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Posted by ブクログ
深いストーリー、泣けた。
希美子に家や財産を託して亡くなった西岡カナ江とその若き日の恋人、室谷宗弥、そして二人の息子である典弥の数奇な人生が明かされる。宿命としか言いようがない、家族としてはある意味不幸な人生を生きながらも、それぞれがとても人として深いものをもっていたことが救いだと感じた。
そして、希美子や、やさぐれ気味の震災孤児たちの再生に、知性と寛容さ、人間の幅を感じさせる希美子の父や、個性的ながら姉想いの妹の存在も大きいと思う。
知性と教養のある人は、魅力的だな。。
Posted by ブクログ
長編を読むことが得意でない私が
上下巻 飽きることなく読書を楽しめた
突然の主人公の環境変化には
少々驚いたが、
同時に始まった老婦人の謎解きは
最後の最後まで、興味深く読むことができた
想像していた再会とは違っていたが
双方の心の動きが切なくて、涙がこぼれた
また、戦争中の時代背景を知るにつれ
自由に自分の学びたいことを学び
自由に言いたいことを言える今の時代は
当たり前ではない時代があったことを
自分事として感じられた
そして震災によって家族を失うことの悲劇もさることながら、
幼い時に家族に愛されることを実感できないこと
安心した環境で生活できないことによる影響は
その人を形成する上で、大きな影響を与えるものであろうと強く共感した
大人になってから、そういった状況に置かれている私でも
その状況はショックであったし
しょうがないことだと自分消化できたのは
自分が自分の足で立てているからだと感じていたから
久しぶりに熱中できる小説に出会えた。嬉しい。
宮本輝さんのほかの本に
今年はもっと触れたいと思う
Posted by ブクログ
なんでしょう、これは。
読者アンケートの結果が悪くて、連載を打ち切りになったのでしょうか。
上巻は、ちょっと上手くいきすぎな感はあったけれども、震災から立ち直るための居場所づくり(主人公である希美子や、彼女が引き取った少女たちの)は地に足がついたものだった。
親の愛情に恵まれなくて、自分勝手だったり、気が短くて飽きっぽかったりした少女たちを、仕事を与えることで生活習慣や一般常識を多少とはいえ身につけさせた。
しかし下巻にきてその流れは失速。
希美子に山荘を遺した老女の人生の謎を追う方が主眼になっていて、10人もの少女を預かっているのに、その書き分けもほとんどできていない。
実の息子二人はもっと影が薄い。
小学生の息子と、未成年の少女たちを預かっておきながら、下関に行ったり吉野に行ったり。
その間家の様子を気にかける風もない。
そして、これが作者は書きたかったのだろうけれど、戦後、日本の教育の不毛のせいで、古き良き日本が失われてしまったこと。
それを取り返すには教育を変えねばならないことが、これでもかと主張される。
その説に全くの反対ではないけれど、登場人物たちがあまりにも声高に主張すると、こちらとしては引いてしまう。
結果、阪神大震災はただのネタ振りとなり、希美子の家族は単なる賑やかしとなってしまった。
だって少女たちが成長するところを書いていないんだもの。
数々の伏線が回収されないまま放置
上巻が面白かっただけに、残念でならない。
Posted by ブクログ
宮本輝の小説は、読後が本当にすがすがしくなる。
阪神大震災を被災した主人公が、夫の浮気が原因で離婚し、
知人の独居老人から相続した飛騨の山荘での生活を開始する。
そこには、被災した震災孤児の三姉妹や、その三姉妹を頼ってきた家出少女があつまり、それぞれが山荘で生活していく中で生きていく道を模索していく。。
という話の中で、
戦時下の政略で恋人との関係を引き裂かれ、その恋人との間に命を受けた子供との間も引き裂かれてしまった、悲しい親子の話も織り交ぜられていく。。
読んでてストーリーに引き込まれ、ついつい電車の降りる駅をも忘れてしまうような、いい本でした。