宮本輝のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
不遇の運命が迫ってくる。そんな星の下に生まれながら、月光の東にたどり着くまで自らの人生に挑み続ける。
宮本輝の本を読むと、人生に真摯に立ち向かおうと思わされる。綺麗に生きたい、成功したいとかではなく、己の信じるもののために、この一瞬一瞬を必死にもがこうと強く思う。
本作では米花によってそれが表されていた。
結局、自殺の真実など曖昧なまま終わった部分もあり、すっきりと読み終えたい人が低評価なのもわかる。しかし登場人物の人間らしさは毎度のこと美しい文章で見事に描かれている。これも宮本輝の凄さだと思うし、僕はこの人のそういう部分が好きなので、気にならなかった。