あらすじ
喫茶店に掛けてあった絵を盗み出す予備校生たち、アルバイトで西瓜を売る高校生、蝶の標本をコレクションする散髪屋──。若さ故の熱気と闇に突き動かされながら、生きることの理由を求め続ける青年たち。永遠に変らぬ青春の美しさ、悲しさ、残酷さを、みごとな物語と透徹したまなざしで描く傑作短篇集。
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Posted by ブクログ
中学の国語の教科書にて「星々の悲しみ」が載っていたのがキッカケでした
他のストーリーも含めて珍しい経験ですが無くはないよね、というストーリーという印象です
個人的に非現実的な設定のストーリーは面白くて当然、日常をどれだけ面白く書けるかを期待しているタイプなのでこの作品は私に合っていて非常に面白かったです
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哀しい話だった。伝えたくても伝わらない想いや、思い出せない事すら忘れてしまいそうな、刹那的なエピソードの数々が、何億年も前の星の光の様に思えた。
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一つ一つ、綺麗な物語だと思った。
人間のドロドロした感情、妬みや裏切り、執着など、負の部分が描かれているけれど、目を背けさせたいのではなく、ましてや正義感や正論で矯正しようというのでもない。淡々とした丁寧な文章が、非常に好ましく心地良かった。
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短編集。発行されたのは1981年。でも20代前後の青年が抱える不安や期待っていうのは時代を経ても変わらないな、と思った。
情景描写がとても心地良い感じ。そのシチュエーションがありのまま浮かんでくるような。シチュエーション自体も、現実味がある感じで好き。
だけど、毎回最後が難しい。わからないから、何度も読みたくなる。大学入試の小説問題にありそう、っていうのが1番の印象。
でもとっても好きだった。読解力が足りないので、一回読んだだけじゃうまく最後の部分を理解できない。主人公の、その瞬間に湧いてきた感情を言葉に表すのは難しいな。また読みたい。
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タイトルにもなっている「星々の悲しみ」が一番印象に残ったが、他の作品もいずれもとても良かった。
宮本輝の小説はどれも叙情的で少し物悲しくて、でも読後は胸にストンと落ちてくるような不思議な気持ち良さを感じる。その感覚が癖になってどんどん読んでしまう。
読んでいると自然と「生と死」について考えさせられる。死は容赦なく誰にでもやってくる。同じ死でもやはり若い人が死ぬのはとりわけ辛い。日々後悔のないように生きなければならない。
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表題作を含む全7作品からなる短編小説集。物語の多くは若者を主人公とし、青春時代に関わった人たちとの微妙な心理・感情を描いています。
子どもでも大人でもない、もしくは子どもから大人になろうとしている主人公たちの目線を通して、生と死から感じられる残酷さ、若者から見た大人の性事情、奇妙な癖や趣味を持った人に接したときの不気味さなどをとても丁寧な筆致で感じられました。ものすごく重たいわけでもなく、かといって空虚なわけでもない、なんとも感慨深い内容です。
ここ10ヶ月ほどをかけて、この短編集をじっくり2回読みました。1回読み終わった時点ではなにかわかったような、それでいてなにもわかっていないような、不思議な感覚でした。巻末の解説を読んで「ああ、そういうことだったのか」と納得したところもありましたが、2回目を読み終わったときには再び頭の中でさ迷っていました。簡単に理解してはいけないようにも思えましたし、それでも軽く受け止めないとこちらの心が壊されそうにもなりました。それくらい私にとっては衝撃的な一冊です。
純文学とはなにかとか、この短編小説集を完全に理解したのかと聞かれるとうまく答えられませんが、少し時間を置いてからまた読み直したいと思えました。
