宮本輝のレビュー一覧
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中国旅行中にタクラマカン砂漠近郊の村から自転車に乗ったまま行方不明になってしまった、血の繋がりのない兄・雅人。
その兄の消息を探す弟と、雅人の帰りを待つ恋人。。。。
黄河源流にあると言われる「星宿海」をキーワードに、雅人とその周囲の人々の壮絶な人間模様が描かれている。
この作品は、少々重かった。
雅人は元々は物乞いの母と一緒に物乞いをしていた少年で、母の死後、その死に関連して後ろめたい気持ちのある紀代志の両親が引き取って、紀代志と雅人は兄弟として育つ。
作られた家族は、どこまでいっても作られた家族で、本物のの家族にはなりえないのか。
雅人の心の奥底には亡き母の姿がずっとあって、その姿を星海宿に -
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宮本さんと言えばまず、教科書に出てくるのが「蛍川」
そして、人気が高い名作が「ドナウの旅人」
そして、この「異国の窓から」は「ドナウの旅人」を執筆するにあたって、ドナウ川まで取材に行ったときの紀行文である。私はこの作品がものすごくお気に入り。
1988年に光文社より単行本として発売されたものに、著者が加筆したものを角川から再度出版したので、書いたときは、まだドナウ川沿いは共産国ばかりで、社会背景がとても難しく、書かれた著者もかなりのご苦労があったと思う。
でも、その中での暖かい人々とのふれあいや、すったもんだを面白おかしく書いているところはさすが!と言った感じ。言う間でもないが、「ドナウの旅人 -
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「因果倶時」原因が生じた瞬間には結果もそこに生じているという意味。それがテーマとなっている一冊。人の境遇と言うのは因果倶時の凝縮であり、つまりそのような境遇になる原因は自分自身が作っているのだと言う。宮本作品には宿命だとか運命だとかを背負っている登場人物が多いのだけど、本書の中では苦しみや悲しみを背負って生きてきた主人公の母親が「みずから因を作れば、その果はそのとき瞬時に私の中に宿るのだ」「幸福のために新しい因を作りたい」と言っている。宿命というのは本当にあるのかもしれないけれど、新しい因を作ることはできる。そう思えば希望が持てる気がする。宮本作品の深さを知った一冊。苦戦したけど、最後まで読ん
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Posted by ブクログ
なんだか、宮本輝を好きになったようです。
といっても、ドナウの旅人上巻と、オレンジの壷上下を読み終わったのみなのですが。
どっちも再生がテーマ、といった感じな気がする。
『オレンジの壷』はラストに少し物足りなさを感じつつ、解説を読むと、そのとおり、と思ってしまう。
ナゾを全て解き明かす必要性を深く感じない、そのように作られている、と思う。
この本には、ドンドンドンドン引き込まれていった。
歴史もわかるし、って言うのも面白いって感じるところだったんだろう。
旅に持っていくのにもってこい!だな、とやっと分かった。ゆったりしてるし(いや、でも読みながら急いちゃうけど)成 -
購入済み
お勧めしないかな
長いと感じる小説。人間の内面には嫌や部分も善な部分もあるもので、その黒い部分を上手く描くとリアリティーが増して読み手も引き込まれていくのだが、この小説での嫌な部分の描き方があまりに個人的で人間だれしもあるよな、、、という感じには全くならない。ただただ不快な思いにしかならない。私は途中で読むのをやめました。あくまで個人的な感想です。