【感想・ネタバレ】避暑地の猫のレビュー

あらすじ

修平の両親が番人として雇われた別荘には秘密の地下室があった。別荘の主、布施金次郎と両親たちとの密約の存在を知った17歳の修平は、軽井沢にたちこめる霧のなかで狂気への傾斜を深めていく。15年の沈黙を破って彼が語り始めたひと夏の出来事とは? 人間の心の奥に潜む「魔」を描ききった傑作長篇小説。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

読み始めると、この不思議な世界にすぐにひたってしまう
軽井沢の霧の中で、坂を転げるように危険な思考に落ちていく
なんども読んでいて、経過も結果もわかってはいるけど
それぞれの人たちの気持ちを考えると苦しく悲しくなる
また、違う夏に読むんだろうなと思います

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2015年07月12日

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複雑な関係と感情のもつれの中にいる少年は10代らしい短絡さと潔癖さでゆっくりと地獄へ向かって走り出す。
地下室が表れてから物語の全体に淫靡で官能的な空気が霧のように立ち込めた。
とても面白かった。また再読したい。

ところで、これは作り話だし、物語を面白くさせる要素だとわかっていても、若い女性に性的に籠絡されて行く男性、という物語を書く男性作家は、女性を幻想に近いものを下書きにして見てるのではないかといつも思う。
同じような物語でも谷崎潤一郎の「痴人の愛」は割と実態に近い。

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2013年09月01日

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内容(ブックデータベースより)

修平の両親が番人として雇われた別荘には秘密の地下室があった。別荘の主、布施金次郎と両親たちとの密約の存在を知った17歳の修平は、軽井沢にたちこめる霧のなかで狂気への傾斜を深めていく。15年の沈黙を破って彼が語り始めたひと夏の出来事とは? 人間の心の奥に潜む「魔」を描ききった傑作長篇小説。

令和7年6月2日~6日

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2025年06月07日

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エンタメ調で描くと上滑りしそうだけど人を描くので事実は小説より奇なり的なあり感がある。
令和の今だとかなりおとぎ話的かもだけどね。
昭和の感性があればリアリティあるかな。

屋敷の主人と屋敷番家族の話。
引き込まれて最後まで読み通した。
宮本輝の描き出す世界恐るべし。
また何か宮本作品読みたいなと思ったかな。

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2023年07月04日

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ネタバレ

 未読だと思って久しぶりに宮本輝作品を手に取ったら、2015年に既に読んでいたようだ。

 軽井沢の別荘番の息子として生まれた久保修平は、別荘の持主である布施家に対する羨望と憎悪から、その心の裡に次第に狂気を育てていく。“姉妹の麦わら帽子は、卑下と憎悪のふたつの感情をぼくにもたらせてきた。(p.56)” 布施金次郎と、自らの母・姉との間の淫靡な関係を知った彼は遂に、布施金次郎を殺すことを決心する…
 まさに愛憎劇と呼びたくなる、官能的で、怪しい物語。17歳の修平の、視野狭窄さ、自分の思い込みに徐々に囚われていく様が恐ろしい。軽井沢に立ち込める「霧」も、舞台装置として非常に効果的に働いているように感じた。“霧が出てくると、頭痛が始まり、体中の力が抜け、口をきく気力すら失うのだった。(略)すべての人間の中にひそんでいる魔…。外にあるものではなく、内に宿している魔に活力を与える媒体は、ぼくにとっては、あの軽井沢の霧であった。(p.47)”
 避暑地の「猫」というのが何を意味しているのか結局よく分からなかったが、ポーの『黒猫』のような、魔性の象徴ということだろうか?

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2022年01月03日

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螢川的な物語を期待して、以前先輩に勧められたこの本を手に取ってみた。
螢川全然違うやん・・
古き悪き昭和の香り。サスペンスを追う気持ちで読み進めていくうちに、徐々に宮本輝さんらしい筆致にのめりこんでいった。弱者を描く鋭さと薄暗い虚無感。
そして全然直接的でないのに(ないから?)、めちゃめちゃ艶かしい姉。こういうのも書く人だったんだ、知らなかった。
後味が良いものではなかったが、読書にのめり込む気持ち良さを久々に味わった。
私は無邪気な後輩にオススメする気持ちにはなれないが、気持ちに余裕がある時にどうぞ。

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2020年12月30日

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久しぶりの宮本作品。
何とも恐ろしい物語でした。
最初はプロローグがあって、ある無口な男性が入院することになったのですが、突然過去のことを医師に打ち明けるところから始まります。
軽井沢の別荘とその番人家族の物語なのですが、何もかもが異常な世界で、人間てこんなにも冷酷になれるのかと衝撃でした。

