【感想・ネタバレ】森のなかの海(下)のレビュー

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ネタバレ

深いストーリー、泣けた。

希美子に家や財産を託して亡くなった西岡カナ江とその若き日の恋人、室谷宗弥、そして二人の息子である典弥の数奇な人生が明かされる。宿命としか言いようがない、家族としてはある意味不幸な人生を生きながらも、それぞれがとても人として深いものをもっていたことが救いだと感じた。

そして、希美子や、やさぐれ気味の震災孤児たちの再生に、知性と寛容さ、人間の幅を感じさせる希美子の父や、個性的ながら姉想いの妹の存在も大きいと思う。
知性と教養のある人は、魅力的だな。。

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2020年05月31日

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阪神大震災キッカケの物語。 人生はどう変わるの分からない...何かを無くして何かを得られたと思った時、また何かを守るとなると、強く生き幸せを得られるのか…。豊かに生きることは物質的なものではない事を、この本を読んで思う。 戦争時代背景、結婚離婚、家庭問題など多岐にわたる事を考えさせられた良本。 この本を読むと、「豊かさ」や「幸せ」の定義をもっと拡げられるんじゃないかと考えさせられる。 そして、家族環境って人格を形成する上で、大きな影響を与えるものであろうと強く思う。いや本当に良い本を久しぶりに読んだ。

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2017年08月16日

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ネタバレ

長編を読むことが得意でない私が
上下巻 飽きることなく読書を楽しめた

突然の主人公の環境変化には
少々驚いたが、
同時に始まった老婦人の謎解きは
最後の最後まで、興味深く読むことができた

想像していた再会とは違っていたが
双方の心の動きが切なくて、涙がこぼれた

また、戦争中の時代背景を知るにつ
自由に自分の学びたいことを学び
自由に言いたいことを言える今の時代は
当たり前ではない時代があったことを
自分事として感じられた

そして震災によって家族を失うことの悲劇もさることながら、
幼い時に家族に愛されることを実感できないこと
安心した環境で生活できないことによる影響は
その人を形成する上で、大きな影響を与えるものであろうと強く共感した

大人になってから、そういった状況に置かれている私でも
その状況はショックであったし
しょうがないことだと自分消化できたのは
自分が自分の足で立てているからだと感じていたから

久しぶりに熱中できる小説に出会えた。嬉しい。
宮本輝さんのほかの本に
今年はもっと触れたいと思う

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2017年01月14日

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これは逸脱

様々な境遇にあっても
前を向いて徐々にすすむ

そして信念を曲げない
つらぬいて生きる姿

全てを受け入れて動じず
全てを包み込んで動じず

素敵

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2014年04月20日

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宮本輝さんの作品はいつもそうだと思いますが、すごく流れやリズムが良くて一度読み始めるとやめられず、一気に読んでしまいました。

下巻に出てくる「森は木を拒まず、海は川を拒まず」という言葉にとても惹かれました。
他にも素敵な言葉がたくさん詰まっていて、何回も読み返したくなる作品です。

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2017年02月18日

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最初とっつきにくかったけど、一気に引き込まれた。みんなの奮闘ぶりに、ドキドキハラハラ。「負けるな。頑張れ」と応援しつつ、ページをめくる手が止まらんかった。

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2010年05月14日

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下巻は時代背景などの話もあり少し時間がかかってしまった。
だが、知らない間にページが進み時間が随分経っているという感覚だった。
落ち着いた良い時間を過ごすことができた。

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2024年01月02日

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ネタバレ

なんでしょう、これは。
読者アンケートの結果が悪くて、連載を打ち切りになったのでしょうか。

上巻は、ちょっと上手くいきすぎな感はあったけれども、震災から立ち直るための居場所づくり(主人公である希美子や、彼女が引き取った少女たちの)は地に足がついたものだった。
親の愛情に恵まれなくて、自分勝手だったり、気が短くて飽きっぽかったりした少女たちを、仕事を与えることで生活習慣や一般常識を多少とはいえ身につけさせた。

