あらすじ
退部を賭けたポンクと燎平の試合は、3時間40分の死闘となった。勝ち進む者の誇りと孤独、コートから去って行く者の悲しみ。若さゆえのひたむきで無謀な賭けに運命を翻弄されながらも、自らの道を懸命に切り開いていこうとする男女たち。「青春」という一度だけの時間の崇高さと残酷さを描き切った永遠の名作。
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初めてこんな長い内容の本を読む事が出来た。
大学卒業から約5年が経つが、懐かしい気持ちを感じた。
それぞれの登場人物に個性があり、
そういう友達もいるよなと思った。
最後夏子と付き合うのではと思いながら読んでいたが、祐子の件があり付き合う事はないんだなと思った。祐子も悪い女だと思った
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面白かった。純情すぎて、それがプライドとなってそのせいで肝心なところに足を踏み出せない感じが良かった。主軸がずっと友達なのがめっちゃ良い
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主人公は大学でスポーツに打ち込み友人たちに囲まれ、一見リア充のようにも見えるが、本気で惚れた女には言いたいことの半分も言えない、今の何者でもない自分に対する不安にただ今はテニスに直向きに打ち込むしかないという部分にはいじらしさや青春の影を感じた。
主人公はその潔癖さ故に結局は夏子を受け入れず、主人公だけが最後まで若者だった。しかしそれも直ぐに喪われてしまうのだと思うとなんだか切なくなった。
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最初は大学生たちの青春群像劇かーと思っていたが、登場人物たちの青春の葛藤の影の部分が読み取れると、とても面白い。
彼らの将来がとても気になる読後感で、余韻も楽しめる。
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燎平のテニスの成長ぶりに目を見張った。
また、ガリバーの躍進ぶり(歌手だけでなく私生活も)も非常に驚いた。
一方、安斎の死は非常に残念でやり切れなさを覚えた。
そして、燎平と夏子の関係は今後どのようになるのだろうか?
最高の一冊でした!
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一人一人の「若者」をここまで緻密に美しく表現できる宮本輝は凄いとしか言いようがない。
大人になって大学生活を懐かしむ時期にもう一度読んだら、その時は違った感じ方をすると思う。将来再読したい。
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大学生という立場で読んだので、また大人になったら違う感想を持つのだと思う。大学生のうちに一度読めて良かった。
男女の価値観が古くて受け入れたくないなあって思うところも多かった。「女だから、結婚したら亭主と子供を好きになる」とか。
結末はハッピーエンドとは言い難いけれど皆何かにひたむきになっていて、きっと大人になって思い返すと「間違った」とは言っても後悔はしなさそう。
きっと青春ってほとんどの人にとって、いっぱい悩んで、後から「悩むのも大切で、時間が巻き戻ってもほとんど同じ事するだろうな」って思って、キラキラした物だけじゃなくても肯定出来るような物かなあって思った。自分もきっとそう思うような道を進んでるように思うから、幸せだなあって思った。
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上巻よりも下巻のほうが面白い。下巻のために上巻を読むべき。読後感:切ない。大人でも子供でもない、ある一定の期間だけに許される感情が描かれている。
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中盤でテニスの試合を長々と展開する場面は中だるみがあったけれど、見所と言うべきなのだろうか、場面場面で情景がみるみる浮かび心震わされた。それは全体にも言えたし、主人公の試合でのメンタルや日常の精神的な青さ、青春が散ると自覚ラストシーン。見事な物語だったと思う。
そして残るなんとも言えない悲しさ。喪失感。
Posted by ブクログ
上下巻一気読みでした。
色々と後悔することもあるし、間違った選択もするけど、それら全てひっくるめて”青春”なのだと思わせてくれる小説。
燎平や金子のような不器用で真っ直ぐでどこか潔癖な感じも、
夏子のように小さな世界の中で負け知らずで、自信に満ち溢れててどこか傲慢な感じも、
祐子のように内に秘めた激しさを周囲には見せられずに、装って振る舞いながらバランスを保とうとする感じも、
安斎の宿業と闘う苦しみもわかる気がする。
そういう部分が自分にもあったなと感じるし、自分だけじゃなかっただろうなとも感じる。
