宮本輝のレビュー一覧

  • いのちの姿 完全版

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    筆者の育ちのルーツは大阪の堂島の外れ、大阪湾に注ぐ河口付近であると。今や一大テーマパークで賑わうあの辺りにも、たしかにその日暮らしを精一杯生き抜く貧しい人たちの姿があった。

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    2019年12月22日
  • 星宿海への道

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    あらすじ
    中国旅行中にタクラマカン砂漠近郊の村から、自転車に乗ったまま忽然と姿を消した瀬戸雅人。彼の帰りを待つ千春と幼子のせつ。血のつながりのない弟・紀代志がその足跡を辿るうちに明らかになる兄の人生──。少年期からの憧れ、黄河源流にある「星宿海」とは? 雅人が抱えていた戦後から現代に至る壮絶な人間模様を、抒情豊かに貫く感動巨編。

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    2019年11月05日
  • 優駿(下)

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    ネタバレ

    やはり競馬に疎いので、感情移入できず。
    最後のダービーのシーンはもっと盛り上げてくれればよかったのに。

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    2019年10月25日
  • 地の星―流転の海 第二部―(新潮文庫)

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     体の弱い妻と息子のために大阪での商売をやめ、神戸御影の家も売り払って、故郷愛媛の南宇和へ帰ってきた熊吾。ここでも存在感あるキャラを発揮する。暴れ牛ややくざも恐れぬ獰猛さを持ちながら、涙もろく人情深い。裏切ったやつでも、あの野郎と思いながらも手をさしのべずにはいられない。会社の金を猫ばばして逃げた男が見つかった。しかもそいつは仲間の女にも手を出していたと聞き、怒りに震えながら会いに行ったはずなのに、不治の病で臥せっているそいつの顔を見るや情がわいて、高額な薬を送ってやるとか、恋人を裏切ってそいつの愛人になった女にも援助の手を差し伸べるとか、なんせ助けが必要な人をそのままにはしておくことができない、困った人だ。
     しかし、このおっさんの長ーい話にあと7話分もつき合うかどうか……それほどワクワクするような話でもないしなぁ。3話めからはまた大阪に戻って新しい商売を始める。うーん、もうどうでもいいなぁ。

     でも南宇和の昭和の情景はとっても良かった。海、川、畑、山、豊富な自然の中で、熊吾が怒りに燃えながら自転車をこいだり、息子とのんびり歩いたりしている光景が映画のように目に浮かぶ。5歳の息子が肥溜めに落ちてフンまみれになった。嫁の房江は素手で鮎をつかみ取りできる。そんなちょっとしたエピソードも心に残る。とりわけ、親子3人で星空を眺めに夜風吹く野原を歩くシーン。熊吾は5歳の息子を肩車し房江と手をつないで歩く。暗い中、花の香りが漂ってくる。その後は息子ひとり家に帰らせ、夜空の下でコトに至るわけだが……。もう故郷に戻ることはないだろうと決心した後の田舎の風景はキラキラ輝いている。


     熊吾は時々哲学的になる。例えばこうだ。
    子は親を選べないのではなく、子は親を選んで生まれてくるのだ。ならば、その二人の男と女を両親にしなければならなかった理由とは何だろう。…とかね。


     もうひとつこの話に入り込めない理由のひとつは、作者の女性蔑視的な視点が垣間見えること。熊吾が狙った女は必ず落とせると自信を持ってることもそうだが、例えば第二部では「釈迦は、生涯にぎょうさんの経を説いたが、法華経以外の経では、二乗(インテリ)と女人の成仏を説かんかったそうじゃ。どんな女も本質的に嫉妬深くて、愚痴っぽくてどろどろの欲望につつまれとるそうな。しかし、もっと掘り下げて女の特徴を見ると、どうも女っちゅうもんは、非はいつも相手にあり、何か事が起こると相手のせいにし、自己反省っちゅうことをせん。」などと言わせてる。えらい言いようだ。釈迦の説法でそういう言葉があるのかもしれないが、解釈はまったく作者のねじ曲がった考え方だと思う。

     

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    2019年06月26日
  • 睡蓮の長いまどろみ(上)

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    母の告白、よかった。
    読みながら母の言葉が染み込んで行った。文章のなせる業と思う。

    そして、いたずら電話の犯人も、手紙の差出人も、すべてがクリアになってよかった。

    ただ主人公の癖?だけが私には理解不能。育ての母親から十二分な愛情をもらって育てられても、本能は生みの母親の愛情を求めているのか、うーん、わからない。残念。他の方の感想読んで理解したいと思う。