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星々の悲しみは昭和のじめっとした、少し暗い感じがする描写ながら、恋愛や犯罪、友人の病気といった出来事に向き合う主人公の若者らしい潔さがとても好感持てます。昔吉祥寺にあったボアという喫茶店を思い出しました。
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やることをやりながら過ごしている。
それぞれに置かれた状況の中での普通の日々だろう。なのにその中には死や犯罪やわからない何かがいつもどこかにあって不安定で穏やかでない感じがする。それでいて人の体温のぬくさがある。不思議な印象深さのある本だった
Posted by ブクログ
読みやすかった。短編だけど各エピソードは読み応えある。「星々の悲しみ」は、有吉の成熟した考え方が印象的だった。成績もいいのに「自分は犬猫以下」と言うこと、ただ妹に渡したメモの内容を知って、余計に好きになる。
「西瓜トラック」は、10代の頃にこんな大人の不可解な行動を経験するとしんどいけど、将来大人になったときに寛容になれるんではないかと思う。
北病棟は、、、
入社直後の入院は本人なら不安、先輩なら励ましてあげたい。同じ病棟にいた女性栗山さん、その旦那さん、自分の穴が塞がっても素直に喜べない状態。
火
すべてが意地悪く陰鬱。火だけが明るい
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それほどドラマティックなことが起こるわけでもなく(表題作は割とドラマティックかも)、実際に有り得そうな薄暗い日常が淡々と、容赦なく描かれる。
しかし不良馬場のラストは世の中そんな上手く行ってたまるかと言わんばかりの容赦なさで唖然としてしまった。
作者は実際に結核で療養していたそうなので、そこで見たものの影響が大きかったりするのだろうか。
ジュンク堂でやっている本音屋で購入したらこの本だったのだけれど、当たり引いたと思う。
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自分の学生の頃から名前は知っていたけれど、宮本輝の本は初めて読んだ。
大変読みやすい文体、内容であることに驚いた。
大阪弁の会話のなんと心地いいこと。
解説に書いてある通りになってしまうけれど、普段から村上春樹ら「都市生活者のための現代文学」みたいなのばかり読んでいるせいか、こういう少しじめっとした地味な小品がとても沁みる。
物語に奇を衒ったようなところはなく、社会性や思想性もないけれど、心に沁み入る文章である。軽いタッチの文体でありながら、結核療養、精神病院等の描写が出てきて、生命の儚さ、人生の切なさを感じさせる。
この、深い・難しい問題を考察するような小説でないのに、じっくり感じ入るようにさせるのが、自分にとって新しい感じがした。日本の作家ではあまりいないような気がする。
そして作品が1981年のものであることに驚く。こういう文学こそが実は普遍性を持つのかもしれない。
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ずっと昔に読んで印象が良かったので再読。やはり独特の余韻があり、私の感性にフィットする感じがする。
作者の死生観と、それを情景に描き出す巧みさが光っていると思う。
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表題作の「星々の悲しみ」は個人的に特別な作品で、高校生の頃、小説というものを本格的に読み始めるキッカケになった物語の一つで、それから数年が経ち文庫本で改めて読むことにした。
読み終わって思った事は、やはり自分の中では「星々の悲しみ」が個人的に衝撃だった作品という事を再確認出来た事だった。他にも収録順に「西瓜トラック」「北病棟」「火」「小旗」「蝶」「不良馬場」とあり、どれもアイテムや印象となる姿がタイトルとなっている。しかし、どれを取ってもタイトルから物語を思い出せるくらいのもので、逆に衝撃的読書だった「星々の悲しみ」は冒頭からこうなり、途中でこうなって、最後にこうだからこうなのだ――と揚々なくらいだった。ただ、全体的に生々しく、暗い、昭和の臭いを感じる物語だった。
