宮本輝のレビュー一覧
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麻沙子の母 絹子は「ドナウを旅したい」という手紙を娘に残し、
夫を捨てて家を出る。
絹子は17歳年下の愛人 長瀬道雄とともに西ドイツに向かっていた。
麻沙子も母を追って西ドイツに向かい、かつてのドイツ人の恋人シギィと再会する。
母と長瀬、そして母を見つけた麻沙子とシギィの4人は、
ドナウ川を下る旅に出る。
この2組の男女の心境の変化と成長が異国の人々・風景とともに描かれている。
ミステリー仕立てになっていて、とっても読みやすい。
18年位前、初めて読んだ時とは違う感想を持った。
前回も今回もドナウ河沿いの風景やそれぞれの国が持つ雰囲気、
その時代が持った共産圏の空気も感じて、
ますます憧れが -
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麻沙子の母 絹子は「ドナウを旅したい」という手紙を娘に残し、
夫を捨てて家を出る。
絹子は17歳年下の愛人 長瀬道雄とともに西ドイツに向かっていた。
麻沙子も母を追って西ドイツに向かい、かつてのドイツ人の恋人シギィと再会する。
母と長瀬、そして母を見つけた麻沙子とシギィの4人は、
ドナウ川を下る旅に出る。
この2組の男女の心境の変化と成長が異国の人々・風景とともに描かれている。
ミステリー仕立てになっていて、とっても読みやすい。
18年位前、初めて読んだ時とは違う感想を持った。
前回も今回もドナウ河沿いの風景やそれぞれの国が持つ雰囲気、
その時代が持った共産圏の空気も感じて、
ますます憧れが -
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神戸・北野坂の一流フレンチレストラン"アヴィヨン"を舞台に繰り広げられる恋とサスペンス(と言っても殺人はない)の物語。
アヴィヨンのオーナー・典子は元オーナーの夫に先立たれてあとを継ぎ、店を切り盛りしている。
しかしそれを妬む夫側の親戚や、レストランをのっとろうと企む人々に
狙われ、隣人や信頼できる人々と結託してレストランを守るために立ち上がった。
一方で、ふとしたことで知り合った年下の画家・雅道と恋に落ち、経営者の立場と、結婚したい自分の間で揺れる。
賢く謙虚で芯が強くて、そのくせ弱い部分もあって、おまけに美人の典子。
こんな女、男の理想なんだろう。
善良な人々が幸 -
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舞台はブタペストと東京。国境を越え、一見、何のつながりのない女子大生2人の平行したストーリー。東京の女子大生は、将来を約束された未来のエリート大使からのプロポーズで悩み、一方ハンガリーの女子大生は、自国の家族、友人を捨て、豊かな暮らしのできるアメリカへの出発を悩む。
この本が書かれた1986年はまだベルリンの壁も落ちる以前の、東欧、西欧がぱっくり分かれていた時代。ほんの25年前の話なのに大昔のようでもあるし、かと思えばほんの昨日のような気もする。ソビエトの勢力を受けていた当時のハンガリーの大学生の生活ぶりは日本人のものとかなり異なり、読んでいて興味深い。今ではすっかり発展したものの、当時の傷 -
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「徒然草の第百五十段に書かれている・・・」
「能をつかんとする人、『よくせざらんほどは、なまじひに人にしられじ。うちうちよく習ひ得てさし出でたらんこそ、いと心にくからめ』と常に言ふめれど、かく言ふ人、一芸も習ひ得ることなし。いまだ堅固かたほなるより、上手の中にまじりて、毀り(そしり)笑はるるにも恥ぢず、つれなく過ぎて嗜む人、天性その骨なけれども、道になづまず、みだりにせずして年を送れば、堪能(かんのう)の嗜まざるよりは、終に上手の位にいたり、徳たけ、人に許されて、双びなき名を得る事なり。
天下のものの上手といへども、始めは不堪(ふかん)の聞えもあり、無下の瑕瑾(かきん)もありき。されども、そ -
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幼い頃、母に捨てられ、叔父に育てられた兄妹のお話です。
叔父の死後、妹は25歳の若さで企業化したカルチャークラブの事業を会長として引き継ぎます。
偶然の成り行きで知り合った、愛する家庭を持つ国際弁護士に支えられながらも、恋心を抱いたことによって辛さや切なさも味わい、人間としても一企業のトップとしても成長していきます。
若い頃から年上の女性の上等なヒモとして生きてきた兄は、旅行先の香港で奇異な経験をし、彼もまた人間として成長を遂げます。
もし私が25歳で企業のトップに立たされたら、と思いながら読みました。
この本に出てくる兄に、私は比較的好感を抱いています。