しかし下巻にきてその流れは失速。
希美子に山荘を遺した老女の人生の謎を追う方が主眼になっていて、10人もの少女を預かっているのに、その書き分けもほとんどできていない。
実の息子二人はもっと影が薄い。

小学生の息子と、未成年の少女たちを預かっておきながら、下関に行ったり吉野に行ったり。
その間家の様子を気にかける風もない。

そして、これが作者は書きたかったのだろうけれど、戦後、日本の教育の不毛のせいで、古き良き日本が失われてしまったこと。
それを取り返すには教育を変えねばならないことが、これでもかと主張される。
その説に全くの反対ではないけれど、登場人物たちがあまりにも声高に主張すると、こちらとしては引いてしまう。

結果、阪神大震災はただのネタ振りとなり、希美子の家族は単なる賑やかしとなってしまった。
だって少女たちが成長するところを書いていないんだもの。
数々の伏線が回収されないまま放置
上巻が面白かっただけに、残念でならない。

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2021年11月20日

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いやはや、大作でした。

13人もの同居が始まり、どう収束するものかと思ったけれど、すっかり作品の世界観に入り込んでしまいました。

自然は偉大だなぁ。大きな力を目の前に人間の諍いが小さく感じる。

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2018年12月20日

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老婦人の過去が明らかになり、子どもとも再会を果たしたのに名乗らずお互いの生活を続ける。老婦人の結婚生活は旦那に愛人がいてほとんど家に帰って来ない幸せとはいえない人生で、離婚を機に独身を貫いて、娘とも絶縁状態で葬式もあげることなくその理由もわからないまま終わっている。
希美子はその人生で自分の息子に何を思ったのか?他人の子で手一杯なそんな風に取れていたけど、ラストに息子の成長を感じて感慨に耽っている。
再読したらまた違う捉え方ができるかな??

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2018年12月09日

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大震災、不倫-離婚など大物のラインに加え、時代的な恋と家同志の結婚など大柄な話題を進めつつ、震災孤児を預かったり、お屋敷を受け継いだり、伏線としてはこれまたしっかりとしたラインを組み合わせて進む物語。物語を通じて、時代背景から大震災時に発揮される国家観、教育観、男女の仲や若者の将来や家族のあり方など多方面に渡るテーマを丁寧に語らせている。中でも希美子の父の考え方がおおらかかつしっかりとしていて共感が持てる。こうやるには財政面や社会的な立場もあるとは思うが。
また忘れてはならないのが、森のあり方や描写である。様々な樹木や植物に加え、森のあり方について羨ましい環境が描写されている。

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2016年06月20日

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じっくりじっくり読んだ。飛騨の森は温かな結界がはられ、すべてを包み込んでくれる「海」だったのだ。人には、地上で生きていくものには森はかけがえのないものなのだなぁとしみじみと思った。森がそばにない私は山を欲し、通勤途中にある自然公園にときめくのだな。地上で生きる多くのものに森はかけがえのないものだのだ

希美子さんが「木にも心がある」というようなことを言っているけれど、そのとおりなのだろうと思う。我が家のベランダの小さな鉢につめこまれた2本の木は、我が家の前にアスファルトに囲まれながら並んでいる大きな木は何を思っているのだろう。

ぬくぬくした室内でまどろみながら、この物語にひたれる幸せ~!

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2015年11月08日

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宮本輝の小説を読むと、いつも「人生」ってことを考えさせられる。そして、「豊かに生きる」ってことに憧れさせられる。言わずもがなだけれど、ここでいう「豊か」というのは、物質的な豊かさをさすのではない。

現在、38歳。

自分の人生の長さを知ることはできないけれど、日本人の平均的な寿命から考えれば、人生の折り返し地点あたりにいるのかなぁと思う。歩いてきた道を振り返ってみれば、世のため人のために何ができたかと言う軸から考えると誇れるものはないけれど、自分が自分に向けて言うのであれば、「なかなか良い人生を送っているね」と言える。幸せだなとも思う。

