半一間、共同トイレ共同風呂のアパートに住んでました。日々、債権者が来ることに怯えながら過ごしていました。小説の中に出てく...続きを読むる、梅田、住道、もちろん武庫之荘全てに馴染みがあり、のめり込んで読みました。ただし、当時の私には陽子はいませんでしたが。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2015年02月16日

若くして読んだ時には、登場人物や話の筋は大好きだけど
どうしてもトカゲに違和感を感じてました
今あらためて読み直すと、素直にトカゲのエピソードも読めて、そこからのメッセージも受け取れます
生きる姿、滑稽に見えてもつらくてもやっぱり素晴らしいと思わせてくれる作品です

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Posted by ブクログ 2023年05月20日

色々な問題を抱えた大学生が様々なことち苦悩しながら送る日々が描かれる。
蜥蜴の存在が哲之の考え方や行動に変化を与えているように感じる。

時代状況などを知らない面もあったものの、面白く読めた。あと陽子みたいな彼女ほしい。

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Posted by ブクログ 2023年03月25日

生きていく上でままならないこと、逃れられないことって誰にでもあって、それがたとえすごく小さなことだったとしてもそれによって傷ついたり深く落ち込んだり。
そういうときに答えが出ないことは分かっているのに死というものについて考えることはよくあるなぁと思った。
明日はもう来ないって覚悟でなきゃ生きれないほ...続きを読むどに切羽詰まっていても、明日は必ず来るし、どんなに暗くても必ず光はあるはず。
生と死が隣り合わせであるように光と影も隣り合わせにあることを実感させられた。
あと読めば読むほどキンちゃんー!愛おしいー!

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Posted by ブクログ 2023年02月26日

釘で打ち付けられても生きてるトカゲと過ごした大学生の1年の話というあらすじに惹かれて読んでみました。
ある時代のただの青春小説ではなく、生きることの意味のようなものを主人公の生き様から学べた哲学的な1冊でした。

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Posted by ブクログ 2022年11月13日

なんか色々とモンモンし続ける青年の話、と思いきやのトカゲである。
いやトカゲを飼うというのもなかなかないけど、釘で柱に打ち付けてっていうのはかなりアツいのではないか。今どきこの設定では、大家がグリーンピースあたりに通報して活動家が大量に押し寄せて人生が終わること間違いなし。ネットにも情報がばらまかれ...続きを読む、借金取りの比ではない苦労が待っているわけで。
なもんだからこの設定にしつつも妙な愛情を注ぐ主人公のある種の狂気もこの時代だから許されて、なんかどーしよーもねーなーこの若者は、というありきたりな展開に実に味が出ているではないか。

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Posted by ブクログ 2022年11月04日

冒頭から食らいついてしまった。
当に社会人1年目、 大東市
野崎のアパートに私も居たせいか哲之に自分を重ねる所があった。
懸命に生きる哲之親子と陽子 幸せであれと祈りつつ ページを繰る。
物悲しさと 刹那が同居し、あっと言う間に読み終えた。
蜥蜴のキンチャンが良い味を添えていた。

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Posted by ブクログ 2022年09月11日

 読書力養成読書、11冊目。

 なんだろう、この、読むにつれて少しずつ少しずつ、じわじわと心に染み込んでくる、コクとうまみ。

 始めはあまり好みじゃないかもと思いながら読んでいたのが、いつの間にか抜け出せなくなっていて、気がつけば懸命に生きる主人公に喝采を送っていた……。こういうのって、もしかし...続きを読むたら、これこそが、優れた文学作品というものなのではないかと思いました。

 主人公の井領哲之は大学留年中。死んだ父が残した借金のために、母と別れて大阪の大東市にあるアパートに住んでいます。この物語は、このアパートで過ごした哲之の1年間を描いています。

 哲之は、やくざの取り立てに怯えながら、恋人陽子との幸せなひとときに安らぎを感じ、多くの人たちとの交流により人生経験を積んでいきます。アルバイト先の、〈梅田にある大きなホテル〉で出会った上司やボーイ・キャプテンの磯貝晃一、ドイツ人のラング夫妻と沢村千代乃、さらには高校時代からの友人中沢雅見など。

 この作品、想像以上に濃く、深かった。そしてけっこうスピリチュアル。要所要所でそう感じさせるのですが、その最たる要素は、部屋の柱に釘づけにされても生きている蜥蜴キンちゃんでしょう。この子が哲之や読者にいろいろなことを考えさせ、本書のタイトルへとつながっていきます。

 人間てこんなにも心が揺らぐものなんだなぁと思うと同時に、自分も確かにこういうときあるなぁと気づきます。でもこれこそが生きている証拠。喜怒哀楽を味わい尽くしてこその人生、人間こうでなくちゃと、哲之を見ている神様が「いいね!」と満足げに笑っているような気がしました。〈キンちゃんも俺も、どいつもこいつも、自分の身の中に地獄と浄土を持ってるんや。そのぎりぎりの紙一重の境界線を、あっちへ踏み外したり、こっちへ踏み外したりして生きてるんや〉