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宮本輝さんの小説を、今までちゃんと読んでこなかった。勿体なかった。
成熟した大人の世界だったが、若々しく苦々しく湿って美しいものを感じた。
表題作ほか、「蝶」も良かった。
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タイトルからしてセンスを感じる。読んだ時の言葉にできない感覚、それは普段の生活でときどき感じているもの、おそらくネガティブなものだが、そんなものを感じた。だからいい作品だと思う。
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短編7作品中の6作品を読んだ。宮本輝氏の本は3冊目。いずれも読み始めると続けて読みたくなる筆力を感じる。だが何れも暗く、どうにもならない不条理な人生を眼前に見せられて、これが現実だと知らされて苦しさを感じる。創価学会に心服する宮本氏はなぜそこから希望へ開ける道を明示してくれないのか。暗示されているのに私にはわからないのか。因果応報があるにしても、明るさ、光が欲しい。時間がたって氏の本を読めば、印象が変わるのかもしれないが。
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ネタバレではないと思うけどどうだろう
高校3年の夏、読書会の課題図書のひとつが「星々の悲しみ」だった。自分ではきっと手に取らない本だったけど、短編集を買って1度は通しで読んでたと思う。15年くらいぶりに読んでみたけどあの時と感じ方はどう変わったかな
現国の教科書に載ってそうな、小劇場で観る芝居みたいな短編集。
短編のどれも、死にまつわる話が多かったと思う。解説読んでなるほどと思ったけど、主人公はどれも大人になる手前の人物で「成熟するまでの過程」が描かれていた。派手さはないけど、匂いがするようなリアルな生活の描写の中に生と死(「まだ死んでない」と「死」)が描かれてると思った。
星々の悲しみ
有吉と交わした最期の「またな」の瞬間に垣間見たものはなんだったのか、たぶん初めて読んだときは掴めなかった気がする。今は命の儚さとか、死にむかう人間が直面する簡単には言い表せない悲しみとかなんじゃないかと思える。
西瓜トラック
自分が主人公と同じくらいの年頃でこういう性の生々しいものに直面したらちょっと人格形成歪んだかもな…とおもうんだけど、またあいつに会えたら一万円の事を報告しておきたい、ていう部分には少年らしい穏やかな誠実さと爽やかさを感じた
最後は物悲しい感じでまとめられてるけど
北病棟
火
気持ち悪いけどなんかわかる。
火をみている時だけが快適なのちょっとかわいそうだけど安全基地があっていいね 放火魔になるわけじゃないなら穏やかに生きてってほしいわ 完全に古屋サイドの気持ち
小旗
父の死(借金まみれで自分と母を「もう捨てた」と言って若い女と住んでた)に際してもどこか無気力な青年と旗を振るだけの仕事を一生懸命にしてるモブの対比がすごい
蝶
日常のなかにある不思議体験て感じでよかったな
少しずつ落ちていく鱗粉、電車の揺れで羽ばたいているように見える蝶
終わり方も好みだった 小劇場の芝居みたいだ
不良馬場
主人公、友達の奥さんと不倫してたんかーい から始まる生と死の対比の構造だなと思った
片や友人の妻と肉体関係持ってニューヨークへの栄転まで決まってる生命力のある主人公と、一方で2年間も閉鎖的な結核病棟で過ごしている友人
最後に転倒して骨折した脚の折れ口で自分の胸を突いてしまった馬、荒々しく動いていて噴き出した血の勢いで鼓動を感じさせるけど、きっとこのあと死ぬんだろうな(競走馬は骨折したら殺処分にすると聞いたことがある)
病棟内にも「死」と「まだ生きている」が転がっている
これは完全に私事だけど、今年の4月に祖父が90歳で亡くなって 長く一緒に暮らしていたからまだ全然さみしいし後悔もたくさんあるのだけど
老いとか衰えって、目の当たりにするのが嫌だったりする
それは単にセルフケア能力が落ちて「ちゃんと顔あらいなよ」「ちゃんと歯みがきなよくさいよ」みたいなのもあったけど、活動的だった祖父の活気がなくなっていったりするのを実感するのも嫌だったんだよな
