宮本輝のレビュー一覧

  • 潮音 第四巻

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    明治の時代が本格化。版籍奉還、廃藩置県、岩倉具視を代表とする使節団派遣、征韓論の勃発・・・
    不平士族が溢れ、新貨幣への交換、太陽暦への移行、郵便制度、鉄道敷設、駕籠から人力車へ、庶民の生活も大きく変化する。
    北前船が寿命を迎え、主人公・川上弥一を取り巻く環境も変わる。
    弥一は新しい時代に対応しようと、売薬仲間組から「カンパニー」創設を目指す。
    東京、大阪に支社を作り、琉球経由での清国貿易を止めた薩摩藩の動向を見極め、「松場屋」という廻船問屋を使い、独自に清国との交易に乗り出す。
    干し昆布を積んだ船・昇光丸に、清国語をた才児が乗り込み、危険承知で、中国・福州の現地商人・朱祖善との交渉に向かう。
    昇光丸が無事帰還して、交易の道が切り開かれるが、弥一の息子・太一郎の身に異変が生じる。
    並行して、台湾出兵や神風連の乱、秋津の乱、前原一誠の乱、そして西南戦争へ政府への不平士族による戦乱も終息を迎えていく。
    名もなき庶民である富山の薬売りの目を通して、幕末・明治維新の動乱期をビビッドに描く大作で読み応えがあったが、正直、基礎的な歴史認識がないと、ピンときにくい箇所が多かった。
    弥一や彼を取り巻く登場人物との間の人間ドラマの要素よりも、歴史史実に重心を置いているので、ストーリーの面白さは味わえなかった。
    また、太一郎の異変の真相が最後まで明らかにならなかったのは、やや残念だった。

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    2025年11月18日
  • いのちの姿 完全版

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    文章が好き ぶっきらぼうなようで優しさや美しさを感じる宮本輝さんの作品が好きです。川三部作、田園発港行き自転車、森の中の海、大阪や富山という馴染みの場所が舞台なのも好きな理由の一つかも知れません。エッセイも楽しめました。

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    2025年12月03日
  • 潮音 第四巻

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    壮大な歴史小説を読み終えた満足感がある。歴史で学んだ明治維新のいろいろな改革は文字だけで理解したつもりだったが、生活者の視点で語られると一つ一つが大変な事であったと思った。富山の薬売りのビジネスモデルは現代でも通用するもので長い年月をかけて構築してきた事の強さを感じた。

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    2025年10月29日
  • 潮音 第一巻

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    淡々と、読みやすい。
    弥一の語り口。

    蝦夷地の干し昆布
    と、清国との密貿易…

    繋ぐ
    越中富山の薬売り
    薩摩藩

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    2025年10月14日
  • 潮音 第一巻

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    壮大な大河ドラマの始まりを感じさせる。川上弥一が昔話を語る形で続いていく。富山の薬売りと薩摩の関係は知らなかった世界で興味深かった。幕末の歴史的な出来事や人物が町人達の視点で語られていくのが新鮮。2巻以降も楽しみだが、読み進めるのは時間がかかりそう。

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    2025年09月30日
  • ここに地終わり 海始まる(上)

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    本のタイトルは、ポルトガルの有名な詩の一部だそう
    主人公の父親がとんかつ屋さんで娘に説明していました。

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    2025年09月27日
  • 青が散る(下)

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    ネタバレ

    青春の真っ只中で懸命に毎日を生きる姿に元気をもらいました。

    主人公と夏子のこの先が気になりました。

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    2025年09月20日
  • 三十光年の星たち(下)

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    人の想いが継承されていく物語のように感じました。

    スピードや成果や効率重視の現代に生きる中で、衰退していきつつあるものが大切に書かれているように思いました。

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    2025年09月20日
  • 草花たちの静かな誓い

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    ネタバレ

    あらすじを読んだ時に想像していたより、重いテーマが隠れていて、親子とは、夫婦とは、という大きなテーマについて考えさせられる作品。アメリカが舞台でありながらも中心人物は日本人というところも不思議な雰囲気を醸し出していた。

