宮本輝のレビュー一覧
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月に浮かぶ
80歳近くの母親が、お腹がいっぱいとなって
それが 自分が妊娠したと思い込む。
それを看病する 妻。
そして、愛人が妊娠したと聞いて、何らかの覚悟を決めざるを得ない。
海に映る 満月が 母親のお腹に見える。
いろんなものを 失うことで、人は生きている。
船を焼く
海岸沿いの静かな宿。
夫婦が経営しているが、若くもあり、年上に見えたり。
そこに、泊まった 二人は 出口が見えないことで、
別れようと思っていた。そしたら、その宿も 閉めるという。
経営する二人は 22歳で、別れることにしたという。
珠恵の霧のような汗がすてきなんですね。どんな感じなのか?
さざなみ
リスボンで偶然似合った女は いぜん 酔っぱらった時に
つきあったことがある女だった。その偶然に、驚くが
その女は 年老いた 夫婦の家に暮らしていた。
そして、ある決断をしたのである。
胸の香り
イースト菌の香りがする。香りはつねに思い出をつむぐ。
郵便局の女、パン屋、そして 夫の匂い。
それが つながっていくことで、不思議な歴史がひもとかれる。
しぐれ屋の歴史
流転の海に つながる アル中の母。
転げ落ちていく 父親。なぜ 私が編集者に。
深海魚を釣る
カバちゃんには 二人の父親がいた。
魚釣りに行って、オコゼを釣り上げた。
道に舞う
春子という日本人。
私は 叔母の家に預けられた。
その街の雰囲気は好きではなかった。
在日と北とのあつれき。 -
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熊吾が、家族を連れて、富山に行く。
高瀬勇二、桃子の家に身を寄せることにするが、
高瀬の小さな器量に改めて、ビックリする。熊吾は、人を見る目がないという。
観音寺のケンから,妊娠した百合を預かることに。
それで、熊吾は、結局は、大阪で一旗あげるべく、画策を始める。
資金もないので、関孫六を因縁のある エビハラに売りつける。
房子は、富山で、不安となり、更年期障害がひどくなり心因性喘息にかかってしまう。
一方、熊吾は、西条あけみの災難が降りかかる。
逆に、そのことで、深い関係となる。金の切れ目が、運の切れ目。
新しく旗揚げした 中古車の販売の仕事は、スタートしたが、
久保に、会社の持ち金をすべて、盗まれる。
そこでも、人を見る目がないと嘆く。
熊吾は、転がり落ちて行く。運が悪いと片付けられなくなる。
そういう中で、伸仁は、すくすくと育って行く。
読みながら、熊吾の苦しい思いが伝わってくる。 -
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流転の海 第三部
父親の生きた時代を、描き出す。
敗戦後の混乱期。昭和20年代から、30年に向かう頃の物語。
時代の流れの中で、事業を見出す熊吾。
中華料理屋、雀荘。
消防のホースの修繕。プロパンガス。きんつば屋。
その幅広さというか、事業の進め方だ強引だ。
そして、体の不安を抱える年になる。
伸仁は、小学生になる。
ねしょんべんを小学生三年生まで治らなかった。
どういう子供なのだろうか。
観音寺のケンに好かれ、
ヤクザと麻雀をし、ストリップを見に行く。
街の情報を知り尽くしている。
中華料理のコックには、いうこと聞かなければ、辞めろと
までいう。
千代麿の隠し子、麻衣子、ヨネ、タネへの 熊吾の気遣いの中で、
麻衣子は、自分の居場所を見つける。
熊吾の包容力の成せる技。 -
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ネタバレ『川・三部作』を読み終えました。
自分は誰に一番感情移入しただろう。誰の目線でストーリーを追ったのだろう。読み終えて直ぐはそんなことを考えました。
喫茶店のマスター、マスターの息子、マスターの店で働く大学生。彼らを中心に、彼らに関わる人達、夜の道頓堀で生きる人達の人間模様に吸い込まれました。短編連作のよう。
主人公を繋いでいたビリヤード。ビリヤードは打ち手が突いて初めて球が動きだし、球は他の球に当たってそれぞれの道を行く。白玉以外は自分で行く道を決められないだろうし、白玉もまた当たり所が悪ければ、思っていた道から外れてしまう。狭い台の中で玉同士がぶつかり、ポケットに落ちるように道頓堀から去っていく者もいる。
道頓堀の世界と、ビリヤードの比喩が素晴らしいです。
ただし、少し話しが長く、登場人物が多かったようにも思えました。『蛍川・泥の河』の後だけに余計そう感じたのかもしれません。 -
