あらすじ
締切の夜、書斎は険しく暗い。しかし一人ではない。開け放った窓に響くトラックのエンジン音や、本棚におさめたドイツ製のクレヨン……。何気ない物事がいのちを帯びて、わたしのペンを鼓舞し、触発する。わたしは今夜も、彼らに囲まれてペンを走らせる。――その書斎は、後に阪神大震災によって壊滅した。追憶の思い新たに、震災時の日記を併録する。
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Posted by ブクログ
宮本輝さんが、どんな風にして作品を生み出しているのか垣間見ることができました。面白く読めました。特に最後のエッセイ、阪神淡路大震災についてのエッセイは、辛い。当時、尼崎に住んでいた頃を思い出しました。さらに、今自分が直面している熊本の状況、すごく辛く、涙が出ます。無気力感に絶望します。
Posted by ブクログ
執筆に行き詰って自分のそれまでの本を全部破いて家中のすべての物をぶっ壊すくだりが衝撃でした。
誰がどう見ても傑作ぞろいの作家なのに…
何かを創り出す苦しさや喜びが詰まっているエッセイです。
Posted by ブクログ
2000年ごろ購入。
宮本輝のエッセイとのことで。
マスキングする前の宮本輝の姿を堪能できます。作家というものは随所にこだわりが多く,また,こだわりだすとのめり込む傾向が非常に強いので,読んでいて面白い。
Posted by ブクログ
作家の仕事場、作品の生まれてくる場所の秘密(?)が綴られています。インスピレーションの媒体となるお気に入りのモノたちに囲まれて、少しずつ(時にはがばっと)文章が搾り出されていきます。震災で書斎が倒壊してしまうラストが、図らずもエッセイ集をきっちり締めて、くれているのが、ちょっと哀しみを誘います。
Posted by ブクログ
好きな作家のエッセイを読むというのは少し興味本位なところがありますね。
作家の日常生活がどんなものなのか、小説を書く部屋を覗き見しているような気分にさせてくれます。
宮本輝さんの日常、趣味、子供の頃のこと、飼っている犬のユニークな話等ほのぼのとした気分にさせてくれます。
最後に、数々の小説を生み出した部屋、家族と共に暮らしたその家が阪神大震災で半壊したと書かれていました。もし当日その家にいれば間違いなく死んでいたであろうと。
その経験がその後の小説に大きな影響を与えていると感じています。
震災後の作品が私は大好きです。