【感想・ネタバレ】春の夢のレビュー

あらすじ

亡き父の借財を抱えた大学生、井領哲之。大阪にあるホテルでのアルバイトに勤(いそ)しむ彼の部屋には、釘で柱に打ちつけられても生きている蜥蜴(とかげ)の「キン」がいる──。可憐な恋人とともに、人生を真摯に生きようとする哲之の憂鬱や苦悩、そして情熱を1年の移ろいのなかにえがく、青春文学の輝かしい収穫。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

清濁併せ呑みながら辛うじて生きていく人間の実相。半歩ずつ、にじり出しながら歩んでいく生きる姿を垣間見た。折に触れて読み返したいような、思い出として、大切に心にしまっておきたいような読書体験だった。

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2025年02月17日

Posted by ブクログ

ネタバレ

若くして読んだ時には、登場人物や話の筋は大好きだけど
どうしてもトカゲに違和感を感じてました
今あらためて読み直すと、素直にトカゲのエピソードも読めて、そこからのメッセージも受け取れます
生きる姿、滑稽に見えてもつらくてもやっぱり素晴らしいと思わせてくれる作品です

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2015年02月16日

Posted by ブクログ

ネタバレ

キンちゃんが希望、忍耐、勇気この3つを抱きつづけ生きてきた。この3つを兼ね備えてる人間ほど怖い奴はいないよな

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2024年10月03日

Posted by ブクログ

ネタバレ

なんとも感想が難しい。
1982年、のちにバブル経済とよばれる好景気の直前が舞台でしょうか。
中途半端に過去なので、ちょっとした違和感がすごく気になってしまう。

主人公は大阪の大学生だが、父が亡くなる直前に残した借金のため、京都にほぼ近いようなはずれのボロアパートに暮らし、ホテルのボーイのアルバイトで生活している。
借金取りに追われ、母親とも別れて身を潜めて暮らしているが、時々ちょっと贅沢だな、と思う部分もある。
贅沢をする、というのではなく、例えばホテルで出る賄いを食べずに帰るとか、お金を借りる相手をわざと怒らせて借りずに返すとか。
そんな場合じゃなかろう?って思うのだけれど。

生活の糧はアルバイトで得ているはずなのに、失恋したと思えば20日も仮病で休むし、スマホのない時代、無断欠勤も当たり前…だったっけ?

とはいえ、バブルの前なので、自己破産なんて知恵もなく、ホテルのボーイなのに借金取りに何度も顔をボコられても、割と普通に「酔っ払いにやられた」とか言って仕事してるし。
お客さん、びっくりしないのか?

など、突っ込みつつも、その極限で生きている大学生が、辛いことも経験しつつ腐らずに、誠実に、時には弱く、短慮だったとしても、明るい未来を思わせる終わり方なのは、さすが宮本輝というところでしょうか。

哲之がボロアパートに越してきた日、ケチケチ大家が電気の契約をするのを忘れていたため真っ暗な部屋で壁にくぎを打ったことで、壁に打ちつけられたままその一年間を生き通した蜥蜴が助演賞。
蜥蜴はただ生きているだけなのだけど、哲之がそれをもとに哲学的にいろいろ思索するわけです。
時に宗教であったり、時に自らの人生についてだったり。

それから哲之の彼女がかなりキュート。
女子大生のわりには懐が広く、かと思えば他の男性にちょっとゆれてみたり。

そして、最後の一行が秀逸。
このためにこの作品があるのではないかと思うくらいの、良いエンディングでした。

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2024年07月10日

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