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前にも書いたような気もするけれど、宮本輝を読むときは、そのストーリー展開も面白いのだけれど、登場人物が思うことや決断すること、そして行動することをきっかけに自分だったらどうするだろうと考え、さらに生きるって何だろう、豊かな(経済的にという意味ではない)人生って何だろうと考えるられるのが好きだ。電車に揺られながら読んでいると、気づく文章から目を離して物思いにふける自分がいる。そして、またストーリーに戻ってしばらく読んで、そしてまた物思いに。だから時間がかかる。でもそれだから味わえる。自分事にして読める小説って、あるようであまりない気がする。うーむ、また読みたくなってきたぞ、宮本輝。ちょっとヘビロテしようかな。(
ところで、道頓堀川の感想ゼロだけど、まっいっか) -
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すっごい久しぶりの宮本輝さんの本だよ~~。
やっぱりいいな~~~。
私としては、『昭和』という時代がこの本のイメージだったんだけど、初版は平成なのね~。
いろんな個性の持ち主が集まる商店街のお話。
各章で、いろんな人に的を絞って書かれてるんだけど、その繋ぎに里美春太という人が絡んでくるの。
なんか、各章に登場してくる人物それぞれ曰くつきなんだけど、でもみんな良いキャラしてるんだなぁ。
また、関西弁がこの話にとっても合ってて温かさを醸し出してくれる。
宮本輝さんって、ほんと良い本を書く作家さんだと思う。
読んでて、すぐその世界に入り込めたし、もっともっと読みたかったって思わせてくれる。
自分も、その中の一人になった感覚にもさせてくれる。
これからも、すすんで宮本輝さんの本を読んでいこうと思います。 -
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かなりワクワクした。宮本輝さんは、名前だけを知ってて、実は一冊も読んだことがないという作家さんだったのだけれど、ミステリー?というか、とっても先が気になって、面白い本だった。
つまらない女性が主人公。
悪いところはない。でもいいところも全然ない。女としての魅力も、人間としての味わいも全くないと見合いで結婚した旦那にたった数年で離婚されてしまう。
その彼女に遺産として残された、祖父の日記。
そこに広がる雄大な生き方と、自分の生き方を比べ影響を受ける佐和子。
ただ、結果は、この佐和子に対してはあーやっぱりねという退屈な結末。
そして、その結末は、佐和子が魅力的になることで起こると思われるのだが、上下二巻にわたる最後になっても特に魅力的になっていないので、ふーん。。。。という感じ。
主人公以外は、生き生きとしていて、いい。
132ページの夫婦が気を遣いすぎて、行き違う様が納得がいって、いい。 -
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宮本輝の小説を読むと、いつも「人生」ってことを考えさせられる。そして、「豊かに生きる」ってことに憧れさせられる。言わずもがなだけれど、ここでいう「豊か」というのは、物質的な豊かさをさすのではない。
現在、38歳。
自分の人生の長さを知ることはできないけれど、日本人の平均的な寿命から考えれば、人生の折り返し地点あたりにいるのかなぁと思う。歩いてきた道を振り返ってみれば、世のため人のために何ができたかと言う軸から考えると誇れるものはないけれど、自分が自分に向けて言うのであれば、「なかなか良い人生を送っているね」と言える。幸せだなとも思う。
でももっとこの先に何かあるんじゃないか、
「豊かさ」や「幸せ」の定義をもっと拡げられるんじゃないか、
そんなことをたくさん考えさせられる。
宮本輝の小説は大好きです。 -
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上巻とは打って変わって、こちらはほぼ一気読みだった。
希美子を始め、登場人物の面々がなんとも生き生きと、そして気持ちよく、前巻のどこか鬱屈とした雰囲気から解き放たれていく。
ところどころ影がちらりとするが、それは光と対をなす物としてなければならない影といったもので、決して胸に引っかかるものではなかった。物語が確実に「再生」へと向かっている証拠のような…。
上巻ではとても頼りない女性だった主人公の希美子も、下巻ではまるで人が変わったように逞しく賢い女性へと成長していく。
様々な出来事に意気消沈していたが、やがてそれを受け入れ、飲み込み、包み込んでいく…。そうすることでしっかりと根を張り、太く強かに育っていく様は物語の鍵となる巨木「大海(ターハイ)」の姿そのものだった。
読み終えた後、とても清々しい気分だった。
これは「ここにレビューを書きたいな」と思った。
うまく伝わるかわからないけど、やっぱりあの「青が散る」を書いた人の作品だったのだと、「青が散る」を読み終えた時の気持ちを思い出せたことで強く感じた。
ただ…希美子の2人の息子をもっと物語に出して欲しかった。
年齢的に物語に絡ませるには難しい年齢だったのかもしれないけど、彼らも間違いなく傷付いた人間だった。
あるところから希美子が息子達となかなか向き合える時間がなくなるのもわからないわけではないけど、セリフが全くなくなってしまっては…。