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    2025年09月10日
  • 潮音 第四巻

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    ネタバレ

    歴史小説とはいえ、薬屋さん目線での話の展開、地に足つけて生き抜く知恵。
    のめり込んで読んでいたけれど、太一郎の死があってからは、むなしくてそちらに気持ちが引き摺られてしまった。

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    2025年09月10日
  • 螢川・泥の河

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    「泥の河」哀切な日本の情景が多く見られ、主人公の眼を通して私も実際に経験してきたかのような没頭できる世界観だった。最後の水上生活者家族とのサヨナラの瞬間は切なかった。
    「螢川」富山の三月末が舞台。美しい光景が広がる。家族の物語。螢火のような異次元に綺麗なものを見るときっと人は何かを終わらせたり、決断できる。

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    2025年09月08日
  • 天の夜曲―流転の海 第四部―(新潮文庫)

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    完結編まで一気に購入したので、久しぶりに再読。宮本輝の小説には人生哲学が満載。キャラクターの骨組みがしっかりしているので、人は何を核に生きているのかが手に取るようにわかる。気持ちと違う行動をとっていても、その心根まで見透せる。現実世界でもそんな感情のぶつかり合いで人と人が暮らしているんだけど、そのことに気づかせてくれる、宮本ワールド。これからの完結までの道のりが楽しみで仕方がない。

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    2025年08月30日
  • 潮音 第三巻

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    情報を集めること、そこから世の中で起こっていることを知ること、そしてどうするか?
    せいさん、、、武士は死ぬしかないのか。真面目な人ほど死に近い。こんなにあっけなく死んでしまう人をみてばかりいたら、心もやられるだろう。

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    2025年08月25日
  • 夢見通りの人々

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    大阪のとある商店街。
    場末の感じのする所でも、人情味豊かです。
    里見さんの視点だけでなく、住んでる皆さんの悲喜交々が手に取るようにわかる内容。住んでるみんなの心が伝わります。
    宮本輝さんの優しい、心地よい表現方法。じんわり。

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    2025年08月21日
  • 潮音 第四巻

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    宮本輝の初の長編時代小説。
    富山の薬種業と琉球を通じた薩摩藩の清国との密貿易の知られざる関係を明治維新の動乱を背景に描く大河小説。
    内容は面白かったが、無駄な語りや情報が多く、読むのに疲れた。

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    2025年08月11日
  • 幻の光

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    「幻の光」は1979年に単行本、1983年に文庫化された短篇集で、表題作ほか3編収録

    久しぶりの宮本輝さん
    未読タイトルとの出会いという新潮文庫のフェアに見事にハマった一作

    「幻の光」
    能登の漁村を舞台に、夫を突然の自殺で喪い、
    悲しみと息子を連れて再婚した女性が過去と向き合いながら新しい生活に向き合っていく姿
    “愛する男を失った女の美しすぎるため息”
    (こんなコピーがついていたらしい)
    秘めていた本心を打ち明け 次の幸せへと向かう

    「夜桜」
    一度の浮気を許せず、離婚した女
    若くして息子を失い、新婚夫婦と知り合ったことで、人生の選択の是非を問う

    「こうもり」
    泥の河と似た色合い

    「寝台車」
    子供の頃溺れ死にかけた少年が、大学生の時寝台車から落ちて亡くなる
    救われたかと思った命の途中下車のような人生に
    想う

    宮本輝さんは、昭和中期くらいまでの女性の心情がどれもお上手
    現在だと多少社会が変化しているけれど
    それでもしっかりと読ませてくれます

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    2025年08月03日
  • 幻の光

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    しおり欲しさに、新潮文庫の100冊に選ばれている「幻の光」を読んでみました。
    「錦繍」とはまた違った切なさが心に残る一冊です。

    ある日突然、自ら命を絶った夫。
    原因もわからず、残されたのは妻と子どもだけ。
    夫の死から三年が経っても、妻はその理由を模索し続けます。
    あれこれと思い返してみても、はっきりとした答えは見つかりません。
    なぜなら、答えを知っているのは、もうこの世にいない本人だけだからです。