でももっとこの先に何かあるんじゃないか、
「豊かさ」や「幸せ」の定義をもっと拡げられるんじゃないか、
そんなことをたくさん考えさせられる。

宮本輝の小説は大好きです。

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2013年05月25日

Posted by ブクログ

上巻とは打って変わって、こちらはほぼ一気読みだった。
希美子を始め、登場人物の面々がなんとも生き生きと、そして気持ちよく、前巻のどこか鬱屈とした雰囲気から解き放たれていく。
ところどころ影がちらりとするが、それは光と対をなす物としてなければならない影といったもので、決して胸に引っかかるものではなかった。物語が確実に「再生」へと向かっている証拠のような…。

上巻ではとても頼りない女性だった主人公の希美子も、下巻ではまるで人が変わったように逞しく賢い女性へと成長していく。
様々な出来事に意気消沈していたが、やがてそれを受け入れ、飲み込み、包み込んでいく…。そうすることでしっかりと根を張り、太く強かに育っていく様は物語の鍵となる巨木「大海(ターハイ)」の姿そのものだった。



読み終えた後、とても清々しい気分だった。
これは「ここにレビューを書きたいな」と思った。
うまく伝わるかわからないけど、やっぱりあの「青が散る」を書いた人の作品だったのだと、「青が散る」を読み終えた時の気持ちを思い出せたことで強く感じた。

ただ…希美子の2人の息子をもっと物語に出して欲しかった。
年齢的に物語に絡ませるには難しい年齢だったのかもしれないけど、彼らも間違いなく傷付いた人間だった。
あるところから希美子が息子達となかなか向き合える時間がなくなるのもわからないわけではないけど、セリフが全くなくなってしまっては…。

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2013年05月08日

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毛利のおばさまの謎が明らかになってスッキリ(^^)ただマロングラッセの作り方が謎のまま…(--;) 古典や料理に陶芸など色々な事が話の中に盛り込まれていて、とても楽しい♪宮本輝さんの他の作品も読んでみたくなった(*^^*)

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2013年01月09日

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ネタバレ

宮本輝の小説は、読後が本当にすがすがしくなる。

阪神大震災を被災した主人公が、夫の浮気が原因で離婚し、
知人の独居老人から相続した飛騨の山荘での生活を開始する。
そこには、被災した震災孤児の三姉妹や、その三姉妹を頼ってきた家出少女があつまり、それぞれが山荘で生活していく中で生きていく道を模索していく。。

という話の中で、
戦時下の政略で恋人との関係を引き裂かれ、その恋人との間に命を受けた子供との間も引き裂かれてしまった、悲しい親子の話も織り交ぜられていく。。

読んでてストーリーに引き込まれ、ついつい電車の降りる駅をも忘れてしまうような、いい本でした。

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2011年11月04日

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奥飛騨の山荘へ、震災で家族を失った、かつての隣人の三姉妹を引き取った希美子。さらに姉妹を頼って来た七人の少女も受け入れることに。ある日、カナ江にまつわる衝撃的な噂を聞いた希美子は、山荘の森にある巨木“大海”の根元から不思議な水差しを見つけた。なかには、一通の封書と、小さな骨が…。希美子はカナ江の謎に満ちた生涯を追う。喪失した魂の復活をうたう大作。

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2009年10月04日

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阪神大震災後、それを題材に扱った彼の作品は多いけど。
これはその中でも家族を失った人たちが一緒になり、家族になっていくところがすごく幸せだなあと思うの。

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2009年10月04日

Posted by ブクログ

「前途洋々」という言葉がぴったり。
希美子と一緒に暮らしている中学生〜高校生の女の子たちが、それぞれの才能を活かしてそれぞれの道を進んでいく。
若いっていいなぁと思ってしまったよ。
この作品のもう一つの(と言うかほんとの)柱は「カナ江の人生を遡る」こと。
同じく宮本輝さんの『オレンジの壷』も亡くなった祖父の人生を遡っていく作品だけど、今度は『オレンジの壷』の女性版って感じかな。
カナ江は、静かだけど強い。逞しい。
希美子にも惹かれたけど、カナ江にも強く惹かれた。
それにすき焼や季節の素材を使った炊き込みごはん、鱧のお吸い物、シャトー・ラトゥール・・・
出てくる食べ物・お酒がおいしそう。
って、前にも何かの本で言った気がする・・・

