宮本輝のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
短大生の時、好きな作家は?と聞かれると「宮本輝」と答えていました。
それくらい好きだったのに最近は何故かご無沙汰。
最近文学小説熱が再熱ぎみなので久しぶりに再読しました。。
宮本輝の作品は、いつも重く暗いものを背負った人々の人間模様が描かれていますが、最後は前向きな、希望を感じさせながら終わらせてくれるところが好きです。(なーんて最近の作品は全く読んでいませんけど。)
この作品も、人間がそれぞれ精一杯生きている感じがよいです。
それと、昭和40年代を舞台にした作品だからこういう大阪って今はもう無いのでしょうけど、東京にはない泥臭さや力強さが迫ってくる感じなのに、儚くて物寂しい感じ -
Posted by ブクログ
下巻を借りる。なので買う。
目に見えない、ちいさなゆたかな世界について。
時間とやさしさについて。
・記憶がないこと、話さないこと。
○仕事をするかぎりは、いっさい手抜きをせず、仕事とはかくあるべきだというものをなさなければならない(233頁)
・勇気は必死で自分の中から引きずり出すもの
・勇気は知恵と世界を思いやる心を連れてくる
○この世の中のいろんなことに思いやりを持って、右往左往せず大きく包み込む心(254頁)
○死ぬ前の五年間が幸福やったら、人生は勝ちや(399頁)
・(ええ仕事をする人に共通してるもの)
○自分の仕事に、うしろめたさがないんや。そやから、仕事に関しては、い -
Posted by ブクログ
発酵という目に見えない微生物の営み。琵琶湖の鮒酢、鹿児島県枕崎の鰹節など伝統的製法で発酵食品を造る人々。「待つ」という行為、「時間」というものによって生み出されるもの。こうした事を通して主人公・聖司は仕事とはいかなるものかを学び人間的成長を重ねていく。
一方、祖母が死の間際に繰り返していた「ヒコイチ」という言葉の謎?それと、聖司が母親のお腹の中にいるとき、不慮の事故で亡くなったとされる父の事や毎月2万円、死ぬまで32年間送りつづけた男が背負ってきたものがあぶりだされていくと同時に、その男の娘との出会いや美佐緒という人妻との危うい恋愛模様も描かれて物語は展開していく…。
発酵、熟成とい -
Posted by ブクログ
豪華限定本をつくるフリーの編集者・船木聖司は、松葉という人物から日本の伝統的な発酵食品を後世に残すため非売品で五百部の依頼を受ける。
そして、丸山澄男という女好きで小々癖のある料理研究家と友人のカメラマンの協力のもとサンマの熟鮓、醤油などの取材を敢行する…。
登場人物の会話、ほとんど軽妙な大阪弁だす。糠床の造り方のレシピを初め、グルメ本のようにお役立ち的な部分もあり( ..)φメモメモ。また阪神淡路大震災の記憶も呼び覚ますシーンもある。
死というものは、生のひとつの形なのだ。この宇宙に死はひとつもない。こんな書き出しで始まるこの物語は、発酵食品を素材とした人間の生死と絆、愛を描いた壮大 -
Posted by ブクログ
ネタバレ半年にわたる長旅が、ついに終わってしまいました。
麻沙子が母を追いかけドイツまでやってきてから、もうこんなに長い時間が経っていたのですね。
本を読みながら私も一緒にドナウ河を旅した気分になりましたが、その土地その土地で出会った人々の人柄にとても心温まりました。
旅先の素敵な出会いに乾杯!
東欧の共産主義事情も初めて知りました。
ちょいと怖いなぁと思いましたが、ブダペストに行ってみたくなりました。
どの街も素敵なんですけどね!
最後は、ただただスリナの朝日を見ていたい…。そんな思いに駆られました。
半年間、本当に色々なことがありましたが、この朝日をみるべく旅をしていたような気がします。
絹子の -
Posted by ブクログ
冒頭が素晴らしい!
「蛇行する無数の川は銀色に光っていたが、どうかしたひょうしに、もつれた赤い糸みたいに染まって、麻沙子は、川が地球という生き物の血管であることを、朦朧とした精神のどこかで妙にはっきりと感じた。」
ドナウの旅人は、4人の男女がドナウ川に沿って旅をする物語ですが、この冒頭を読んだ瞬間に、この旅はとんでもない旅行になるんだろうと思いました。
後半あたりから、その「とんでもない」旅であることが徐々に分かってくるのだけど、読み進めるにしたがって、自分の血液がドクッ、ドクッと身体全体に流れるのを感じました。
恋愛物語でありながらサスペンス的でもあり、人物描写に非常に優れた