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    2019年06月21日
  • 夢見通りの人々

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    その名前とはうらはらに、夢見通りの住人たちは、ひと癖もふた癖もある。ホモと噂されているカメラ屋の若い主人。美男のバーテンしか雇わないスナックのママ。性欲を持て余している肉屋の兄弟…。そんな彼らに詩人志望の春太と彼が思いを寄せる美容師の光子を配し、めいめいの秘められた情熱と、彼らがふと垣間見せる愛と孤独の表情を描いて忘れがたい印象を残すオムニバス長編。

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    2019年07月17日
  • 青が散る(下)

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    青春小説。登場人物たちの、心がつながっているようなつながっていないような、孤独を抱えたままの関係が印象的。恋愛ストーリーとしても、一筋縄ではいかせてくれない。香櫨園という地名、関西にいながら知らなかった。

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    2019年04月27日
  • 彗星物語

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    現実には稀な大家族の話(昔はあったんだろうが・・)。ハンガリーからの留学生や出戻りの娘と子供たちが居候する波乱含みの大所帯は、知らずうちにお互いが欠けたところを補い合いながら何とか進んでいき皆が少しずつ成長していった。ベルリンの壁が崩壊した3年後に発表された作品らしく当時の東欧諸国の内情も垣間見え興味深かった。

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    2019年04月06日
  • 田園発 港行き自転車 下

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    タイトルの自転車という言葉と絶賛するレビューの数々を見て手に取りました。ですが、ここまで年を重ね経験を積んだ身にはあまりに現実とかけ離れたメルヘンの世界について行けず、白々とした思いが募りました。始まって1/4にもたどり着かないうちに、数々のエピソードの挿入が回りくどく思え、都合の良すぎる展開にも飽きてしまいました。こういうところがこの小説の持ち味なのだと思いますが、残念ながら私には合いませんでした。それでも最後までページを捲らせられたのはこの著者の力量のなせる技なのでしょう。

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    2019年01月28日
  • 流転の海―第一部―(新潮文庫)

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    1982年に開始したこの「流転の海」シリーズが、2018年6月の第九部「野の春」をもって完結したということが話題となった。宮本氏も、この37年間に及ぶ大河小説の完結に、躊躇することなく自らを褒めていた。

    物語の主人公は、松坂熊吾。宮本輝氏の父・宮本熊市氏の物語である。第一部は、敗戦から2年たったばかりの大阪を舞台。松阪熊吾が事業の再興を始めるシーンから始まる。そのとき、熊吾50歳にして初めての子を授かる。

    物語の中では、その子を「伸仁」と名付けるが、まさに宮本輝(本名宮本正仁)自身のことである。

    宮本氏は、「私は、自分の父をだしにして、宇宙の闇と秩序をすべての人間の内部から掘り起こそうともくろみ始めた」と述べている。

    なるほど、主人公・松坂熊吾は、豪胆な実業家のイメージで描かれているが、この物語は凄腕実業家のサクセスストーリーを筋とするような軽いものではない。そんなものならすぐに飽きられただろう。

    この松坂熊吾という人物は、凄いけれども欠点もボロボロあわせもっている。彼の周りにはありのままの人間ドラマが繰り広げられていく。

    人を信じたり、騙されたり、妻を愛する心や尊敬する気持ちが根底にあるかと思えば、妻に支配的になり暴力をふるったり、暴言を吐いたり。事業に野心を抱きながら、一方で虚弱な子どものために自分の野心を捨てさろうと悩む。その主人公像は、決して精錬されたものではない。

    スマートではないが、人間臭さの中に魅力があるように思う。粗暴とも思えるような一面を持ちながらも、その熊吾から発せられる言葉の端々に、宇宙を貫く法則的なものや、哲学的な視点が感じられたりする。

    「宇宙の闇と秩序をすべての人間の内部から掘り起こそうともくろみ」とはこのような狙いのことだろうか。

    生まれた「伸仁」の顔を見ながら「お前が二十歳になるまでは絶対に死なん」と宣言した熊吾は、これからどんなドラマを展開していくのか、それが非常に興味深い。

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    2019年01月22日
  • 田園発 港行き自転車 下

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    素敵な話です。
    世代を超えた人の繋がりが、
    流れを作っていきます。
    終わり方がもう少しドラマチックだと良かったんだけど。
    せっかくの繋がりがもっとグッとして終わると気持ちよかったです。

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    2018年12月24日
  • 長流の畔―流転の海 第八部―(新潮文庫)

