宮本輝のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ長らく読んでいた宮本輝さんの「人間の幸福」
やっと読み終わりました。
内容や展開とタイトルがどう繋がって行くのかが
中盤くらいまでは読めなかったのですが
最後までたどり着いてみると作者の言わんとすることが
分かってきたような気がします。
うちの母はよく夜に車で走っていると
こんなことを言っていました。
あの家一軒一軒にそれぞれの家庭があり、暮らしがある。
窓から灯りが洩れているのを見ると
その家族の生活を想像してしまう。と…
ひとつとして同じ家族の生活はなく、
ひとつとして同じ人生はなく、
当たり前なのですが人生感も価値感も恋愛感も性癖も違う
人間が何億とこの世で生きているのです。
だから -
Posted by ブクログ
ちょっと読みにくかった。男性の自殺に絡んで、謎の女性を追いかける、というのが話の筋。けれど、この作品は謎解きについては熱心ではない(?)、というか、そこに主眼を置いている作品ではないです。謎の女性を追う、という点で同じような筋で東野圭吾さんの『白夜行』と、宮部みゆきさんの『火車』を思い出した。ある意味、ありふれたプロットなのかもしれない。けれど、この作品は謎の部分については結局わからないままで、むしろその謎の女性、塔谷米花に関わった人々の過去と現在に焦点をあてています。なので、ミステリー的なエンターテイメント性はあまりないです。これは、自分が作者に肩入れしすぎなのかもしれないけれど、ある側面か
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Posted by ブクログ
タクラマカン砂漠の村から、自転車とともに消息を絶ってしまった兄。
血のつながらない弟が彼の過去に迫っていくうちに、自分の知らない間に兄と将来を約束していた女性と兄の子どもとも出会う。
いつも兄との間に“溝”のようなものを感じていた。
いったいに兄の過去、人生とはなんだったんだろうか・・・。
過去を追って、いなくなってしまった人の人生に迫る話。近くにいたはずなのに、いつも遠くに感じていた。人間って、結局は理解し合うことは難しいのかな、ってやっぱりなんだかドンヨリしてしまうのよね。
ただお兄さんが、その過去を抱え込みながら、前を向いて歩いていこうとしていたんじゃないか、っていう終わり方のような -
Posted by ブクログ
麻沙子の母 絹子は「ドナウを旅したい」という手紙を娘に残し、
夫を捨てて家を出る。
絹子は17歳年下の愛人 長瀬道雄とともに西ドイツに向かっていた。
麻沙子も母を追って西ドイツに向かい、かつてのドイツ人の恋人シギィと再会する。
母と長瀬、そして母を見つけた麻沙子とシギィの4人は、
ドナウ川を下る旅に出る。
この2組の男女の心境の変化と成長が異国の人々・風景とともに描かれている。
ミステリー仕立てになっていて、とっても読みやすい。
18年位前、初めて読んだ時とは違う感想を持った。
前回も今回もドナウ河沿いの風景やそれぞれの国が持つ雰囲気、
その時代が持った共産圏の空気も感じて、
ますます憧れが -
Posted by ブクログ
神戸・北野坂の一流フレンチレストラン"アヴィヨン"を舞台に繰り広げられる恋とサスペンス(と言っても殺人はない)の物語。
アヴィヨンのオーナー・典子は元オーナーの夫に先立たれてあとを継ぎ、店を切り盛りしている。
しかしそれを妬む夫側の親戚や、レストランをのっとろうと企む人々に
狙われ、隣人や信頼できる人々と結託してレストランを守るために立ち上がった。
一方で、ふとしたことで知り合った年下の画家・雅道と恋に落ち、経営者の立場と、結婚したい自分の間で揺れる。
賢く謙虚で芯が強くて、そのくせ弱い部分もあって、おまけに美人の典子。
こんな女、男の理想なんだろう。
善良な人々が幸 -
Posted by ブクログ
舞台はブタペストと東京。国境を越え、一見、何のつながりのない女子大生2人の平行したストーリー。東京の女子大生は、将来を約束された未来のエリート大使からのプロポーズで悩み、一方ハンガリーの女子大生は、自国の家族、友人を捨て、豊かな暮らしのできるアメリカへの出発を悩む。
この本が書かれた1986年はまだベルリンの壁も落ちる以前の、東欧、西欧がぱっくり分かれていた時代。ほんの25年前の話なのに大昔のようでもあるし、かと思えばほんの昨日のような気もする。ソビエトの勢力を受けていた当時のハンガリーの大学生の生活ぶりは日本人のものとかなり異なり、読んでいて興味深い。今ではすっかり発展したものの、当時の傷