”あの頃は青かった”とか”多感なお年頃”とか言う年代の登場人物の心情をこんなに面白く書ける著者の宮本輝は凄いと感嘆。ともすれば、つまらなくなってしまいそうな内容なのに。文学的なことはよくわからないが「瑞々しいってこういうこと?」と感じました。
ー若者は自由でなくてはいけないが、もうひとつ、潔癖でなくてはいけない。自由と潔癖こそ、青春の特権ではないか。ー<引用>
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まさに青春物語
自分もこれくらいの大学時代を過ごせればと、今となっては歯がゆく感じる
皆目指すものが有り、時にはクールに、時には真っ直ぐに藻掻きながらも最後には現実を突きつけられるが、その経験がかけがえのないものとなっていく
まさに、「青(青春)が散る」
最後の文章がこの物語の全てなのだと思う
”自分のまわりにいた者はすべて、何物かを喪った。”
”自分は、あるいは何も喪わなかったのではないかと考えた。何も喪わなかったということは、じつは数多くのかけがえのないものを喪ったのと同じではないだろうか。”
Posted by ブクログ
大阪郊外の新設大学に入学した主人公たちが4年間、テニスに打ち込み、恋に焦がれ、人生のとば口を知る青春小説の金字塔。
描かれる恋は全てが一方通行。
登場人物たちのもがく姿が愛おしい。
青春小説、学園小説の類は随分読んだが、学生時代の鬱屈をこれほどまでに描いた作品は無いのではないか。
大学が「4年間の執行猶予」だった頃の物語。 大学が「有利な就職の予備校」みたいになってしまった今の若者には通じないのかなぁ。
Posted by ブクログ
【本の内容】
<上>
燎平は、新設大学の一期生として、テニス部の創立に参加する。
炎天下でのコートづくり、部員同士の友情と敵意、勝利への貪婪な欲望と「王道」、そして夏子との運命的な出会い―。
青春の光あふれる鮮やかさ、荒々しいほどの野心、そして戸惑いと切なさを、白球を追う若者たちの群像に描いた宮本輝の代表作。
<下>
退部を賭けたポンクと燎平の試合は、三時間四十分の死闘となった。
勝ち進む者の誇りと孤独、コートから去って行く者の悲しみ。
若さゆえのひたむきで無謀な賭けに運命を翻弄されながらも、自らの道を懸命に切り開いていこうとする男女たち。
「青春」という一度だけの時間の崇高さと残酷さを描き切った永遠の名作。
[ 目次 ]
<上>
<下>
[ POP ]
題名にひかれ、七つ上の姉の本棚からこっそり拝借したのはいつだったか。
大学生が織りなす恋とテニスの物語に夢中になった。
成り行きで新設大学を受験した燎平は、殺風景なキャンパスで夏子と出会う。
真っ赤なエナメルのレインコート、鮮やかな口紅。
その瞬間、青春が音を立てて回り出す。
本書には、やはり大学時代、創設されたばかりの追手門学院大学(大阪府茨木市)でテニスに打ち込んだ著者の、若き頃への思いが投影されているという。
若者たちの日々は輝かしいばかりではない。
ある者は忍び寄る病の影におびえ、ある者は破滅的な恋に身を投じる。
女王然とした夏子も、つまらぬ男にひかれて周囲を混乱させ、自らも深く傷つく。
文庫新装版にあとがきを寄せた作家の森絵都さんは、「青春最大の特徴は、光よりもむしろその色濃い影にある」と書いている。
人気のないキャンパスで再び燎平と夏子が向き合うラストシーンは、多くの読者の胸をしめつけた。
恋を夢見た頃を何十年も過ぎて読み返しても、決して色あせない青春文学の名作。
[ おすすめ度 ]
☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
☆☆☆☆☆☆☆ 文章
☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
共感度(空振り三振・一部・参った!)
読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)
[ 関連図書 ]
[ 参考となる書評 ]
Posted by ブクログ
感想
思い通りにいかない恋、全てを捧げた部活、周囲で起こる激動。カオスな学生生活にどこか懐かしいようなリアルさを感じる。
将来の燎平と夏子はどうなったんだろうと色々想像させるような内容だった。
あらすじ
安斎は全日本で試合するも、病気がぶり返して危険する。鬱病であると分かる。友人のガリバーはレコードデビューするほど有名になっていた。
応援団の端山は、不動産業が軌道に乗り始めていた。1学年下のポンクが生意気になってきたことを理由にポンクの退部をかけて、燎平と対戦することになった。燎平はこれまでポンクに勝ったことはなかったが、不退転の決意で試合に臨む。
燎平はポンクをフルセットの上に敗る激闘を見せる。ポンクは退部した。田岡というデ杯の候補選手になった人の婚約者から、田岡と夏子が付き合っていると聞く。夏子の母親からの要請で駆け落ち同然の夏子に伝言を伝えにいく。
4回生になって最後の大会で金子とダブルスを組んで、優勝候補に敗れるも、インカレ出場を果たす。インカレの1回戦で再び同じ相手に当たるも敗れる。その日、応援に来ていた安斎が自殺したことがその後知らされる。
