宮本輝のレビュー一覧

  • 星々の悲しみ

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    暗く重たい雰囲気の中で、活力ある若者達の躍動を感じた。血の通った作品。

    お気に入りは「星々のかなしみ」と「蝶」

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    2016年05月14日
  • 骸骨ビルの庭(上)

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    日記形式。
    骸骨ビルの管理人として過ごした数カ月間。

    そこに住む人たち、そこで育った人たちと関わりながら、退居させることが求められている私。

    さてさて、どうなるものか。

    元々ことビルを所有していたオヤジが子供(戦災孤児)に伝えた言葉、人間は何のために生まれてきたのかの質問に、自分と縁する人達に歓びや幸福をもたらすために生まれてきたのだ。
    こういう質問に、明確に答えることができる人間になる。

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    2016年05月03日
  • 水のかたち 下

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    ネタバレ

    下巻は勢いで読む。
    主人公の周りには、善き人たちが集まってくる。
    それは主人公が、心根の正しい善き人間だからなのだろう。
    上巻に比べると、心に沁みる場面は少なかったと思う。

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    2016年05月03日
  • 水のかたち 下

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    下巻に入っても、川の流れに乗るかのように、志乃子の前にある扉が次々と開いていく。若干うまくいき過ぎな感もあるけど、この本のテーマに「幸福の連鎖」も含まれるのだから、これでいいのだと思えます。50代の知識も経験もそれなりに積んだ女性が、新たな人脈を得て才能が花開いたのなら素晴らしいことですしね。コツコツとまっとうに生きていけば、そのうち運や道が開けてくるかもしれないと、ほっこりとできました。作品中に織り込まれている敗戦後に38度線を越える話は実話がベースになっている知り、胸が痛んだ。

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    2016年04月29日
  • 水のかたち 上

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    閉店する喫茶店の女主人から骨董品を貰ってから、50歳の平凡な主婦である志乃子に新たな転機が訪れる。いつもの宮本作品らしく美味しそうな料理がたくさん出てきて、通勤中に読むと誘惑が多いのが困りもの。ジャズやクラシック、落語といった私の好きな分野の話が多い点でも楽しめました。手に入れた骨董品が縁で新たな出会いがあり、姉の美乃も居酒屋を開業したことで、緩やかな川の流れのように人と人が繋がっていきます。下巻で、この流れがどこに行きつくのか楽しみです。

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    2016年04月28日
  • 青が散る(下)

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    テニスに大学時代の大半を捧げた遼平
    その中で、4年間片想いを続けた恋の行方
    友達の自殺
    など、息つく暇なく、自分に対する漠とした不安
    を抱えたまま、時間が流れる

    関西弁が何か良かった。1982年の作品とは思えないほど、テンポ良く読めた

    自分が大学生の時に読んでいれば、今とはもっと違う感想を抱く気がした。

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    2016年04月12日
  • 新装版 二十歳の火影

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    エッセイと言うよりも、短編小説を読んだ感じです。作者自身は、そう言われることは潔しとは思われていないようですが。ご本人の生い立ちが、小説を超えるようなドラマチックなものであることに驚きました。ますます好きになりました。

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    2016年04月03日
  • 胸の香り

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    宮本輝の短編集。年齢が近い主人公も多く、共感と言うよりも、胸の奥底を見透かされている感じ。それもそのはず。著者にとって短編小説は「血の一滴を無理矢理絞り出すかのような労苦を強いる」のだそうだ。しかも、それを表さないようにしているというのだから、尚更だ。

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    2016年03月24日
  • 水のかたち 上

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    ネタバレ

    平凡な主婦が茶碗や戦時中の引き出しをもらったことから、いろいろな縁が始まり、出会っていく。日常のペースで語られ、ゆっくり過ぎるくらいのテンポだが、のんびり読むにはもってこい。さりげない周りの人の気持ちや優しさにも気づけるかも?

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    2016年03月23日
  • 夢見通りの人々

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    「夢見通り」という商店街に暮らすアクの強い人物を描いた群像劇仕立ての連作短編です。

    第1章は、30歳で通信教育の仕事をしながら詩人になることを夢見る里見春太の物語です。彼は、美容師の光子にひそかな恋心をいだいているものの、歳のわりに純情な彼は、自分の想いを伝えることができません。その光子は、ヤクザあがりで女好きの噂のある肉屋の辰巳竜一に、拾ってしまった宝石箱の処分を依頼したことがきっかけで、少しずつ竜一に魅かれていくことになります。古川文房具店の一角でタバコ屋を営む、身寄りのない77歳の伊関トミは、立ち退きを求められて孤独をかみしめながらも、春太のやさしさに触れて、最後は死んでいきます。

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    2016年02月28日
  • 道頓堀川

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    キーワードは「貧しさ」でしょうか。
    本書の舞台は大阪道頓堀川。鈍く光る川面で生活する登場人物は、その誰しもが何かしらの「貧しさ」を抱えています。もちろん「貧しさ」とは、金銭的なそれに限りません。離散する宿命を抱えた武内は金銭的には余裕があるのに、とても貧しくみえる人物ではないでしょうか。そんな「貧しさ」を抱えた道頓堀川の住人のなかで、ヌードダンサーのさとみが邦彦の前で一心不乱に踊る姿がやけに印象に残っています。「私なんか、毎日、頭が変になってるわ」というさとみの言葉。この「貧しさ」が小説内に留まるものではなく、普遍的なものとして、いたく心に染み入ります。
    ところで、まったく悲哀に満ちた作品なの

