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母の肉は子の肉、子の骨は母の骨なり……。いのちの哀しさ尊さに突き当りながらも、虚無と喧噪のなかで人間の業(ごう)から逃(のが)れられない男たち、女たち。だが、そういう彼らも、いつしかオラシオンの美しさ危うさに魅せられて一体化し、自らの愛と祈り、ついには運命そのものを賭けていった。やがて迎えるダービー決戦――。圧倒的な感動を呼ぶサラブレッド・ロマン。吉川英治文学賞受賞。
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Posted by ブクログ
最後の最後まで、どうなるかわからない小説だった。 様々な人の細かい心の揺れ動きが積み重なり、最後のオラシオンのダービーで集大成を迎えるという構成で、自分も物語の一員になったかのような読後感だった。 佐木がミステリアスなままだったが、彼には幸せになって欲しいと思う。
人が生きていくには、重要な決断がいる時がある。和具平八郎は、最初の会社のピンチで、資金が足りない時に、手元にある金を競馬に注ぎ込んで、勝つことで会社のピンチを切り抜けた。運を天に任せる野蛮な勇気がある。その競馬で負ければ、会社も倒産していた。そして、会社の規模は大きくなり、今度は大きな会社に吸収合...続きを読む併される事態を迎える。思い切ってリストラするのか?倒産するのか?吸収合併されるのか?悩み続ける。日本の中小企業の経営者は、そんな悩みを常に持っているものだ。なるべく職員を残して、自らが退任する道を選ぶ。 和具平八郎は、オラシオンの馬主である。そのオラシオンを手に入れたいがために、平八郎の会社を乗っ取ろうとする奴がいた。しかし、あくまでもオラシオンは個人所有だった。手持ちの馬を売っても、オラシオンは売らなかった。なぜなら、オラシオンは娘久美子に譲り、また久美子は腹違いの弟誠に譲ったのだ。誠は、腎臓移植しなければ生きていけないという状況にあった。その希望がオラシオンだった。それぞれの祈りを抱えて、オラシオンはダービーを目指して走り続ける。 オラシオンの騎手の奈良は、苦しい記憶を抱えて、オラシオンに乗る。奈良は、ミラクルバードという馬に乗っていた。ミラクルバードは馬に蹴られて顔が歪んだ馬だったが、滅法強い馬だった。奈良はミラクルバードから、レースの運び方を教えてもらった。クラシックレースの皐月賞に、奈良は寺尾にかえさせられた。そして寺尾に「前にいてる馬の後ろに、ピタッとつけさすんや。行くに行かれへんから落ち着きよる。そうさしといてから外に出すんや」とアドバイスした。それを実行した寺尾は、レースで接触事故を起こして、馬も寺尾も死んでしまう。ミラクルバードは、顔を蹴られた経験から後ろにつくことでパニックに陥るのだ。奈良は、寺尾を殺したのは俺だと思った。そこから、奈良は立ち直って、死を恐れぬ騎手に一回り大きくなったのだ。オラシオンの心が読める奈良のリードは、走ることで死にいたることもあるという覚悟が必要だった。オラシオンの妙なくせ、それを常に心配した。 騎手の持つ独特の雰囲気や仕草、そして騎手仲間のさまざまな噂がなんとも言えない世界でもある。結局は、名誉、お金が絡むことによって、足を引っ張る醜い社会でもあるのだ。 そして、オラシオンは連勝して、ダービーに臨むのだった。 オラシオンを生み出したトカイファームの博正は、もっと牧場を広げ名馬を作りたいと思っている。そして、淡い恋心を馬主の久美子に抱く。久美子は、博雅をジャガイモと呼んでいた。その素朴な性質と優しい目に久美子も惹かれていく。ジャガ男とジャジャ馬の久美子の行方は。そして、和具平八郎はどう再起するのか?誠はどうなるのか? 牧草には、ケンタッキーブルーグラスがいいのか。いい馬を作るにはいい草がいる。いい草を作るにはいい土地がいるという指摘が重要だ。チモシー、オーチャード、レッドクローバー、ホワイトクローバーなど、みんな必要だ。
サラブレッドに関わる人々の思いを感じる事ができる作品。生産者の、願い(祈り)や血統への期待、未来への想いが伝わり、読後はより深く「競馬」というブラッドスポーツを楽しめるようになること必須。上下巻に渡る長編だが、中弛みする事なく最後にピークを持ってくる内容は圧巻。ダービー前のこの季節にぜひ!
映画版のラストしか知らなかったけど、非常に満足した作品だった。競馬に対する見方が劇的に変わった。おすすめの本を聞かれたときに紹介したい一冊になった。
優駿
一頭の馬をめぐり、馬主、生産者、騎手、厩務員、予想屋まで全て網羅。 あとがきにあった、よくわからず・・・いえ、わかりすぎです。 競馬好きは一度は読んだほうがいいですね。 ただ、ただ素晴らしい。
再読完了、やはり当方が読んだ古今東西のhorse racingものでNo.1。 古き良き時代から社台、もっといえばノーザン1強への競馬シーンとしてはあまり面白くないともいえる流れが背景に見え隠れするなど、リアリティという意味でも出色。 また、そんな知識無くとも人間ドラマとして結構重厚だし、ちょっとし...続きを読むた推理的要素も兼ね備えている。 東京優駿が無観客で施行されることとなった今こそ読みたいMasterpieceであること、当方レベルでは何ですが保証します。
メモりたくなるような指南がたくさん出てきました。宮本輝の小説はそんなことがたくさんあります。ストーリーも楽しく読ませて頂きました。
”生まれる仔馬が牡馬でありますように。風の申し子のように早く、嵐のように烈しく名馬の天命をたずさえて生まれますように。”北海道の小さな牧場で生を受けた一頭のサラブレッドオラシオン。北海道の大自然が育む緑と光の原野の中で育ち、順調に競走馬への道を歩み始める。そして生産者、馬主、騎手、調教師等の命をモチ...続きを読むーフにしたそれぞれの物語が、最終章のダービーに向かって一気に駆け抜ける。。特徴は、北海道の雄大な自然から、レース展開や騎手の駆け引きまでをきめ細やかな筆致にて描く。そして各章毎に、登場人物の視点を小気味よく切り替えて、それぞれが抱える人生の悲哀がダービーを駆け抜けるオラシオンの一点に集約されるよう伏線を絶妙にばらまいている事。文字を追う毎に、映像がくっきりと浮かんでくるリズム感の良さは圧巻です。 凛々しさと清冽さを感じる唯一無二の5★作品ですよ〜。
物語は、牧場、騎手、馬主、社長、秘書と様々なシーンの主人公が、それぞれの想いを胸に精一杯生きた生き様が交錯する展開にグイグイ惹かれた。 また話の流れも色々人が死んだり予想外の展開に驚きの連続で一気読みでした。 余談だけど、若い頃、競馬に没頭して、北海道にわたり馬に乗っていた頃を思い出した。物語の時...続きを読む代は物心ついてないけれど、メチャメチャ勉強したので、色んなワードに心踊りました。単枠指定、阪神3歳S、数え年、ノーザンダンサー系が席巻とか、、、 牧場に行きたくなってきたなぁー
宿命の血を引いて生まれた一頭のサラブレッドが、関わったすべての人間たちをその苛烈な運命の渦に巻き込みつつ、最後には生きることへとふたたび駆り立ててゆく。レースシーンの、胸が圧迫されるかのような緊迫した描写が見事。ちなみに、映画版では多田時夫を演じた石橋凌がはまり役だった。
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宮本輝
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