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2016年08月21日

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混沌としたまどろみ

かけぬけるラスト

なんともいえない後味


一気に読める。
何度も読める。

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2012年01月25日

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う~~~ん、好き嫌いのはっきりわかれる”内容”だと思う。僕は好きじゃない。けど、次へ次へと読み進んだ。。。。。やっぱり“宮本ワールド”に浸かってるからかな。

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2011年08月09日

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初、宮本輝。
薦められて読んだ一冊。ほかの作品も読んでみたい。

幸せだったはずの2つの家族の中で、主人公の人格が構成されてゆく物語。
少年から青年へと変わっていく主人公の人格が、時折狂気に満ちたものに変化する。その部分と、途中から僅かにみせる恋心。

物語なのに、妙にリアルで衝撃的な作品だった。

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2011年02月27日

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ネタバレ

久しぶりの宮本輝作品。

軽井沢の別荘番の息子、修平の口から語られる、家主の布施金次郎と、修平の両親、姉との歪んだ関係、その結果ともいえる凄惨な事件。
貧富の差もあるが、人間の歪んだ感情、狂気が救いのない深さで描かれている。
ひたすら重かった。。

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2025年06月07日

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十七歳、それは、大人と子どもを使い分ける狡さ……。

「俺、軽井沢で生まれ育ったんです」

酔っ払いに絡まれ怪我を負った男が、突然、十五年前の出来事を語りだす。
軽井沢の別荘の持ち主と別荘番の二つの家族が繰り広げる、悍ましい愛憎劇。

十七歳の主人公の青々とした性への欲望と、母と姉に漂う淫靡な気配、
どうしようも無い怒りからの、暴力的な行動…「霧のせい」…退廃への逃避

残るものは虚無

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2021年05月22日

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青春時代のダークサイド
宮本輝氏の描き出した青春時代のテーマでは
一様に健気な男が奮闘しているイメージがありますが。
こういうダークサイドも妙に印象に残っているんですよね。
宮本氏の宗教を作品の評価に持ち込むのはやめるべきだと
思います。見かける場合ちらほらあるんすが。
ええもんはええと。それだけで評価せんと。

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2018年10月17日

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初版が1985年。再読。誰の言っていることが真実なのか。貴子の可憐さがどろどろな別荘での出来事との対比で際立つ。修平の母親の表裏の乖離が受け入れ難いところあった。久保家の人々が、布施家の人々も、著者が好んで使う「魔」という隘路に迷い込み軽井沢の地で翻弄されていく。とても悲しい物語だ。

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2011年05月10日

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う~む。マジで誰か解説してほしい。主要人物の心情や言動の脈絡がわからないというか、矛盾を感じるというか、最後は???の連続でした。期間をおいて読んだので、理解が足りなかったか。
・株買い取りは秘密裏のはずが、地下室を暴露するとはどういう料簡?
・父はいつ知った?知った後の心の変化の軌跡は?あと無口になった理由も理解できず。
・母の真意は?最後の驚愕の事実との関連性は?二重取り?(これ一番のなぞ)猫?
・主人公は少し激しすぎやしないか?(笑)
・姉をそそのかしたのは?自ら?正体は猫?蛇?
・刑事はなぜわかったのか?勘?(笑)
などなど、他にもありますが・・・、ネタバレにならないように奥歯に挟まった言い方になりました。すみません。
最初は昼メロ調で、少し萎え気味になったが、3章の出来事からミステリー調となり俄然面白くなって猛烈に読み進めたが、ミステリーとしては失速した結果だったように思う。そのまんまだったから。小説としてエロス的表現にはぞくぞくきました。(笑)
情感あふれる記述とテンポの良い展開はとても良かったが、肝心なところでミステリーでありがちな直截的でない描写の手法がそのまま放置されてしまった感があり、説明不足の思いを強くしてしまった。そのため「狂気」「魔」を描いたとはいえ、現実感のなさが目立ったような気がする。
これはひょっとして作品としては失敗作なのでは・・・という感が強い現在です。自分の理解不足もあるので、暫定、星3つです。

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2011年09月03日

Posted by ブクログ

借本。
著者の本はこれが初めて。
ねっとりとした感じや、場面の耽美さが、頁をめくるのを加速させてく。
人の魔の感じが凄い。ゾワゾワする。
著者の違う本も読んでみたくなった一冊。

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2012年12月29日

Posted by ブクログ

色々な糸がもつれあって絡み合ったような読後感。
推理小説のようなシンプルな謎解きだったはずが、ひとつ石を裏返すと沢山の虫が蠢いているように、ひとつの事件の裏に沢山の人間の黒い思惑が蠢いている。

後半はどんどん吸い込まれて一気に読み上げた。
ひとを吸いつける力のある本。

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2010年04月13日

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