宮本輝のレビュー一覧
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人にはとてつもなく苦しく、逃避し難い出来事に遭遇することがある。それが必然か、偶然かは別として、なんと言うか、言葉では表現する事のできない喪失感、虚無感に苛まれる。
しかし、人は生きるという選択をしなければなれない。決して、「止」「終」はいけない。人生とは、このように過酷なものかもしれない。ただ、唯一の救いとも言えるのは、一人ではないということである。人は、一人ではない。だからこそ、苦難を受難することもでき、そして乗り越える事もできるのだろう。希美子はそれを体得した一人なのかもしれない。そしてその周囲の人々も。
人は、本当に強い生き物であると同時に弱い生き物であもある。だからこそ、魅せられ -
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この話は、ある主婦が殺されて…その主婦の家に隣接するマンション住人全員に疑いがかかり、住人たちはお互いがお互いに疑惑の目を向けた生活を始める。
あぁ〜こんな、人それぞれに潜む悪みたいなものに触れたら気が滅入る。
風邪ひいて寝込んでいる今はただでさえ落ち込みがちなのに。。
そう感じて、しまった!と思ったのだ。
人を尾行することで性的愉悦にひたる…
群集の中の孤独…
途中何度も気が滅入りそうになったけと最後まで読んだ。
彼の作品の中には、いつも目を引くような美女が出てくるが、(うーん)と唸るような言葉も必ず出てくる。
それは登場人物の台詞に乗せてあるんだけれど、
今回は76歳のお爺さんの台詞
”自 -
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ネタバレもともとこの作家は語り口が好きなのですが、今回はその良さをすごくよく感じました。
二つの視点が交互に語っていく一人の女性の姿が重なりながら離れながら物語は進んでいくのですが、その人となりが明かされていく中で、どんどん加速度的に読み進めていける作品だったと思います。続きが読みたい、とどんどん思える作品ってすごいと思うんですよね。
一人の人間の生涯がどれほどまでに深く、どんな運命を辿ってきたのか。“幸せ”を掴むために持つ覚悟や、忘れられない出来事が遠回りをしながら明かされていく様子が、淡々と描かれているこの話が私はとても好きです。
枯れたひまわりの出てくる場面がとても好きなのですが、もう一つ -
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2007/02/06 Tue
早く最後が読みたくて、あっという間に読み終えたのはいいけれど、
何?この不完全燃焼は…!?
結局、謎は解明されないまま。
それぞれ推理しろってことかしら…。
面白いのに凄く残念です。
2人はますます深い快楽に身を落とすわけだけど、
やっぱり背徳とか、異常?な世界に身を置けば置くほど、
痺れるような快楽を得るのかな。
ある意味、ポン中のようなものかも知れない。
この本を読んで気付いたのは、
人間という動物だけが、背徳によって性的快楽が増すということ。
これは、精神(気持ち)を持っている人間だからこそ成せる業?なのかも知れない。