【感想・ネタバレ】水のかたち 上のレビュー

あらすじ

東京下町に暮らす主婦・志乃子、50歳。もうすぐ閉店する「かささぎ堂」という近所の喫茶店で、文机と朝鮮の手文庫、そして薄茶茶碗という骨董品を女主人から貰い受ける。その茶碗は、なんと三千万円は下らない貴重な鼠志野だという。一方、志乃子の姉、美乃も長年勤めていた仕事を辞め、海雛という居酒屋の女将になるという。予想もしなかった出会いから、人生の扉が大きく開きはじめる――。

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感情タグBEST3

Posted by ブクログ

「水の流れ」ではなく「水のかたち」。宮本輝の文章は優しい。老人の語り口のような安心感がある。「人生は恐れることはない。人間にはそれを乗り越える力が備わっている」こんなメッセージがあちらこちらにちりばめられている。平凡な主婦が、ひょんなことから、骨董品とそれにかかわる様々な人との出会いにより、齢50歳で、眠っていた才能を開花させていく、「まだまだ私も大丈夫」と勇気づけられそうな、楽しい話。心美しい主人公とそれを取り巻く人々の愛と癒しの物語。ほっこりしたいときに是非。

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2025年07月07日

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人と人とが何故の縁で出逢い、そしてその時を境にそれぞれの川が合流して新たな畝りを形成していくように時は流れる。
キャノンボールアダレイのジャスを聴きながら、早苗の純粋で清い心に心打たれ、上は終わり。

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2024年04月06日

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ネタバレ

評価が1から5まであって驚く。

骨董の価値はその人が決めたそれで良いというのと同じだと思った。 本来の価値とは違う次元の価値。

志乃子の価値を見誤ったのは すべての読者ではないかと思う。それを後半覆される。 どこにでもいる普通の主婦のはずだったのに。

「自然にすなおで、自然に謙虚で、自然に礼儀ただしい。」
これが水のかたち。

ちょっと都合が良すぎないか?と誰もが思うだろう幸運が押し寄せているが 志乃子はずっと続くなどとは思っていない。

たとえば 今 当たり前に思っている日々の出来事も 思い上がり故に当たり前に感じているのかもしれない。幸運なのだ。

もう一つの文机に関わる話は実話であることに驚愕する。 実際に経験した方々の口は重い。

偶然と必然、 どちらが意味があるのか時代によって扱われかたが変わったように思う。

白ナマズ 純白の鳥 『劫』 長い長い時間の持つ意味。

「信じると決心したら信じられるようになっていく。」

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2020年02月23日

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平成28年9月 

主人公の志乃子は、夫、子供3人の平凡な主婦で50代に突入。
そこで、人生について考える。考えさせられる。動かされる。
主人公、姉、友達のジャズシンガー少しずつ変わっていく。


心は巧みなる画師のごとし
 心には心に描いたとおりになっていく、そんな凄い力がある。
命は食なり
石に一滴一滴と食い込む水の遅い静かな力を持たねばなりません。
 

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2016年10月03日

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宮本輝の作品には、いかに多くの心根の正しいたちが出てくるのだろうか。
石椀のお金と手文庫の手紙のこれからが、とても気になる。

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2016年05月01日

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閉店する喫茶店の女主人から骨董品を貰ってから、50歳の平凡な主婦である志乃子に新たな転機が訪れる。いつもの宮本作品らしく美味しそうな料理がたくさん出てきて、通勤中に読むと誘惑が多いのが困りもの。ジャズやクラシック、落語といった私の好きな分野の話が多い点でも楽しめました。手に入れた骨董品が縁で新たな出会いがあり、姉の美乃も居酒屋を開業したことで、緩やかな川の流れのように人と人が繋がっていきます。下巻で、この流れがどこに行きつくのか楽しみです。

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2016年04月28日

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ネタバレ

平凡な主婦が茶碗や戦時中の引き出しをもらったことから、いろいろな縁が始まり、出会っていく。日常のペースで語られ、ゆっくり過ぎるくらいのテンポだが、のんびり読むにはもってこい。さりげない周りの人の気持ちや優しさにも気づけるかも?