 この小説は、1980年代に書かれ出版されたものなので、哲之がバイト先のホテルで宿泊客からチップとして500円札をもらったり、誰かと連絡を取りたいときは公衆電話を探したりします。でもこの2点以外ではそんなに時代の古さは感じませんでした。

 宮本輝さんの作品を読むのは、数十年前に『ドナウの旅人』を読んで以来だったのですが、今回、改めてもっと他の作品もじっくり読んでみたくなりました。『読書力』の中で目にしなければ、本書は読んでいなかったかもしれません。この出会いに感謝、読んでよかった。

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Posted by ブクログ 2022年08月08日

詳しく当時の時代背景を知るわけではないが、自分が生きたわけではないセピア色の日本が書かれているようで、素敵な空気感の作品だった

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Posted by ブクログ 2021年11月10日

恥ずかしながら、私は社会人になるまで生活で苦労することは一度もなかった。
哲之の母が、幸せだと思いながら眠りたいと願う場面で思い出すが、私は実家で両親家族に守られて幸せだと感じて眠る毎日を送っていた。


私はたった4年間だが、親元を離れ海外で働き、守ってくれる者などいない生活を送った。
住んでいた...続きを読む家は天井がぼろぼろと剥がれてヒビが入り穴が開き、湯船はなくトイレとシャワーが一緒になった浴室があり、お湯が出ないことも多々あり真冬も水を浴びていたこともあった。
ベッドも古く中の骨が折れており、寝心地がいいとは言えない。南国だったが冷房は古過ぎて効かず、電気代が高いため稼働は1時間のみ。職場は違法労働が当たり前。毎日7:15-17:30が定時で休憩なしの肉体労働。残業はほぼ毎日。22時退勤の日もあった。

ぬくぬく育ってきたお嬢様は、そんな生活が過酷であった。意気揚々と日本を出たにも関わらず尻尾を巻いて帰って来たとは思われたくない、自分で選んだ道に後悔したくないと意地を張り、日本の友人には苦労を隠して成果だけを報告していた。

日本に帰国してからまた実家のベッドに入って毎晩眠っている。
最初は、こんなにも楽をしていいのか幸せを感じてバチが当たらないかと恐怖を感じ、眠れない日々を送った。
しかし今はどうだろう。また幸せだと感じながら眠っている。慣れとは恐ろしい。

親に感謝するのと同時に、家族は人生で一度も苦労をした事がないと気付き、血が繋がり一生味方でいてくれると分かっている人たちである家族であっても、私の考えや経験を同じように知ることはできない。
気付いた時には孤独感があった。


ラング夫婦が息子に犯したこと、息子からの復讐。
陽子の父が哲之に注ぐ偏見の眼差し。
哲之も陽子をいつか束縛してしまうのではないかと自らを疑う場面。
どれも私の人生で感じたことのある感情や環境であった。
誰しも生死を共にして生き、「欲」が束縛を生み、人を幸福にも不幸にもする。それを知っている人に、この本は刺さる。

哲之が幸せになろうと力強く生きていく姿と、キンちゃんが釘打ちにされても生きようとする姿は、そんな人に生きるエネルギーを与えてくれただろう。

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Posted by ブクログ 2021年10月09日

主人公が同じ大学生で「道頓堀川」にも雰囲気が似ているが、安アパートの柱に打ちつけられた蜥蜴を通じて、より深く「生と死」を掘り下げている気がする。
全体を通して抑えられたトーンで物語は淡々と進行するが、悩みを抱えながらも希望の未来に向かって生きていく主人公の若さが羨ましい。

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Posted by ブクログ 2020年09月20日

こういう小説は読後感が気持ち良い。
青春時代の屈折と解放、自分が同年輩だった時の事を思い出して重ねてみました。
主人公哲之の恋人、陽子が居なかったら暗い幕切れになっていたんだろうと想像します。

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Posted by ブクログ 2020年09月05日

内臓を貫かれたまま柱に釘づけにされ、一年間生き続ける蜥蜴と、父親の借金を背負った苦学生がシンクロする話。
身動きと取れない蜥蜴と哲之がゆっくりと重なっていくのが新鮮で自然に引き込まれた。

それにしても、彼女の陽子が素直で一途でかわいい。

哲之の母の言葉に、実家の母の顔が浮かんだ。
「夜、寝るとき...続きを読む、ああ、しあわせ、と思いながら蒲団に入れるようになりたいなァ…」

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Posted by ブクログ 2020年05月10日

読み進めていくうちにとても引き込まれる。また哲之という人物に対しても、最初ろくでもない人間やんという感情からだんだん人間味のある愛すべき人間だなぁと変わっていく事に気づく。とても良い作品だと思う。ハッピーな終わり方で良かった。

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Posted by ブクログ 2020年05月07日

この面白さを表現するいい言葉が見つからないけど、普通な人の普通な日常の中の普通な感情がすんなり深く入ってくる感じがいい。
2010/7/21

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Posted by ブクログ 2018年12月11日

釘で刺されてしまった蜥蜴は、哲之自身だったのではないだろうか。
身動きが取れなくなった蜥蜴が、哲之の黒い青春の象徴だったのだろう。
そして、生きていく希望でもあったのかもしれない。
青春とは、春の夢のように短い幻のようなものなのか。