自分の両親、義理の両親がこれから老いていくときもう少し近い距離で頻繁に気にかけたいなって思う
徐々に訪れる死(老い?)というものは、想像していたより生臭くて醜悪なんだね
でもその鼻をつまみたくなるような避けたいような嫌な感じ、1個乗り越えて「歯磨き手伝って良い?」とか「温タオル作ったからちょっと顔だけ拭こう」とかさせてもらうと
あの時少し手伝わせてくれてありがとうって思えたりもするんだよな
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短編集。宮本輝はタイトルの付け方が圧倒的にうまい。星々の悲しみ。なんだそれは。どんな話だ。そう思ったのは高校の時だった。ラジオドラマがはやっていた時代だ。毒にも薬にもならないようななんちゃない話だ。だけど、なんでか気になる、記憶にとどまる。男の人がかく文章で、男の人がかく目線。そういう小説。この年代の人がかく文章は性別による視線、視点がくっきりしていて、それがいい。媚びがない。潔さめいたものを感じる。
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短編集
オチ、というオチはないけれど、読後になにか引っ張りそうな吸引力を感じる作品
死、病気が題材のものが多かった
火…はもう一度読まないとよく分からない。
好きなのはやっぱり星々の悲しみ
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わりと初期の宮本輝の短編集。何とも地味な話が7編。喫茶店に掛かる絵画を盗んじゃう「星々の悲しみ」や「西瓜トラック」のようなちょっと日常離れしたことが起こるのはまだしも、「火」なんか、なーんにも起こらない。起こるかと期待させといて起こらないようなもの。それなのに、何ともいえない深さを感じる(←「何ともいえない」なんて何てずるい表現)。
深さとは、こんな何でもないことを書き上げる筆力のようなものだろうか。当たり前っぽい日常のひとこまを切り取ったような作品世界に、何でもないことのよさ、何でもないもののなかにある豊かさのようなものを感じているのだろうか。
読みながらふと似てるなと思ったのは向田邦子の書いた小説。ちょうど彼女が小説を書いたのも1980年あたりだったはず。いまではちとお目にかかれない(だろう)こういうテイストの小説が当時の潮流だったのかもしれないし、こういうちょっと湿った暗い感じは日本文学本流のもち味なのかも。
Posted by ブクログ
昭和50年代中盤に発表された宮本輝氏の短編集。全部で7編の短編が収録されています。本書の書名となっている「星々の悲しみ」だけでなく、全7編全てが人の「死」を意識させる内容になっています。そのためか、どの短編も少し重く、暗い空気感を感じました。それが苦手な読者にとっては、ちょっと読み進めるのが辛くなることも十分あり得ると思います。しかし、普段の生活では感じることのない人の「生と死」を様々なシチュエーションで描いたこの短編集は、さすが宮本輝氏とも言えるかもしれません。決して爽快な読後感を得られるわけではないですが、人の「死」に関わる悲しさとか、切なさとかを読書を通じて感じたいという人にはバッチリはまる短編集ではないでしょうか。
Posted by ブクログ
「星々の悲しみ」をはじめとした7作の短篇集。 何れも、青年主人公と彼を取り巻く人々の生死から、「生きること」の意味や理由、運命について考える契機となります。
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『森のなかの海』や『花の降る午後』のような柔らかく優しい、女性みたいな文体に慣れていたせいか、『星々の悲しみ』の男くさい文体に驚いた。
短編集ではあるが、一篇一篇がとにかく重く、読んでいて苦しくなる。でもその苦しさがまた生々しくて良かった。
筆者はやはり男性だったんだなと改めて思った。
こういう文体も結構好きだなぁ。
Posted by ブクログ
まとわりつく死や病の暗さに落ち込みながらも、健康である、若いエネルギーも同時に感じられる短編集であった。
輝の青春小説が大好きなので、表題作が一番好きだけど、「蝶」の標本がガタゴトなって鱗粉が落ちていくシーンを想像すると少しぞっとする。いい意味で。