    人は、中途半端で終わったことが、ずっと心に残る生き物だと思うのです。
    たとえば、仕事でも何でも、完結していないことって、頭の片隅に残って、ふとした時に思い出してしまうじゃないですか。
    人の死もそれと同じ。
    答え合わせができないからこそ、忘れようと思っても忘れられない。
    再婚して別の家族と新しい生活を送っていたとしても、ふとした瞬間に、亡くなった夫のことを思い出してしまう。
    四六時中思い出すわけではなくても、なぜか、どこまでも面影がついてくるのです。

    それはもう、呪いのようにすら感じられます。

    そんな“呪い”を解いたのは、民雄(現夫)のこのひと言だったのではないでしょうか。

    「人間は、精が抜けると、死にとうなるんじゃけ」

    私は、「人はお役目があって生まれてくる」と聞いたことがあります。
    この“精が抜けた”という状態は、そのお役目を果たしきった状態なのかもしれません。
    つまり、夫が命を絶った理由は、何か一つの明確な原因があったわけではなく、ただ“精が抜けてしまった”のだと。

    この言葉が、主人公の心に変化をもたらしたことは間違いありません。
    それまで宙ぶらりんだった思いが、やっと自分の中で区切りをつけられたのだと思います。
    亡き夫の魂と距離を置くのではなく、共に抱えて生きていく覚悟ができた――そんなふうに感じました。

    感想を書くために読み返したのですが、不思議なことに、一度目よりも二度目の方がじんわりと胸に沁みてきました。
    あんなに短い文章なのに、なんて深いのでしょう…。

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    2025年07月24日
  • 満月の道―流転の海 第七部―(新潮文庫)

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    熊吾は、愛人をヤクザから身請けするために、会社の金や色んな人に借金をする。更に、またしても従業員に金を使いこまれて、会社が窮地に立ってしまう。何度も同じ事を繰り返す、熊吾のバカさ加減にどっと疲れが出る。妻の房江がかわいそうでならない。
    この部は、あまり動きがなくダラダラ続いた感じだった。もう惰性で読んでる感じになって来ているけど、何とか七部まで読んできたので、あと二部は読むしかない感じの気持ちになっている。

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    2025年07月17日
  • 潮音 第三巻

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    禁門の変の後、幕府は長州残兵隊を追って捕縛、惨殺を続け、次第に市民の感情は長州への同情、幕府への反感に移っていく。
    長州征伐に加われと命じられた各藩も本音は迷惑、水戸の天狗党の乱で350人の尊王攘夷派の浪士が斬首され、「幕府のやり方はあまりにひどい。降伏している者を」との声が上がり、幕府の威光は地に落ちていく。
    そんな中で、大政奉還という「:慶喜の大博打」が打ち出され、西大小(西郷、大久保、小松)が動き出す。
    慶応4年1月3日、鳥羽伏見の戦いが始まる。
    新政府が樹立される中、弥一は新しいカンパニーの設立を目指す。
    越中富山の薬売りと、薩摩藩との切っても切れない結びつきをベースに主人公弥一の言動や多彩な人間関係に焦点をあて、読んだ。
    だが、この小説は、人間的ドラマの要素は3割程度といったところ。
    7割は幕末の歴史的事実を忠実に伝えるノンフィクションのような気配がする。
    弥一ら富山の薬売りは、情報を集めて薩摩の役に立とうという立場だが、あくまでも斥候であり、幕末の史実を読者に親しみやすく伝えるための媒体役だ。
    幕末の日本史をそれほど深く知らない自分にはやはり、難読だった。

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    2025年07月02日
  • 避暑地の猫

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    久しぶりの宮本輝作品。

    軽井沢の別荘番の息子、修平の口から語られる、家主の布施金次郎と、修平の両親、姉との歪んだ関係、その結果ともいえる凄惨な事件。
    貧富の差もあるが、人間の歪んだ感情、狂気が救いのない深さで描かれている。
    ひたすら重かった。。

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    2025年06月07日