宮本輝のレビュー一覧
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豪華本を作る 編集および職人 舟木は、
独身 32歳だった。
阪神大震災の 9年後。
父親は、まったく 理不尽な形で 死んだ。
舟木は まだ3歳だった。
姉は 5歳で 現在は 看護士をしている。
母親も 病院に勤めている。
祖母につながる トーストというパン屋の大前美佐緒に
一方的に 恋心を抱く。
そして、そのつながりが どのように展開するのか?
発酵食品の ルーツを探りながら
それを 豪華本の 題材とする。
和歌山 熊野に 醤油の発祥があるという話は
なんとなく ときめくものがある。
鮎鮨、サンマ鮨、なれずし。
発酵食品って 奥が深い。 -
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ふーむ。最後まで マロングラッセの作り方が
わからなかったなぁ。
蒸して 繰り返し はちみつにしたすことで
作り上げる。
でも、スパイスは何を入れたのだろうか?
半田葉鬼の 人生が とうとうと 語られた。
昭和元年うまれの 人生は
時代という制約でほんろうされている。
まぁ。おじいさんに近いのだから
そんなことを 問題にしてもしょうがないことだが。
阪神大震災によって 親を失った
子供たちは 確実に 成長する。
そのなかで 希美子も 癒されて 自信を持っていく。
魔風が 陶器の世界に飛び込み
漫画家、モデル そして 炊き込み屋。
たくさんの可能性をもって 鳥は すだつのである。
森の中 -
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阪神大震災の当日 1995年1月17日。
仙田希美子は、旦那とケンカして、別の部屋にいた。
それが、震災のヒガイを受けないですんだ。
しかし、夫の奇妙な行動から、
夫が守ろうとしているのは、私ではないことに気づく。
離婚に踏み切るとともに、
奥飛騨に住む毛利カナ江とのつきあいから
毛利カナ江の遺産を受けとることに。
そして、ふたりの息子たちとすむことにした。
森の中に その家はあり、
楠と藤蔓がからみあった巨大な大木 が鎮座していた。
その巨木は ターハイ と呼ばれた。
そして、沢山の栗の木。
毛利カナ江は、マロングラッセを 作って貯蔵していた。
また、ドイツに住んだことがあり、西岡と言っ -
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ネタバレ義父と夫、長男、長女、次女に次男、夫の妹にその子供が二人、さらには犬が一匹。
そんな大所帯に今度はハンガリーからの留学生がやってきた。
ボラージュという名前の留学生は、城田家がすべてのお金を工面して大学に通わせるという。
決して裕福ではない城田家の中に、金銭、そして人種の違いというひずみができ問題を引き起こす。
人の考え方というのは本当に色々で難しいなとは思うけれど、ボラージュの考え方には時折腹が立つ。
日本人の気質とは違うからかなーと思いつつ、日本人の登場人物にも腹立たしいところはあるので、難しい話だ。
自分を犬だと思っていないフックがいい味を出しているのだが、どうしてラストはこうしたん -
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ネタバレ中国で消息を絶った義理の兄探しをするために、弟がいろんなツテを辿って、その兄に知られざる半生に触れていく。この手の失踪者の足跡をたどるヒューマンミステリーみたいのが、平成の宮本輝作品に多いが、類作同様やや凡作の感じが否めない。
出だしは印象的なのだが、途中、ペースが落ちる。
物乞いをしていた実母を失い、その実母を喪わせた原因のある家庭で養われながらも、決してひねくれていない兄。第一章の家族愛は涙をそそるのだが、関西特有のいぎたないチンピラとか娼婦とか、この人の作品にテンプレ的に出てくるあたりや、特にヤマもなく伏線もなく淡々と進む筋書きに飽きて、一旦投げ出した。
母への思慕が深いのはわかる。 -
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謎が謎のまま終わるのは余韻を残す意味でもアリだと思うのですが、宮本輝さんの作品にしては入り込めなかったなあ。
作者さんの言いたいことや、書きたいテーマは何となく判るのですが、先がどうなるのかというドキドキ感がなく、あまり山も谷もなくあっさりと終わった感じ。
二人の恋愛に障害がないからなのかな?
兄妹かもしれないという点が最大の障害といえばそれまでですが……。
周囲がみんな茂樹と美花に理解があり過ぎのように感じた。
少年の頃から美花に恋していたとか、茂樹さんの亡くなった奥様が気の毒。
この作品が書かれた頃、まだDNA検査は一般的な時代ではなかったのかな?
DNAを調べれば兄妹かどうかなんて一発で -
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ネタバレ★2.8ぐらい。
宮本輝作品にしてはイマイチ。
自殺した友人の足跡をめぐる中年の技術者と、その友人の妻とが交互に自己語りする形式。友人の死に絡む、宿命の女の過去が明らかになっていく。
肝心の友人の死の真相がうやむやのまま終わってしまいミステリーとしては不発。美しいタイトルだが、作中のモチーフとしては弱い。ただし、夫に先立たれて精神錯乱に陥った母親の再生物語として読めば感動できるかも知れない。
後書きで著者の家庭の事情を知った後だったら、なぜこれを書いたのか理解できるんだが…そういう裏事情を知らないといけないものは、どうなんだろう。
筆者は自分と同じ背景を持つ人を励ましたかったのかもしれ