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2016年03月23日

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主人公はごく平凡な中年の主婦。ある日譲り受けた高額な骨董品から始まり次々と開かれていく人生の扉。先々で待ち受ける出会いや縁はやがて思いもかけない場所へと主人公を導くが、主人公はそれを絶え間なく流れ落ちる水のように柔らかく受け止める。そしてまた彼女は流れ続けていくのであった。人は良い環境の中にいれば物事は自然と形を変えていい方向に向かっていく。その言葉が心に響いた。

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2015年11月08日

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志乃子さんがご近所の喫茶店の文机をもらったことからすべてが始まる。いくつになっても、世界を広げていくことができる。ぎらぎらせずに出会いを大切にしていれば。

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2015年08月19日

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小説の時間のスピードって読んでる側からすると合う合わないあると思うんですけど、宮本輝さんはその辺がすごいんですよね。人が人生で決断する瞬間に出会えます。最近のトレンドとは違うんだけど紫綬褒章取られてる方で私の青春時代の作者で50才って年齢をとても大切にしてることに個人的に共感してるし、熊吾も共に読んで生きてきた感じで是非読んで欲しいです。下巻読むまでもなく、心で読めます。

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2023年10月08日

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2023年5月5日
輝氏の作品は上下と長いものが多いのだと、少し腰が引ける。
平凡な主婦志乃子が半年間にガラッと変わる。強運の持ち主。
めまぐるしく環境。
めまぐるしく変わる人たちとの交流。
今や京都も遠くはない。

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2023年05月06日

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平凡な主婦が非日常な体験をするところからの話ですが、思考形態はずっと一緒の処に好感が持てます。
Jazzの話は秀悦。

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2020年04月07日

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下巻に感想をまとめます。
ただ、出会いや人と人との繋がりを大事にしていると、想像以上の場所に行け、想像以上の景色を見に行けるのではないかと希望を持つことが出来る作品だと思った。

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2015年12月06日

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他の宮本文学でも語られる、骨董、落語、ジャズあるいはクラシック、それらアイテムが、この作品でもそれぞれ効果的に登場する。
魅力的な使われ方に、骨董(の蒐集)はともかく、落語、ジャズあるいはクラシックは、未聴のものは聴いてみたくなった。
平凡な主婦が、薄茶茶碗を貰い受けてから、人生の扉が次々と開けてゆき(ご都合主義的なところもあるが)、下巻がそういう展開になるか楽しみ。

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2015年12月03日

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下町に暮らす主婦が骨董品屋さんから茶碗をもらう、それが数千万円の価値があるものらしい。小説ならたちまち怪しげな詐欺師とか曰く付きの学者とか出てきて、殺人事件でも起こるかという劇的な状況であるのに、何も起きずに主婦の周りでいろいろな人たちがゆっくりと下町の生活を過ごしている。小説の時代は平成だが雰囲気は全く昭和の白黒映画、主人公は八千草薫か倍賞千恵子か、なんて事を考えたくなるような、昔はよくあっただろう雰囲気が描かれている。
さてこの先どうなるのやら。急ぎ後半に行きたいという気分でもないが、とりあえずタイトルの意味は知りたい。ここまでなら、水のかたち?というより、土のかけら、牛の形、すき焼きの味、でもいい。

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2024年01月17日

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東京下町に暮らす主婦・志乃子が、もうすぐ閉店するという近所の喫茶店「かささぎ堂」から文机と薄茶茶碗、朝鮮の手文庫をもらい受けてきたことから物語は始まる。
ガラクタ同然の扱いでもらった茶碗が実は貴重なものだと判明、3千万円の値が付き買い手も現れる。茶碗が志乃子にもたらした高揚感と、タダで貰ったものだという後ろめたさ、手文庫の中にあった終戦後引揚げ時の父から幼い娘への手紙、茶碗を取り上げようとする謎の美女・・・。
気になるピースを散りばめながら、志乃子を取り巻く人間達の暮らしが丁寧に描かれていく。人間が生きていれば、必ずそれだけの物語がある。そんな当たり前のことをしみじみと思う。
物を手にしたことで生じる人との関係、出会いに導かれ開いていく人生の扉、思わぬところでを繋がる人たち、これは物が結び付けた人との「縁」の物語。
後半、物語が大きく動きだしそうで楽しみです。

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2020年03月15日

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志乃子が湯木留美と言い合いするシーンの志乃子の心の動きが好きだなぁ
勇気を出せ、白ナマズ。反対攻勢に打って出よ、リンゴ牛

早速、キュウリを買い込んでキュウリサンドを作ろう!

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2017年01月29日

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女版「三十光年の星たち」って感じです。内容としてはあまり評価は良くないですね。もっと事件性やハプニング感が欲しかったです。新聞書評で見て文庫化を楽しみにしていた分ちょっとがっかりでした。

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2015年09月28日

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