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春の午後、玉田麦子が自宅で撲殺された。麦子は、隣接するマンションの非常階段の使用をめぐり住人らとつねにいがみあっていた。そのマンションに住み、階上に住む愛人の存在に怯えて過ごす敏幸は、マンションの住人らに強い疑惑の目を向ける。突き進む犯人探しがあらわにする人々の心。真の幸福とは? 心の迷宮を解く傑作長編。
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Posted by ブクログ
著者の作品は、よく読んでいますが、殺人が絡む推理小説は珍しく読みました。読み終わって感じたことは、やはり今までの作品のように人間の罪深さ奥深さが、書かれていました。主人公が自分でも気づかなかった一面を知り愕然とする場面。自分では意図せずに異性を惑わせてしまう女性の恐ろしさ、男達の愚かさ。読みごたえあ...続きを読むりました。
初めて長い小説を完読した。ストーリーはありふれた話だった覚えがあるけど、後残りが良い本だった。最高に好きな本の一つになった。
感無量。 人は、一般にも、そんなに人気のある本ではないようだが、私の中では傑作だった。話の流れでちょいちょい出て来る名文。宮本輝ならでは。正直、話はなんてことないストーリーだった。だからこそ、感動したのかもしれない。何て事ない日常に探せば幸せはどこにでもある、のように。
この話は、ある主婦が殺されて…その主婦の家に隣接するマンション住人全員に疑いがかかり、住人たちはお互いがお互いに疑惑の目を向けた生活を始める。 あぁ〜こんな、人それぞれに潜む悪みたいなものに触れたら気が滅入る。 風邪ひいて寝込んでいる今はただでさえ落ち込みがちなのに。。 そう感じて、しまった!と思っ...続きを読むたのだ。 人を尾行することで性的愉悦にひたる… 群集の中の孤独… 途中何度も気が滅入りそうになったけと最後まで読んだ。 彼の作品の中には、いつも目を引くような美女が出てくるが、(うーん)と唸るような言葉も必ず出てくる。 それは登場人物の台詞に乗せてあるんだけれど、 今回は76歳のお爺さんの台詞 ”自分のためだけにしか生きてこなかった人が寂しいのは当たりまえだ” 私はどうだろう。 人のためと思ってやってきたことでも、突き詰めれば自己満足に過ぎなかったりする。 自信ないな。 だから時々寂しいのかな。
敏幸の住む「杉の下マンション」の隣の一軒家の主婦、玉田麦子が白昼、撲殺される。近隣の住民は警察の取り調べを受けるのだが、敏幸は代休をとって昼寝をしていたのでアリバイがない。身の潔白を証明したいと、自らも犯人探しに翻弄する。近隣を嗅ぎまわっているうちに、表面に出ていなかった他所の家々のゴタゴタ、人間模...続きを読む様、人の裏側を知るところとなる。 しかし、この敏幸という男、犯人探しといきがって人を尾行したり、一日の精力ほとんどを使って、どれだけ暇なのだろう、違和感嫌悪を覚えた。これじゃストーカーまがいだ(この時代ストーカーという言葉はなかっただろうが)。自分でも高揚感を得てるように見えるし。 「事に当たってみないと人はわからない」これは、私が親(母)から時々言われることである。ご近所さん、知り合い、親戚等、関わる様々な人。挨拶をする、世間話をする。表面は常識が通っているように見える。 けれど、それは、外から見た、うわべだけの顔だ。その人の本性は浅い関りではわからない。事、何か問題に直面するとか、少し深い関りがあって初めてその人の本質が見えてくる。 (特に近隣の人とは、うわべだけのお付き合いですむならそれでいいのだが。) この話で、主人公敏幸は、起こってしまった事件をきっかけに、人の知らなかった一面を見る、とともに、自分自身とも向き合い葛藤する。徐々に、人間にとって何が一番大切なのだろう(幸福とはなにか)と、妻や友人、仲間と討論にも似た会話をし、ぶつかりあう場面が幾度かある。 想像とおり、犯人は通りがかりの犯行で、近隣の人間ではなかった。 人には大なり小なり野次馬根性があり、人の不幸は密の味でもあるのだが、他所のゴタゴタ劇など知らぬが仏だと思った。 誰もが、人に知られたくない事情を持っている。また、人は見かけでは判断できない。 中には、最初はいけすかない奴だと毛嫌いしていた人間も、関わっているうちに自分にとって信頼できる相手となる場合もある。そういうのに期待したい。悪いことばかりでない。 冒頭の殺人事件の出だしから、その後、山場があまりなく(私的に)、ご近所ドロドロはちょっと苦手。 じわじわの重さがきつかった。長かった。
宮本氏にしては珍しい推理小説仕立てである。一人の女性の死から始まる周囲の人たちの「人生」。どんな人にもその人だけが持つ歴史があり、暗部がある。人は愛しく悲しいものであるが、「幸福」ということに限っていえば、その人本人にしかわからないものなのであろう。読むのにずいぶん時間がかかってしまった。そのことが...続きを読む残念。
貫井のとっくんにしても宮部みゆきサソとかも、 ある系統の作家さんの行き着く先みたいな感じ。 人の業みたいなものを、事件を中心に見せかけて、 実はだしにして、その外で落とすみたいなね。
2013.10.12 主人公には尺然としないものは残るが、ダウン症の娘をもつ喫茶店のマスターの言葉には重みを感じ、また自分にとつての幸福とは何かを考えされる作品。
う~~ん、ちょっと”中途半端“な感じがしてもひとつやったかなぁ・・・。 すごく読むのに時間がかかってしまった。
さえない主人公の住むアパートの隣人がバットで撲殺される。アパートの住人それぞれに動機がありそうで、殺人事件をきっかけに住人たちの知らない顔が見えはじめる。 隠してるつもりじゃなくても、普通ひとって、いろんな面があると思う。私の知っているあの人も、私の知らないあの人だったりするよね。
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