燎平は父親の会社に入るつもりだったが、家業が傾き、会社を畳むことになって、急遽、就職活動をして広告代理店に滑り込む。卒業が必須の条件になったが、単位を落として、追試を受ける。奇しくも夏子と二人きりでの追試だった。
Posted by ブクログ
おそらく、青春小説として読み始めた
上下巻で長かったが、青い春が眩しい
主人公に対し、早く恋を実らせたら?と焦ったくなり
それでも多分実らない恋なんだろうな、など
小説としての展開は読みやすいが
その中で人のリアルな気持ちをすごく感じた
Posted by ブクログ
読み終わって、もうこの登場人物たちとは会えないのかと思うと寂しくなる、そう思わせる読後感を与える物語こそ、最高の作品だと思う。
大学4年間はあっという間だと感じさせる。疾走感がそこら中に散らばっている。大きな出来事は起こらないが、多くの出来事を通して絆を深めるテニス部の部員たち。恋に部活に全力な主人公たちに嫉妬してしまった。
そして、新装版に追加された、森絵都さんの解説もよかった。
Posted by ブクログ
祐子の渡米、安斎の発病、ガリバーや主人公の悲恋、テニスの試合、不動産開発の乗り出す氏家や端山。
決定的な大事件があるわけではない。けれど、様々の事件が続き、物語は進んでいく。
そして、あっさりとは言えないけれど、どうしようもなく大学生たちのモラトリアムが終わる。
この作品を名作と褒めて良いのか、よく判らない。
でも、一つ一つの出来事が胸に沁みた。
Posted by ブクログ
上巻では、そこまで面白いとは思わなかったが、下巻で、夏子への恋やテニスの試合など、盛り上がる場面を読んで、やっとこの作品の面白さがわかった。
面白い。普通の主人公なのに、周りでは、ちょっと普通じゃないことが起こったりして、青春ってこんなものなのかなと思わせてくれる。
私はあまり昔の作品が得意ではなかったが、少しづつ読むようになって、その作品が何十年も人から愛される理由や、面白みがわかってきた。嬉しい。
Posted by ブクログ
「きょ年の十一月に、六甲の駅で、燎平私に訊いたでしょう? 夏子は男の人を知ってるのかって。私、正真正銘の処女よって答えたの覚えてる?」
燎平は桟橋に坐って、海に足をひたしたまま、傍らに立っている夏子を見あげた。
「でも、いまは違う。もう何遍も何遍も、田岡さんに抱かれたわ。真っ裸にされて、何遍も何遍も田岡さんに」
燎平は、自分の顔が紅潮しているのか青ざめているのかわからなかった。白くふやけたように見える海水の中の足を見つめて黙っていたが、それきり夏子が口を閉ざしてしまったので、そっと顔をあげた。夏子は瞬きひとつもせず燎平を見下ろしていた。
「夏子が泣くとは思えへんかったな。なんで泣くんや。田岡がその程度の男やっちゅうことを見抜けなんだ自分の馬鹿さ加減に腹が立って、それで泣くんなら話はわかるけどな。こんなふうになっても相変わらず毅然としてる女やて、俺は夏子のことを思うてたんや。電話でめそめそ泣きだされて、ざまあみやがれいう気分や。俺が、どんなに夏子を好きやったか、夏子はちゃんと知ってたはずや。その俺に、あのホテルの下の入り江で何て言うたか覚えてるか? 真っ裸にされて、何遍も何遍も抱かれたって言うたんやぞ。ひどいことを平気で言うたのは夏子のほうや。田岡が温かみのない、冷酷な男やとしたら、夏子は人を思いやる心のないはすっぱな女や。そんなお似合いのカップルが、なんで別れてしもたんか、俺には不思議でしょうがないよ」
Posted by ブクログ
人物一人一人に魂が宿っているよう。今も人物がどこかで生きているんじゃないかと思える。宮本輝の作品には、そういうのが多い。
練習後いつもたまる喫茶店。
「棄権や棄権。たかがテニスや。」金子の優しさ。
安斎の死の悲しさ。
あとから知った、祐子の思い。
夏子と諒平の、恋のゆくえ。
Posted by ブクログ
テニスに大学時代の大半を捧げた遼平
その中で、4年間片想いを続けた恋の行方
友達の自殺
など、息つく暇なく、自分に対する漠とした不安
を抱えたまま、時間が流れる
関西弁が何か良かった。1982年の作品とは思えないほど、テンポ良く読めた
自分が大学生の時に読んでいれば、今とはもっと違う感想を抱く気がした。
Posted by ブクログ
これは青いです。
こんな多感な大学時代をすごせただろうか?
大学ってとても特殊な環境であるし、体力と時間と好奇心の総量がMAXの時期だろう。
ここで何を体験するかで人生かわるんだろうなぁ。
このモヤモヤした感覚、何者にかになれるのかの期待と不安と現実、そして行動。
ホント行動できなかった自分。失ったものは大きいんだろうな。
もう、ボクには訪れることのない青春です。
そんなムードが溢れていてとても青いのです。
Posted by ブクログ
青春小説。登場人物たちの、心がつながっているようなつながっていないような、孤独を抱えたままの関係が印象的。恋愛ストーリーとしても、一筋縄ではいかせてくれない。香櫨園という地名、関西にいながら知らなかった。
Posted by ブクログ
大阪に新設された大学でテニスに打ち込む大学生たちを題材にした青春小説。下巻ではテニスの試合の記述が多くなり、テニスのゲームの奥深さがわかる。登場人物の若さゆえの行動やその後の生き方が面白い。