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Posted by ブクログ 2013年08月29日

亡き父の借財を抱えた大学生「井領哲之」。大阪にあるホテルのアルバイトに勤しむ彼の部屋には、間違って釘で柱に打ちつけたまま生きている蜥蜴「キンちゃん」がいる。可憐な恋人とともに人生を真摯に生きようとする哲之の憂鬱や苦悩を描く。蜥蜴の「キンちゃん」が生と死、束縛され身動きがとれないまま生きる姿として観念...続きを読む的に描かれている。

「勇気と希望と忍耐」昭和には普通に使われていた言葉が今の時代には気恥ずかしい言葉になりつつある。小説家も今の時代ならば時代物で描かざるを得ないのかも。

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Posted by ブクログ 2012年03月08日

「待つ」という時間が、若者たちの心を鍛えていた時代を、私はなにかしらとてもありがたいものとして思い出している」  (あとがきより)

なんだか色々と衝撃的な本でした。タイトルと表紙的に、もっと穏やかなものを想像していたんですが、こんなに人間の内からエネルギーが溢れている小説は久し振り。「幸せになった...続きを読むる」という、憂鬱をエネルギーとした野心・・・暑苦しいという領域を通りこしてしまって、燦然と輝いている。

これは「生きて」いるのではない、「棲息」しているに過ぎないのだ-親の残した借金を抱え、鬱屈とした生活を送る主人公。どんなときも彼を傍らで支えてくれる完璧な恋人の存在に束の間の幸福を感じ、きっと共に幸せになってやると思いつつも、常に不安はつきまとう。
あやまって部屋の壁に釘で打ち付けてしまった蜥蜴の「キン」が内臓を貫かれてなお長々と生き続ける姿に、自分の状況を投影しながら日々戦い生きる。絶望してしまいそうだ、けれど幸せになりたい。抜け出せるのか、抜け出さなければいけないのだ。
闇から光を目指す若者の物語。

耐えること、勇気を持つこと、希望を持つこと-苦痛を伴う日々でも、これら三つを続けることの壮絶さよ。汗臭く、泥臭く、憂鬱だけれど、輝かしい。
護りたいもの、が、絶望の淵にいる男をなお闘わせるんだなぁ。生かすんだなぁ。

ヒロインの陽子は、女の私から見るとずるいぐらい可愛い。ずるいぐらい。三回ぐらい言おうか、これは浅倉南とは違った方向のずるいほどのかわいさ。
男の理想、やろなぁ。

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Posted by ブクログ 2011年01月14日

最初は読み進めるのがなかなかきつかった。
しかし、10ページも読めば、淡々と、沸々と、低い音で、青い炎がみえるよな、恐ろしく抽象的だが、なんかそんな感じの魅力にやられる。

くらい、つらい、だけどなんだか強くて、単純にいえば、かっこいい。


蜥蜴のキンに対する気持ちも何だか、わかってくる。
やっぱ...続きを読むり宮本輝ってうまいよなー。
小説家だよなー。
と思う。

単純じゃない、奇妙な状況が、よりうまく心情を伝える。
良い道具になる。

あー小説家ってすげぇ。

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Posted by ブクログ 2022年02月27日

おばあさんの死に顔の描写は個人的にインパクトがあった。”生き様は死に顔に出る”いい顔で死ねる生き方ができてるか?自問自答したい。
決して明るい物語ではなく、絶望やいくつかの葛藤がありながらも、蜥蜴のキンちゃんに自身を投影した主人公が生きることに向き合い前に進んでいく様子は、”冬から春”への移り変わり...続きを読むを彷彿させる。まさにこの時期に読みたかったと思える一冊だった。

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Posted by ブクログ 2020年05月06日

「青が散る」とシンクロする部分がありつつ、話自体はそんなに青くもなくみんなどこか不安定。話の起伏はあまりないけど、確信をついた表現もあって、もっと若い頃に読みたかった一冊。
勇気、希望、忍耐。どれも、どこか欠けてるな…

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Posted by ブクログ 2014年07月26日

先生が30代に書いた作品。一匹の蜥蜴を通して人間の生き死にを徹底して考えた物語ですね。先生の若さが感じられます。

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Posted by ブクログ 2014年01月29日

2014/01/26
釘にうたれてしまった蜥蜴と、借金で身動きが取れない主人公。
それ以外にも、事あるごとに蜥蜴が象徴として出てくるのだけど、この発想はすごいよなぁ。
そして爽やかなラストもとても良かった。

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Posted by ブクログ 2013年10月01日

卒業前後が背景。
哲之ー陽子

借金を抱えて、それを克服する
大学卒業前後のストーリー。
「死」というものに対して、
鮮明化してきている。
千代乃のストーリーがよくかけている。
行きつもどりつの振幅が、
豊かなスケールで書かれている。

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