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修平の両親が番人として雇われた別荘には秘密の地下室があった。別荘の主、布施金次郎と両親たちとの密約の存在を知った17歳の修平は、軽井沢にたちこめる霧のなかで狂気への傾斜を深めていく。15年の沈黙を破って彼が語り始めたひと夏の出来事とは? 人間の心の奥に潜む「魔」を描ききった傑作長篇小説。
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Posted by ブクログ
複雑な関係と感情のもつれの中にいる少年は10代らしい短絡さと潔癖さでゆっくりと地獄へ向かって走り出す。 地下室が表れてから物語の全体に淫靡で官能的な空気が霧のように立ち込めた。 とても面白かった。また再読したい。 ところで、これは作り話だし、物語を面白くさせる要素だとわかっていても、若い女性に性的...続きを読むに籠絡されて行く男性、という物語を書く男性作家は、女性を幻想に近いものを下書きにして見てるのではないかといつも思う。 同じような物語でも谷崎潤一郎の「痴人の愛」は割と実態に近い。
内容(ブックデータベースより) 修平の両親が番人として雇われた別荘には秘密の地下室があった。別荘の主、布施金次郎と両親たちとの密約の存在を知った17歳の修平は、軽井沢にたちこめる霧のなかで狂気への傾斜を深めていく。15年の沈黙を破って彼が語り始めたひと夏の出来事とは? 人間の心の奥に潜む「魔」を描...続きを読むききった傑作長篇小説。 令和7年6月2日~6日
エンタメ調で描くと上滑りしそうだけど人を描くので事実は小説より奇なり的なあり感がある。 令和の今だとかなりおとぎ話的かもだけどね。 昭和の感性があればリアリティあるかな。 屋敷の主人と屋敷番家族の話。 引き込まれて最後まで読み通した。 宮本輝の描き出す世界恐るべし。 また何か宮本作品読みたいなと思...続きを読むったかな。
螢川的な物語を期待して、以前先輩に勧められたこの本を手に取ってみた。 螢川全然違うやん・・ 古き悪き昭和の香り。サスペンスを追う気持ちで読み進めていくうちに、徐々に宮本輝さんらしい筆致にのめりこんでいった。弱者を描く鋭さと薄暗い虚無感。 そして全然直接的でないのに(ないから?)、めちゃめちゃ艶かしい...続きを読む姉。こういうのも書く人だったんだ、知らなかった。 後味が良いものではなかったが、読書にのめり込む気持ち良さを久々に味わった。 私は無邪気な後輩にオススメする気持ちにはなれないが、気持ちに余裕がある時にどうぞ。
久しぶりの宮本作品。 何とも恐ろしい物語でした。 最初はプロローグがあって、ある無口な男性が入院することになったのですが、突然過去のことを医師に打ち明けるところから始まります。 軽井沢の別荘とその番人家族の物語なのですが、何もかもが異常な世界で、人間てこんなにも冷酷になれるのかと衝撃でした。
混沌としたまどろみ かけぬけるラスト なんともいえない後味 一気に読める。 何度も読める。
う~~~ん、好き嫌いのはっきりわかれる”内容”だと思う。僕は好きじゃない。けど、次へ次へと読み進んだ。。。。。やっぱり“宮本ワールド”に浸かってるからかな。
初、宮本輝。 薦められて読んだ一冊。ほかの作品も読んでみたい。 幸せだったはずの2つの家族の中で、主人公の人格が構成されてゆく物語。 少年から青年へと変わっていく主人公の人格が、時折狂気に満ちたものに変化する。その部分と、途中から僅かにみせる恋心。 物語なのに、妙にリアルで衝撃的な作品だった。
十七歳、それは、大人と子どもを使い分ける狡さ……。 「俺、軽井沢で生まれ育ったんです」 酔っ払いに絡まれ怪我を負った男が、突然、十五年前の出来事を語りだす。 軽井沢の別荘の持ち主と別荘番の二つの家族が繰り広げる、悍ましい愛憎劇。 十七歳の主人公の青々とした性への欲望と、母と姉に漂う淫靡な気配、...続きを読む どうしようも無い怒りからの、暴力的な行動…「霧のせい」…退廃への逃避 残るものは虚無
青春時代のダークサイド 宮本輝氏の描き出した青春時代のテーマでは 一様に健気な男が奮闘しているイメージがありますが。 こういうダークサイドも妙に印象に残っているんですよね。 宮本氏の宗教を作品の評価に持ち込むのはやめるべきだと 思います。見かける場合ちらほらあるんすが。 ええもんはええと。それだけで...続きを読む評価せんと。
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