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    2016年02月27日
  • 慈雨の音―流転の海 第六部―(新潮文庫)

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    シリーズ全部読んでます。

    面白いんですが、登場人物の相関関係とかわからなくなってきました。

    相関図とか作ってもらえないでしょうか。

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    2016年02月19日
  • 夢見通りの人々

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    長期に渡って読んでいたこともあり、もはや夢見通りにすんでいる気分。うまいなぁーみんなくどいくらいに特徴的なんだけど、それに見合うだけの悲哀を抱えているから、親身で読めるのかな。うん宮本輝は悲哀がうまいと思う。あと女心。第九章白い垢すんごい好きよ。第三章時計屋の息子も面白かった。うーんひさびさに小説っぽい小説読んだ!

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    2015年12月19日
  • 水のかたち 下

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    「自分を善人に仕立て上げよう気なんて、ひとかけらも持ってはれへん」「自然にすなおで、自然に謙虚で、自然に礼儀正しい」主婦が、次々と「善い人」と出会い、大金を手に入れ、そのうえ遂には喫茶店を経営することとなってしまう。何とも魅力的な物語。
    この『グールド』という喫茶店、どこかにあったら、ぜひとも行ってみたくなってきた。
    一方、要所に挿入される、大戦後の北朝鮮から帰還する一家を記した手記は、実話だそうで、光と影のように、主人公と「善き人たち」とのつながりを一層引き立てている。
    また、宮本作品らしく、記録しておきたい箴言があちこちに。

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    2015年12月07日
  • 水のかたち 下

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    宮本作品を読むと希望を得られる。『水のかたち』は出会いを大切に受け止める。その連続が幸福の連鎖を生み出す事が描かれていると感じた。
    作品の中にある下記の言葉が心に残っている。
    『心は巧みなる画師の如し』
    『他者への畏敬』
    『石に一滴一滴と喰い込む水の遅い静かな力を持たねばなりません』
    他の作品も読みたくなりました。

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    2015年12月06日
  • 水のかたち 上

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    下巻に感想をまとめます。
    ただ、出会いや人と人との繋がりを大事にしていると、想像以上の場所に行け、想像以上の景色を見に行けるのではないかと希望を持つことが出来る作品だと思った。

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    2015年12月06日
  • 水のかたち 上

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    他の宮本文学でも語られる、骨董、落語、ジャズあるいはクラシック、それらアイテムが、この作品でもそれぞれ効果的に登場する。
    魅力的な使われ方に、骨董(の蒐集)はともかく、落語、ジャズあるいはクラシックは、未聴のものは聴いてみたくなった。
    平凡な主婦が、薄茶茶碗を貰い受けてから、人生の扉が次々と開けてゆき(ご都合主義的なところもあるが)、下巻がそういう展開になるか楽しみ。

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    2015年12月03日
  • 森のなかの海(下)

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    じっくりじっくり読んだ。飛騨の森は温かな結界がはられ、すべてを包み込んでくれる「海」だったのだ。人には、地上で生きていくものには森はかけがえのないものなのだなぁとしみじみと思った。森がそばにない私は山を欲し、通勤途中にある自然公園にときめくのだな。地上で生きる多くのものに森はかけがえのないものだのだ。

    希美子さんが「木にも心がある」というようなことを言っているけれど、そのとおりなのだろうと思う。我が家のベランダの小さな鉢につめこまれた2本の木は、我が家の前にアスファルトに囲まれながら並んでいる大きな木は何を思っているのだろう。

    ぬくぬくした室内でまどろみながら、この物語にひたれる幸せ~!

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    2015年11月08日
  • 水のかたち 上

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    主人公はごく平凡な中年の主婦。ある日譲り受けた高額な骨董品から始まり次々と開かれていく人生の扉。先々で待ち受ける出会いや縁はやがて思いもかけない場所へと主人公を導くが、主人公はそれを絶え間なく流れ落ちる水のように柔らかく受け止める。そしてまた彼女は流れ続けていくのであった。人は良い環境の中にいれば物事は自然と形を変えていい方向に向かっていく。その言葉が心に響いた。

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    2015年11月08日
  • 森のなかの海(上)

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    欲しかった本の隣りにあり、タイトルと装丁に一目ぼれして購入。

    阪神大震災が起きた時、私は小学生だった。東日本大震災もそうだと思うが、大きな大きな震災を目の当たりにし、大きく人生が変わっていく人が想像を絶するほど大勢いたのだろう。この物語の主人公の希美子さんもその一人。家族の形が変わり、住まいも奥飛騨へと変わる。そんな簡単なことではないとは思いつつも、奥飛騨の森に囲まれた山荘が生活の拠点になるなんて、なんて羨ましいのだろう!!傷ついた人たちがゆっくりゆっくり再生していくことがこの物語の神髄なのだろうけど、私は奥飛騨という場所で生活していくこと、森の描写にうっとりしてしまった。森は、木々は、たく

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    2015年11月01日