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2009年10月04日

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上巻に続いての完結編。主人公のトータル面での幸せは、読者の想像でいくらでも作って行けそうであるが、全体のトーンが柔らかくて好きです。

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2009年10月04日

Posted by ブクログ

2人の女性にモノ思う。


愛する人に裏切られた女。
愛する人を失った女。

哀しいけど、この物語では、
前者のほうが幸せと思ってしまう。

希美子はまだ先がある。
それもきっと明るいものが。
そう信じたいし、辛い試練だって、
未来のための過程だったのだと思う。


反対にカナ江は‥。
未来がないひとだから、よけい哀しいのか。
まわりの大人に騙されて、
愛するひとたちを失って。
罪とは言い難い罪を背負って孤独に生きた。
もっと心をさらけ出して、
泣いたっていいし、傷つき傷つけてもいい。
だって、生きてる時じゃなきゃできないもの。
行き場のない痛みを抱え、ひとり耐え忍んだ。

しんみりしてまう。
なんだろなぁ、ツライ。

もう、この気持ちを払拭するには、
希美子に強く生きてもらうしかない。


あとは、なんかギャル達が多すぎ〜と思った。
子供の存在も薄かったし。
実は、宮本輝にしては、めっちゃ時間が
かかったのです。
途中読むのやめようかと思ったのですが、
完読できて良かったです。

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2017年12月24日

Posted by ブクログ

ネタバレ

上巻に比べるとぐっと読み進めるのが遅くなってしまい、何度も戻り読みをしてしまった。上下巻読み終えて大作と言わしめる意味もわかった気がするが、疑問として残る点もあった。毛利カナ江さんと実の娘の不仲原因は何だったのか。読者の想像に任せますということなのかな、とは思うのだが…上下巻の大作は久しぶりに読んだので細かいところがいちいち気になってしまった。

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2017年06月04日

Posted by ブクログ

ふーむ。最後まで マロングラッセの作り方が
わからなかったなぁ。
蒸して 繰り返し はちみつにしたすことで
作り上げる。
でも、スパイスは何を入れたのだろうか?

半田葉鬼の 人生が とうとうと 語られた。
昭和元年うまれの 人生は
時代という制約でほんろうされている。
まぁ。おじいさんに近いのだか
そんなことを 問題にしてもしょうがないことだが。

阪神大震災によって 親を失った
子供たちは 確実に 成長する。
そのなかで 希美子も 癒されて 自信を持っていく。

魔風が 陶器の世界に飛び込み
漫画家、モデル そして 炊き込み屋。
たくさんの可能性をもって 鳥は すだつのである。

森の中の 大海。
そこから 鳥たちは 飛んでいくのだ。
平家物語が からむが そんなに意味はないのだろう。

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2015年08月05日

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宮本輝さんの作品は読みやすいです。大地震という自然の脅威を癒すのも大自然なのかな。人間同士でも傷つけるだけでなく、優しくお互い成長できるようになりたいと思わせてくれました。小説の内容とは関係なくちょっとした知識として勉強にもなりました。全体的なストーリーとしては消化不良なかんじが残ってしまったのが残念。

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2013年07月04日

Posted by ブクログ

阪神淡路大震災があったその日、主人公の人生も音を立てて崩れ始める。
不幸な経験をした彼女がまわりの人々と関わりながら再生していくストーリー、
宮本輝、王道の小説です。

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2009年10月04日

Posted by ブクログ

すべてを受け入れて動じず…
すべてを包み込んで動じず…”
そんな人間になれたらいいな。
私が今までに読んだ宮本輝の本の中では一番新しい本。
阪神淡路大震災の朝から話が始まる。
震災で住むところも親も亡くした少女たちと奥飛騨の森の中の別荘で暮らし始める。
同じ怖さを体験した者同士が大自然の中でお互いを必要としながら癒されていく…

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2009年10月04日

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