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    発行が最近は1年に1回なので、読む側も遅々として進まない。主人公の熊吾は老いてなお元気だ。だが自分の意思と力では及ばぬ運命なる流れに翻弄される。人に裏切られ、家族にも愛想をつかされる。しかし、時々人のために行なったことに報いを得る。場合によっては命を長らえる。人生をどう生きるか、ふと考える瞬間を持つ。2018.12.20

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    2018年12月20日
  • 田園発 港行き自転車 上

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    宮本輝作品を手に取ったのは本当に久し振り。昔読んだイメージそのまま柔らかい文章で心にすーっと入ってきます。
    現実的に見れば、なかなかハードな現実だと思うのだけど何故かそれを負のイメージにさせないのはなぜでしょう。重い気持ちにならずに、でもしっかり心に受け止めながら読める一冊でした。続きの展開が予想できなくて楽しみです。

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    2018年10月27日
  • 避暑地の猫

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    青春時代のダークサイド
    宮本輝氏の描き出した青春時代のテーマでは
    一様に健気な男が奮闘しているイメージがありますが。
    こういうダークサイドも妙に印象に残っているんですよね。
    宮本氏の宗教を作品の評価に持ち込むのはやめるべきだと
    思います。見かける場合ちらほらあるんすが。
    ええもんはええと。それだけで評価せんと。

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    2018年10月17日
  • 田園発 港行き自転車 下

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    ひたすらに旅へ行きたくなる。

    下巻では散らばっていた繋がりが線となり、佑樹を取り巻く周りの大人たちの優しさに触れる。
    しかし賀川直樹のだらしなさが曖昧にされていて、何とも納得できないラスト。

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    2018年10月14日
  • 三十光年の星たち(下)

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    プロになるには最低30年働いて働き抜くことが必要。
    人はまわりの人間に支えられて一人前になる。
    宇宙の永遠も人の人生も同じ努力を続ける舞台の中。
    このほんから私なりに学んだ教訓。
    有村富恵への回収の結末がなかったが、久々の宮本輝を楽しんだ。

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    2018年09月30日
  • 田園発 港行き自転車 上

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    ネタバレ

    物語の舞台が東京、京都、富山に跨り、登場人物もやたらと多くて、相関図がいるほど。さらに、普通なら省かれる脇役一人一人のエピソードまで事細かに描かれているから、何が何だか状態で混沌としてくる。

    それでも、入善市の田園風景、黒部川の流れ、立山の姿、旧街道の街並み、風を受けて走り抜ける自転車のスピード感は十分に富山の魅力を伝え、やっぱりその地を旅したくなるのは間違いないし、京都の花街の風情ある佇まい、芸妓の世界の伝統を守り抜く女たちの強さと美しさにも惹かれた。

    だけど、死亡した賀川直樹には最後まで魅力を感じられなかった。有り体にいえば、養子で婚家に居場所がなかった婿が、京都で羽を伸ばして若い子に軽く手を出した挙句、孕ませてしまったという話にしか思えなかったのが残念。

    父親の秘密を知った娘が、亡き父に嫌悪感を抱いたことだけは納得の感情だけど、それ以外は出てくる人全てがいい人ばかりでどうにもおとぎ話のよう。
    ラストで関係者が同じ日に上手く滑川へと集結する感じも出来すぎで、その割に終わり方が唐突で急に幕を降ろされたようなところも物足りない。

    悪い話ではないし、富山への旅情は掻き立てられるけど、主人公が誰なのかも結局、よく分からなかった。

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    2018年09月30日
  • いのちの姿 完全版

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    ネタバレ

    宮本輝の小説の主人公や舞台の設定と重なるような、宮本さんの子供の頃の実体験。少しビックリしたような、でも、だからこそ、読者の心に響く、深い話になっているのかも、とも思いました。

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    2018年08月26日
  • 私たちが好きだったこと

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    不思議な関係。
    語弊を恐れずに言えば、不安神経症の人の相手は大変だと思う。
    なんとも胸が苦しくなる展開。
    ーーー
    工業デザイナーを目ざす私、昆虫に魅入られた写真家のロバ、不安神経症を乗り越え、医者を志す愛子、美容師として活躍する曜子。偶然一つのマンションで暮らすことになった四人は、共に夢を語り、励ましあい、二組の愛が生まれる。しかし、互いの幸せを願う優しい心根が苦しさの種をまき、エゴを捨てて得た究極の愛が貌を変えていく……。無償の青春を描く長編小説。

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    2018年08月20日
  • 慈雨の音―流転の海 第六部―(新潮文庫)

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    酔っては女房を殴り飛ばす男が、憲法を、日教組、歌舞伎、俳句、日米安保等々を熱く語る。この熊吾、得体が知れなく、どう理解すれば良いのか?

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    2018年08月15日