あらすじ
取材先のウィーンのオペラハウスで、著者はいかめしい顔の係員にまくしたてる。「天井桟敷」でも客は客やぞ。天井桟敷の隅で、汚い服を着てるやつのほうが、ボックス席の金持ち連中よりも、はるかに深い心でオペラを観るかもしれんやないか」。大阪弁「必殺日本語突き」に、金ボタンの制服を着た係員もすごすごと退散する……。別れの悲しみは胸に仕舞い、素晴らしい人々との出会い、出会い、出会い。綴られた、ドナウ河の美しき情景に展開する生の歓喜と悲しみ、それはもう、ファンタスティック! ヨーロッパ七カ国、そして中国を巡る笑いと涙に充ちた名紀行文。
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Posted by ブクログ
『ドナウの旅人』を書くにあたっての旅を綴った紀行文。宮本輝の小説は読んだことがない。古本市でなんとなく惹かれて購入した。
旅の途中で何を見てどんな事を考えるかって、すごくその人の人柄を表すと思う。この人はとても真っ直ぐなんだろうな。でも一緒に旅をするのは大変そうだ(笑)
外国で現地の人に関西弁で怒鳴る宮本さんに笑った。
Posted by ブクログ
あぁ、そうだ、80年代後半のヨーロッパはこうだったんだ、と懐かしく思い出す。もちろん、実際にその場にいたわけではないがTVなどで見たちょっと青白い映像だったり、「西ドイツ」や「ユーゴスラビア」という国があったことなど。
それにしても、作家っていい「海外旅行」するんだねぇ。同じように「半分仕事、半分休暇」でも旅行会社の社員とは全然違うや。
文中の「小坂哲也」君と意外なつながりがあったと知った直後に読んだので、驚いた。もしかしたら私はそのうち「小坂」君と会うのだろうか?
(2007.1.9)
Posted by ブクログ
旅行記.共産主義の時代の様子がわからないので視点がよくわからない部分もありました.詩の引用,文章の引用部分が効果的.[2006.09.27.]
Posted by ブクログ
宮本さんと言えばまず、教科書に出てくるのが「蛍川」
そして、人気が高い名作が「ドナウの旅人」
そして、この「異国の窓から」は「ドナウの旅人」を執筆するにあたって、ドナウ川まで取材に行ったときの紀行文である。私はこの作品がものすごくお気に入り。
1988年に光文社より単行本として発売されたものに、著者が加筆したものを角川から再度出版したので、書いたときは、まだドナウ川沿いは共産国ばかりで、社会背景がとても難しく、書かれた著者もかなりのご苦労があったと思う。
でも、その中での暖かい人々とのふれあいや、すったもんだを面白おかしく書いているところはさすが!と言った感じ。言う間でもないが、「ドナウの旅人」とセットで読むのがお勧め。
いつか私も「ドナウの旅人」になることを夢みてやまない。